後編
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ヴァンが集めたのは、そこそこ名のある航海士たちだと言っていた。
海賊への暴虐ともとれる海軍の行動に業を煮やした海賊たちが、囮になることを承知で協力を買って出た。
そんな彼らであるからこそ、なんとか持ち堪えられていた。そして、撹乱作戦は功を奏し、大尉自身、的を絞りきれてないのだろう、雷の命中率は格段に下がっていた。
しかし、時間が経つにつれ、着実に数は減って来ている。
時間の問題であることはあきらかだった。
トワ「船長たち、大丈夫でしょうか?」
トワがミズンマストを操作しながら心配そうに、軍艦の方を見た。
ソウシ「侵入はできているんだろうけどね、近づくのに苦労しているのかもしれない・・・」
ソウシが操舵場へ上がってくると、シンをみる。
シン「チッ・・・仕方ねぇ、大破を覚悟であの軍艦に大砲をぶち込むぞ」
シンが舵を軍艦に向けてきる。
ファジー「アタイたちも協力するよ!トム、コリン!大砲の準備!間違っても火薬を濡らすんじゃないよ!!」
ファジーが指揮を取り始めると、ロイはシンに軍艦に見つかりにくい航路を伝えた。
ロイ「見つかりにくいとはいえ、あいつらはシリウス号を注視しているだろう。なるべく素早く射程範囲に近づいて、さっさとぶっ放したら逃げないと、本当に海の藻屑になるぞ」
シン「分かってるさ。俺の腕を見くびるなよ!」
ニヤリと笑うシンは、危険な作戦だというのにどこか楽しそうにしていた。
海軍「シリウス号が近づいて来ます!」
見張りの1人が大声をあげた。
ハヤテ「おい・・・シンの野郎なに考えてんだ」
ハヤテが焦ったように小声で話す。
ナギ「俺たちが大尉に近付けないのに気付いたんだ。おそらく近づく機会を作る気だ」
リュウガ「海軍のやつらがシリウス号に気が向いてる間に一気にあいつのもとへ行くぞ」
シリウス号の接近により、慌ただしくなった甲板で、3人は目立たないように息を潜めた。
大尉「おぉ!あれが有名な海賊王の船か!あれを破壊すれば、この海は俺のものだ!さぁ、宝珠よ、思いっきり雷を落としてやれ!粉々にするのだ!」
大尉がシリウス号の方に宝珠を向けた時だった。
シリウス号の大砲の弾が軍艦のすぐ脇に何発も落ちた。
その衝撃で軍艦は大きく揺れ、軍艦内の海軍たちはバランスを崩した。
リュウガはその瞬間を見逃さなかった。
素早く大尉のもとへ行くと、手刀で大尉を倒し、宝珠を奪い返した。
そして、太陽の宝珠と雨の宝珠を合わせると、2つの宝珠が輝き、目も開けていられないほどの眩ゆい光が辺りを包んだ。
ハヤテ「うぉっ!?眩しいっっ!」
その場にいた全員が目を閉じ、光がおさまったところで、ゆっくり目を開けると、空は晴れ、海は凪いでいた。
太陽に照らし出された海上には、今までの戦況の惨さがうつしだされていた。
リュウガ「双方、これ以上の攻撃は海賊王のこの俺が許さん!もし続けたくば、俺が相手になってやる!」
リュウガの声が海上に響き渡った。
その威厳のある声に誰も反論はしなかった。
リュウガ「海軍!ここまで強引に海賊を粛清させることが、お前らの総意か?」
軍艦の総司令室に向かってリュウガは叫んだ。
すると、手首を縛られ閉じ込められていたのか、縛られた跡をさすりながら大佐のレオナルドが出て来た。
レオナルド「海賊王、申し訳無かった。私の力が足りなかった為に、こんなことになってしまった。」
リュウガ「ってことは、海軍の総意では無く、コイツの独断ということか?」
レオナルド「・・・言い訳をするようだが、そうだ。私はこの暴挙を止める為に来たのだが、ミュミュちゃん・・・いや、人質を取られてあっさり捕まってしまった。謝ってすむ問題ではないが、本当に申し訳ない。この大尉の処分と、今回の暴挙については我々が全力で償おう。」
レオナルドがそう言い終わると、リュウガたちが軍艦に乗り移る際、言葉を交わした少年がリュウガに向かって叫びながら走り出した。
少年「ダメだ!!」
ドンッとリュウガに体当たりしたかと思うと、泣きながら叫んだ。
「俺の父ちゃんも母ちゃんも、海賊に殺されたんだ!!こいつらなんていない方がいいんだ!!父ちゃんと母ちゃんを返せ!!」
ドンッドンッと何度も少年はリュウガを叩いた。その時、ナギが鎖鎌のおもりを少年の手元に投げた。
金属同士がぶつかり合う音と共に少年の足元に落ちたのは血だらけのナイフだった。
ハヤテ「おまえ!船長になにしてんだ!!」
激昂したハヤテが剣を手に少年に飛びかかろうとするのを、リュウガは止めた。
少年の目線に合わせて屈み込み、少年の頭をゆっくり撫でる。
リュウガ「そうか、坊主。お前をつらい目に合わせてしまったのは、海賊王のこの俺の責任だ。悪かった。これからはお前みたいな子供が出来ないような海にする。約束だ。」
そしてゆっくり立ち上がると、再び海上にいる海賊に向かって声を張り上げた。
リュウガ「いいか、今後一般人に手を出した海賊はこの俺自ら粛清に行く!四海の船長!お前らもしっかり見張れ!何かあれば俺にすぐ伝えろ!いいな!」
ハヤテ「・・・船長・・・」
リュウガ「さぁ、オメーラ、これでこの戦いはしまいだ。シリウス号に戻るぞ」
オォォォ!!
と海賊、海軍共に歓声が上がる。
暗く厳しい戦いに終止符が打たれ、喜びにわく一方で、リュウガが立っていた場所には血溜まりができていた。
海賊への暴虐ともとれる海軍の行動に業を煮やした海賊たちが、囮になることを承知で協力を買って出た。
そんな彼らであるからこそ、なんとか持ち堪えられていた。そして、撹乱作戦は功を奏し、大尉自身、的を絞りきれてないのだろう、雷の命中率は格段に下がっていた。
しかし、時間が経つにつれ、着実に数は減って来ている。
時間の問題であることはあきらかだった。
トワ「船長たち、大丈夫でしょうか?」
トワがミズンマストを操作しながら心配そうに、軍艦の方を見た。
ソウシ「侵入はできているんだろうけどね、近づくのに苦労しているのかもしれない・・・」
ソウシが操舵場へ上がってくると、シンをみる。
シン「チッ・・・仕方ねぇ、大破を覚悟であの軍艦に大砲をぶち込むぞ」
シンが舵を軍艦に向けてきる。
ファジー「アタイたちも協力するよ!トム、コリン!大砲の準備!間違っても火薬を濡らすんじゃないよ!!」
ファジーが指揮を取り始めると、ロイはシンに軍艦に見つかりにくい航路を伝えた。
ロイ「見つかりにくいとはいえ、あいつらはシリウス号を注視しているだろう。なるべく素早く射程範囲に近づいて、さっさとぶっ放したら逃げないと、本当に海の藻屑になるぞ」
シン「分かってるさ。俺の腕を見くびるなよ!」
ニヤリと笑うシンは、危険な作戦だというのにどこか楽しそうにしていた。
海軍「シリウス号が近づいて来ます!」
見張りの1人が大声をあげた。
ハヤテ「おい・・・シンの野郎なに考えてんだ」
ハヤテが焦ったように小声で話す。
ナギ「俺たちが大尉に近付けないのに気付いたんだ。おそらく近づく機会を作る気だ」
リュウガ「海軍のやつらがシリウス号に気が向いてる間に一気にあいつのもとへ行くぞ」
シリウス号の接近により、慌ただしくなった甲板で、3人は目立たないように息を潜めた。
大尉「おぉ!あれが有名な海賊王の船か!あれを破壊すれば、この海は俺のものだ!さぁ、宝珠よ、思いっきり雷を落としてやれ!粉々にするのだ!」
大尉がシリウス号の方に宝珠を向けた時だった。
シリウス号の大砲の弾が軍艦のすぐ脇に何発も落ちた。
その衝撃で軍艦は大きく揺れ、軍艦内の海軍たちはバランスを崩した。
リュウガはその瞬間を見逃さなかった。
素早く大尉のもとへ行くと、手刀で大尉を倒し、宝珠を奪い返した。
そして、太陽の宝珠と雨の宝珠を合わせると、2つの宝珠が輝き、目も開けていられないほどの眩ゆい光が辺りを包んだ。
ハヤテ「うぉっ!?眩しいっっ!」
その場にいた全員が目を閉じ、光がおさまったところで、ゆっくり目を開けると、空は晴れ、海は凪いでいた。
太陽に照らし出された海上には、今までの戦況の惨さがうつしだされていた。
リュウガ「双方、これ以上の攻撃は海賊王のこの俺が許さん!もし続けたくば、俺が相手になってやる!」
リュウガの声が海上に響き渡った。
その威厳のある声に誰も反論はしなかった。
リュウガ「海軍!ここまで強引に海賊を粛清させることが、お前らの総意か?」
軍艦の総司令室に向かってリュウガは叫んだ。
すると、手首を縛られ閉じ込められていたのか、縛られた跡をさすりながら大佐のレオナルドが出て来た。
レオナルド「海賊王、申し訳無かった。私の力が足りなかった為に、こんなことになってしまった。」
リュウガ「ってことは、海軍の総意では無く、コイツの独断ということか?」
レオナルド「・・・言い訳をするようだが、そうだ。私はこの暴挙を止める為に来たのだが、ミュミュちゃん・・・いや、人質を取られてあっさり捕まってしまった。謝ってすむ問題ではないが、本当に申し訳ない。この大尉の処分と、今回の暴挙については我々が全力で償おう。」
レオナルドがそう言い終わると、リュウガたちが軍艦に乗り移る際、言葉を交わした少年がリュウガに向かって叫びながら走り出した。
少年「ダメだ!!」
ドンッとリュウガに体当たりしたかと思うと、泣きながら叫んだ。
「俺の父ちゃんも母ちゃんも、海賊に殺されたんだ!!こいつらなんていない方がいいんだ!!父ちゃんと母ちゃんを返せ!!」
ドンッドンッと何度も少年はリュウガを叩いた。その時、ナギが鎖鎌のおもりを少年の手元に投げた。
金属同士がぶつかり合う音と共に少年の足元に落ちたのは血だらけのナイフだった。
ハヤテ「おまえ!船長になにしてんだ!!」
激昂したハヤテが剣を手に少年に飛びかかろうとするのを、リュウガは止めた。
少年の目線に合わせて屈み込み、少年の頭をゆっくり撫でる。
リュウガ「そうか、坊主。お前をつらい目に合わせてしまったのは、海賊王のこの俺の責任だ。悪かった。これからはお前みたいな子供が出来ないような海にする。約束だ。」
そしてゆっくり立ち上がると、再び海上にいる海賊に向かって声を張り上げた。
リュウガ「いいか、今後一般人に手を出した海賊はこの俺自ら粛清に行く!四海の船長!お前らもしっかり見張れ!何かあれば俺にすぐ伝えろ!いいな!」
ハヤテ「・・・船長・・・」
リュウガ「さぁ、オメーラ、これでこの戦いはしまいだ。シリウス号に戻るぞ」
オォォォ!!
と海賊、海軍共に歓声が上がる。
暗く厳しい戦いに終止符が打たれ、喜びにわく一方で、リュウガが立っていた場所には血溜まりができていた。