前編
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ヒロインの緊張が少しずつ解れてきたころ、家に帰れない事情を聞いてみた。
リュウガ「そんで、ヒロイン。お前はなんで家に帰れないんだ?」
一瞬困った顔を見せたものの、少し逡巡してポツリポツリと弱々しく話し始めた。
ヒロイン「…親の決めた婚約者との結婚がいやで、その人と喧嘩して家を飛び出してきちゃったんです。うちの父は厳しい人だから…帰るに帰れなくて…」
(魚屋の話によると、ヒロインは父親に従順であったはず。ただ、嫌だというだけで飛び出すなんてなさそうだが・・・)
と考えていた時、飲み物を取ろうとして伸ばされたヒロインの手首に痣があるのに気付いた。
その大きさから、男の手だと言うことが分かる。
何故だか分からないが、リュウガはみぞおちの辺りにカッと熱が溜まったのが分かった。
こんな感覚は久しぶりだった。
が、分からなかった。
(何故俺はイライラしてるんだ?)
そんな時、船の様子を見に行ったシンが急いで戻ってきた。
シン「海軍がいる!!」
シリウスの全員に緊張が走る。
シン「しかも、あいつは厄介だ。親子二代で海軍をやっていて、権力を握りたいが為に、弱小な海賊から汚いやり方で捉えて、海軍の処刑場で公開処刑をしていると聞く!」
トワ「なんですかそれ!?海賊よりタチ悪いじゃないですか!」
ナギ「チッ!こんな所にも海軍がいるとは!前の戦闘でここにいる事がバレたか。」
確かに船に穴があくほどの戦闘は久しぶりだった。
だが、そんな事で海軍に情報がいったとは考えにくい。
ヒロイン「海軍?親子二代?
もしかして・・・ノリントンさん・・・?」
シン「ほう?知っているのか?」
ヒロインが目を見開きながら手首の痣を震える手で握った。
(そういうことか・・・)
リュウガ「おい!オメーら!出航の準備はいいか?」
全員の顔を見渡すと、もちろん!と言わんばかりだった。
リュウガ「名残り惜しいが仕方ねぇ!出航ー!!!」
全員「「アイアイサー」」
突然の出来事に訳も分からず、そして、婚約者がそんな残忍な人だということが分かり、どうしていいのか分からないと、胸の前で震えながら手首の痣を握るヒロインの両肩に手を置き、しゃがんで視線を合わせた。
リュウガ「いいか、ヒロイン。よく聞け。」
ヒロインは目に涙をためながらも、リュウガを真っ直ぐに見つめた。
リュウガ「俺たちは海賊だ。世界の海を自由気ままに、だが命懸けで航海している」
「お前が育って来たこの街は海流により守られていて平和だ。人も優しい。」
「ただ、このままではお前はその残忍な海軍と結婚させられる。」
「俺たちと一緒に来るか?」
何を言っているんだと思った。
相手は女で、俺から見たらまだ子供だ。
父親の性格からして、おそらく、この街からでさえ出たことは無いであろう。
そんなある意味では温室で育ったような子に海賊にならないか?だなんてーーー
どうかしている。
断られるのが分かり切っているのに・・・
ヒロイン「行きます!」
ヒロインは短くハッキリ答えた。
リュウガ「!?」
「おまっ・・・!?言ってる意味分かってんのか?遊びじゃねえぞ?命懸かってんぞ!?」
自分から言っておいて面食らってしまい、思わず聞き返してしまった。
ヒロイン「海賊なんて、絵本でしか読んだ事ないけど、きっと怖いことや大変なことがいっぱいなんだろうけど・・・
それでも私は・・・
自由になりたいっ!!!」
さっきまでのか弱い話し方とは違う、力の入った心からの言葉にシリウスのメンバー全員が息を飲んだ。
ハヤテ「・・・マジかよ・・・」
トワ「スゴイ・・・」
シン「ヤレヤレ・・・」
ナギ「・・・ハァ・・・」
ソウシ「ふふっ、決まりだね」
いつ以来だろう?
腹の底からさっきとは違う熱いものが込み上げてくる感覚。
自然と鼓動が早くなり、はち切れんばかりの笑顔になる。
ヒロインの手はもう震えてはいない。
その白くて細い手を折れないように、でもしっかりと握って引っ張った。
リュウガ「こいっ!ヒロイン!」
ヒロイン「はいっ!船長!」
初めて見るヒロインの笑顔は、可憐な花のようで、でも簡単には折れない意思の強さを感じた。
ヤマトの女かーー
本当にスゲえわ
船に向って走りながら、リュウガは誰にも見られないように笑った。
リュウガ「そんで、ヒロイン。お前はなんで家に帰れないんだ?」
一瞬困った顔を見せたものの、少し逡巡してポツリポツリと弱々しく話し始めた。
ヒロイン「…親の決めた婚約者との結婚がいやで、その人と喧嘩して家を飛び出してきちゃったんです。うちの父は厳しい人だから…帰るに帰れなくて…」
(魚屋の話によると、ヒロインは父親に従順であったはず。ただ、嫌だというだけで飛び出すなんてなさそうだが・・・)
と考えていた時、飲み物を取ろうとして伸ばされたヒロインの手首に痣があるのに気付いた。
その大きさから、男の手だと言うことが分かる。
何故だか分からないが、リュウガはみぞおちの辺りにカッと熱が溜まったのが分かった。
こんな感覚は久しぶりだった。
が、分からなかった。
(何故俺はイライラしてるんだ?)
そんな時、船の様子を見に行ったシンが急いで戻ってきた。
シン「海軍がいる!!」
シリウスの全員に緊張が走る。
シン「しかも、あいつは厄介だ。親子二代で海軍をやっていて、権力を握りたいが為に、弱小な海賊から汚いやり方で捉えて、海軍の処刑場で公開処刑をしていると聞く!」
トワ「なんですかそれ!?海賊よりタチ悪いじゃないですか!」
ナギ「チッ!こんな所にも海軍がいるとは!前の戦闘でここにいる事がバレたか。」
確かに船に穴があくほどの戦闘は久しぶりだった。
だが、そんな事で海軍に情報がいったとは考えにくい。
ヒロイン「海軍?親子二代?
もしかして・・・ノリントンさん・・・?」
シン「ほう?知っているのか?」
ヒロインが目を見開きながら手首の痣を震える手で握った。
(そういうことか・・・)
リュウガ「おい!オメーら!出航の準備はいいか?」
全員の顔を見渡すと、もちろん!と言わんばかりだった。
リュウガ「名残り惜しいが仕方ねぇ!出航ー!!!」
全員「「アイアイサー」」
突然の出来事に訳も分からず、そして、婚約者がそんな残忍な人だということが分かり、どうしていいのか分からないと、胸の前で震えながら手首の痣を握るヒロインの両肩に手を置き、しゃがんで視線を合わせた。
リュウガ「いいか、ヒロイン。よく聞け。」
ヒロインは目に涙をためながらも、リュウガを真っ直ぐに見つめた。
リュウガ「俺たちは海賊だ。世界の海を自由気ままに、だが命懸けで航海している」
「お前が育って来たこの街は海流により守られていて平和だ。人も優しい。」
「ただ、このままではお前はその残忍な海軍と結婚させられる。」
「俺たちと一緒に来るか?」
何を言っているんだと思った。
相手は女で、俺から見たらまだ子供だ。
父親の性格からして、おそらく、この街からでさえ出たことは無いであろう。
そんなある意味では温室で育ったような子に海賊にならないか?だなんてーーー
どうかしている。
断られるのが分かり切っているのに・・・
ヒロイン「行きます!」
ヒロインは短くハッキリ答えた。
リュウガ「!?」
「おまっ・・・!?言ってる意味分かってんのか?遊びじゃねえぞ?命懸かってんぞ!?」
自分から言っておいて面食らってしまい、思わず聞き返してしまった。
ヒロイン「海賊なんて、絵本でしか読んだ事ないけど、きっと怖いことや大変なことがいっぱいなんだろうけど・・・
それでも私は・・・
自由になりたいっ!!!」
さっきまでのか弱い話し方とは違う、力の入った心からの言葉にシリウスのメンバー全員が息を飲んだ。
ハヤテ「・・・マジかよ・・・」
トワ「スゴイ・・・」
シン「ヤレヤレ・・・」
ナギ「・・・ハァ・・・」
ソウシ「ふふっ、決まりだね」
いつ以来だろう?
腹の底からさっきとは違う熱いものが込み上げてくる感覚。
自然と鼓動が早くなり、はち切れんばかりの笑顔になる。
ヒロインの手はもう震えてはいない。
その白くて細い手を折れないように、でもしっかりと握って引っ張った。
リュウガ「こいっ!ヒロイン!」
ヒロイン「はいっ!船長!」
初めて見るヒロインの笑顔は、可憐な花のようで、でも簡単には折れない意思の強さを感じた。
ヤマトの女かーー
本当にスゲえわ
船に向って走りながら、リュウガは誰にも見られないように笑った。