リュウガ、ナギ、ハヤテはヴァンに渡された海軍の制服に身を包み、なるべく帽子を深くかぶった。
ヴァンが用意した海軍の船に乗り込むと、機会を伺った。


大尉「つまらんのぅ・・・海賊どもはもういなくなったのか？」

雨の宝珠を手にした大尉は、軍艦の船首部分の甲板に用意された豪華な椅子に座り、サイドテーブルからワインを取るとつまらなさそうにボヤいた。

大尉「もっともっと、奴らが真っ青な顔をして慌てふためきながら沈むところを見たいわ。ヒャヒャヒャッ！！」

その時、見張り役の兵が声をあげた。

海軍「敵襲です！船が・・・1、2、3・・・ザッと見積もって30隻はやって来ます！」

大尉「まだそんなに残っておったか。楽しみだわぃ」

ニヤリとしながら立ち上がると、雨の宝珠を天に掲げた。

大尉「さぁ、ゴミどもを片付ける時間だ！」

その言葉に反応するかのように、宝珠は青い光を放つと、たちまち強風が吹き、豪雨となり、波は荒れた。雷が至る所に落ち始める。

それを合図に、海軍に扮したリュウガたちは軍艦に船を近づけた。

軍艦の後部には見張り役として数人がいただけだった。
その兵が見回りのため、少し手薄になった所で軍艦に飛び移る。

少年「うわっ！びっくりした！」

リュウガが飛び移ったすぐ横に、海軍の見習いだろうか、まだ10にも満たないような子供がいた。

それに気付いたハヤテが、剣を抜こうとしたが、それを手で制すると、リュウガは平静を装い話しかけた。

リュウガ「びっくりさせて悪かったな。大尉から命令された偵察の任務を終えて来たところだ。これは極秘任務だからな、俺たちが戻ったこと、誰にも言うなよ」

少年は頷くと、自分の仕事へ戻っていった。

ハヤテ「ふぅ、ビビりましたね。」

リュウガ「あぁ、ここからはさらに気を引きしめろよ。なるべく気付かれずに奴の元へ行くぞ」

ナギとハヤテが頷くと、3人は見回りの兵士のように、船首の方へと歩いて行った。