後編
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ネストル「ヒロインをさらった奴を覚えているか?」
ネストルはヒロインに聞こえないよう、小声でリュウガにきいた。
リュウガ「あぁ」
ネストル「まだ確定ではないが、アイツも今回のことに絡んでいるらしい。分かっているとは思うがアイツはかなり汚い手を使ってくる。俺は出来る限り情報を集めておく。ドクロ島まで気をつけて行ってこい。」
そう言って、ネストルも帰って行った。
シリウス号はモルドーで物資補給をしておいたおかげでドクロ島へはすぐに向かうことができた。
ドクロ島へ着くと、ヒロインを連れてリュウガは洞窟の一番奥へと進んだ。
島の名前からは想像もつかないような美しい花が一面に咲く場所の中央に、その墓標があった。
リュウガはその墓標の前に屈むと、手を合わせた。
リュウガ「よぉ、元気だったか?遅くなっちまったが、お前との約束を守るぜ。その為に、"太陽の宝珠"は貰っていくからな。」
墓標の後ろを少し掘ると小さな箱を取り出した。
ヒロイン「これが、もう一つの宝珠・・・」
リュウガ「あぁ、これはな、コイツが愛したモルドーの姫様から貰ったものだ。コイツと二人で故郷を助ける為に宝珠を探しに出たのに、結局オレは一つも見つけられなくてな。」
リュウガはぽつりぽつりと過去の話をし始めた。
"天の宝珠"の話を耳にしたのは偶然だった。
故郷であるテリアの離島には水瓶となる池や湖は無く、住民たちが各々管理する樽に水を溜めて過ごしていた。だが、雨が1週間や2週間降らないことなどざらにある為、定期的にテリアの本土へ水を補給しに船を出していた。
リュウガ兄弟は幼い頃からその手伝いをしていた。
本土までの僅かな距離とはいえ、いつ海賊に襲われるか分からないため、武術はその船に乗っていた船員たちから習っていた。
その日も本土に渡り、水を購入していた。
兄「ほらよ、今日の食料だ」
船の兄貴分から支給された僅かな水と、乾いたパンを弟に投げて渡した。
弟「サンキュ。・・・にしても、本土も砂漠が広がってきたな。」
港の日陰に置いてある樽の上に座っていた弟の横に立つと、本土を眺めた。
先日まで僅かながら木が生えていた場所が、今はもうほぼ砂漠と化している。
兄「ここのオアシスも無くなるかもしれねぇな。そしたらかなり遠くのオアシスまで行くことになるのか・・・」
船での移動距離が長くなるに連れて、海賊に襲われる危険性が伴う。
弟「なんかこー、自由自在に雨を降らせる事ができる魔術とかなんかねぇかなぁー」
一口食べると口中の水分を吸い込む、決して美味くはないパンを水で流し込むと、弟はうーん、と伸びをしながら言った。
兄「んな都合のいいモンあるかよ」
???「あるぜ。」
後ろで積荷を下ろしていた男が話しかけてきた。頭に布を巻き、真っ黒に日焼けしたガタイの良い男からは少しだけ危険なニオイがした。
男「なんつったっけな・・・空・・・雲?いや、違うな。天・・・そう、"天の宝珠"!」
弟「"天の宝珠"・・・?」
男「あぁ。なんでもそれを手に入れれば自由自在に天気を操れるらしいぜ。」
弟「そんな魔術みたいなモンが本当にあるのか?あるとしたらどこにあるんだ!?」
男「はっはっは!!ニィちゃん。そいつはすげぇ宝だ。そう簡単に在処が分かる訳ねぇだろ。もし、在処を知っているとしたら、海賊王・・・もしくは海軍のお偉いさんじゃねぇの?」
そう言って積荷を下ろし終わった男は店の方へ歩いて行った。
弟「"天の宝珠"か・・・」
男の後姿を見ていた弟が呟いた。
兄「お前、もしかして今の話信じたのか?そんな都合の良いモンある訳ねぇだろ。それに今の男はカタギじゃねぇ。信用するにたらねぇよ。」
弟「いや、嘘を言っているようには見えなかった。あの男が俺らに嘘をつく必要も無いしな。俺は信じるぜ・・・!」
弟は目をキラキラさせながら言った。
弟「なぁ、俺たちで見つけようぜ、その宝!!そしたら毎日水に苦しむ事は無くなるし、雨を降らせて土壌が豊かになれば作物だってできる!こんな不味いパンを食わなくても済むんだ!」
兄「だが、どうやって・・・?宝の在処を知っているのは海賊王か海軍の上層部なんだろ?」
その時、船長の呼び声がした。
水を積み込み、船は離島へと戻った。
弟「なぁ、船長、海軍ってどうやって入ればいいんだ?」
仕事を終えて一服している船長へ、弟は疑問を投げかけた。
どうやら本気で海軍に入ろうと思っているらしい。
船長「あ?海軍?なにを突然・・・。」
弟「いいから教えてくれよ!俺、海軍に入らなきゃいけねーんだよ!」
船長はコイツは何を言っているんだ?と目で訴えてきたが、応えてくれるようお願いする仕草をすると、やれやれといった感じで応えた。
船長「あのな、海軍ってのはコネがいるんだよ。こーんな貧乏で何も持ってねぇガキを誰が入れるかよ。慈善事業じゃねぇんだぜ。それに、ココもある程度いるんだよ」
そう言って船長は弟の頭を指先でつつく。
船長「オメェみたいな直感で動く奴は、海軍には入れねーよ。ま、そうだな。お前ら2人、多少は腕が立つから、兄貴の方だったら傭兵くらいにはなれるかもな。」
弟「じゃあ、海賊!!海賊王にはどうやってなるんだ!?」
弟の突拍子も無い言葉に、船長は一瞬固まった。
船長「おま・・・!!簡単にんな事口にするんじゃねぇ!!」
「いいか、海賊王は全海賊を統べるものだ!それは海賊たちの畏敬の対象であり、また憧れでもある。海賊どもは野心家が多い。チャンスさえあれば取って代わろうという奴らを束ねなきゃなんねぇんだ。俺は長年船乗りをやっているが、海賊王の名を偽り、見栄を張ったが故に殺された奴らを多く見た。だから簡単にその名を出すんじゃねぇぞ。いいな!」
今まで見たこともないような怒気を含んだ船長の物言いに弟は怯むどころか、さらに燃えてたようだった。
その弟を連れて一旦家に帰り、もう一度2人で話し合った。
どのみちこのまま何も変わらなければ、この離島の住民たちは住めなくなるのは目に見えていた。だからと言って、テリア本土に住めるかというと、あそこはオアシスを巡り争いが絶えない島。離島で細々とではあるが安穏と暮らしていた人々が住めるとは思えない。
兄「おれは、テリアへ行き傭兵をやろうと思う。」
弟「え?」
兄「傭兵になって、うまくやれば海軍の情報が聞き出せるかもしれねぇ。ある程度頭脳が必要みたいだからな。お前よりも俺の方がいいだろう?」
弟「俺のことバカにしてんだろ?」
ギロッと睨む弟に、思わずプッと笑ってしまった。
昔から俺の方は慎重に、弟は猪突猛進に物事を進めてきた。一見、無鉄砲にも思われる弟だが、不思議と周りを巻き込みながらも、うまくやれてしまう人徳を持ち合わせていた。
弟「ま、だけどその通りだな。んじゃま俺は海賊王目指しますか!」
なんとも簡単そうに言い放つ弟に気を引き締めるよう最後に念を押す。
兄「・・・後戻りは出来ないぞ?いいんだな?」
弟「当たり前だ。故郷のために、お宝見つけよーぜ!!」
ネストルはヒロインに聞こえないよう、小声でリュウガにきいた。
リュウガ「あぁ」
ネストル「まだ確定ではないが、アイツも今回のことに絡んでいるらしい。分かっているとは思うがアイツはかなり汚い手を使ってくる。俺は出来る限り情報を集めておく。ドクロ島まで気をつけて行ってこい。」
そう言って、ネストルも帰って行った。
シリウス号はモルドーで物資補給をしておいたおかげでドクロ島へはすぐに向かうことができた。
ドクロ島へ着くと、ヒロインを連れてリュウガは洞窟の一番奥へと進んだ。
島の名前からは想像もつかないような美しい花が一面に咲く場所の中央に、その墓標があった。
リュウガはその墓標の前に屈むと、手を合わせた。
リュウガ「よぉ、元気だったか?遅くなっちまったが、お前との約束を守るぜ。その為に、"太陽の宝珠"は貰っていくからな。」
墓標の後ろを少し掘ると小さな箱を取り出した。
ヒロイン「これが、もう一つの宝珠・・・」
リュウガ「あぁ、これはな、コイツが愛したモルドーの姫様から貰ったものだ。コイツと二人で故郷を助ける為に宝珠を探しに出たのに、結局オレは一つも見つけられなくてな。」
リュウガはぽつりぽつりと過去の話をし始めた。
"天の宝珠"の話を耳にしたのは偶然だった。
故郷であるテリアの離島には水瓶となる池や湖は無く、住民たちが各々管理する樽に水を溜めて過ごしていた。だが、雨が1週間や2週間降らないことなどざらにある為、定期的にテリアの本土へ水を補給しに船を出していた。
リュウガ兄弟は幼い頃からその手伝いをしていた。
本土までの僅かな距離とはいえ、いつ海賊に襲われるか分からないため、武術はその船に乗っていた船員たちから習っていた。
その日も本土に渡り、水を購入していた。
兄「ほらよ、今日の食料だ」
船の兄貴分から支給された僅かな水と、乾いたパンを弟に投げて渡した。
弟「サンキュ。・・・にしても、本土も砂漠が広がってきたな。」
港の日陰に置いてある樽の上に座っていた弟の横に立つと、本土を眺めた。
先日まで僅かながら木が生えていた場所が、今はもうほぼ砂漠と化している。
兄「ここのオアシスも無くなるかもしれねぇな。そしたらかなり遠くのオアシスまで行くことになるのか・・・」
船での移動距離が長くなるに連れて、海賊に襲われる危険性が伴う。
弟「なんかこー、自由自在に雨を降らせる事ができる魔術とかなんかねぇかなぁー」
一口食べると口中の水分を吸い込む、決して美味くはないパンを水で流し込むと、弟はうーん、と伸びをしながら言った。
兄「んな都合のいいモンあるかよ」
???「あるぜ。」
後ろで積荷を下ろしていた男が話しかけてきた。頭に布を巻き、真っ黒に日焼けしたガタイの良い男からは少しだけ危険なニオイがした。
男「なんつったっけな・・・空・・・雲?いや、違うな。天・・・そう、"天の宝珠"!」
弟「"天の宝珠"・・・?」
男「あぁ。なんでもそれを手に入れれば自由自在に天気を操れるらしいぜ。」
弟「そんな魔術みたいなモンが本当にあるのか?あるとしたらどこにあるんだ!?」
男「はっはっは!!ニィちゃん。そいつはすげぇ宝だ。そう簡単に在処が分かる訳ねぇだろ。もし、在処を知っているとしたら、海賊王・・・もしくは海軍のお偉いさんじゃねぇの?」
そう言って積荷を下ろし終わった男は店の方へ歩いて行った。
弟「"天の宝珠"か・・・」
男の後姿を見ていた弟が呟いた。
兄「お前、もしかして今の話信じたのか?そんな都合の良いモンある訳ねぇだろ。それに今の男はカタギじゃねぇ。信用するにたらねぇよ。」
弟「いや、嘘を言っているようには見えなかった。あの男が俺らに嘘をつく必要も無いしな。俺は信じるぜ・・・!」
弟は目をキラキラさせながら言った。
弟「なぁ、俺たちで見つけようぜ、その宝!!そしたら毎日水に苦しむ事は無くなるし、雨を降らせて土壌が豊かになれば作物だってできる!こんな不味いパンを食わなくても済むんだ!」
兄「だが、どうやって・・・?宝の在処を知っているのは海賊王か海軍の上層部なんだろ?」
その時、船長の呼び声がした。
水を積み込み、船は離島へと戻った。
弟「なぁ、船長、海軍ってどうやって入ればいいんだ?」
仕事を終えて一服している船長へ、弟は疑問を投げかけた。
どうやら本気で海軍に入ろうと思っているらしい。
船長「あ?海軍?なにを突然・・・。」
弟「いいから教えてくれよ!俺、海軍に入らなきゃいけねーんだよ!」
船長はコイツは何を言っているんだ?と目で訴えてきたが、応えてくれるようお願いする仕草をすると、やれやれといった感じで応えた。
船長「あのな、海軍ってのはコネがいるんだよ。こーんな貧乏で何も持ってねぇガキを誰が入れるかよ。慈善事業じゃねぇんだぜ。それに、ココもある程度いるんだよ」
そう言って船長は弟の頭を指先でつつく。
船長「オメェみたいな直感で動く奴は、海軍には入れねーよ。ま、そうだな。お前ら2人、多少は腕が立つから、兄貴の方だったら傭兵くらいにはなれるかもな。」
弟「じゃあ、海賊!!海賊王にはどうやってなるんだ!?」
弟の突拍子も無い言葉に、船長は一瞬固まった。
船長「おま・・・!!簡単にんな事口にするんじゃねぇ!!」
「いいか、海賊王は全海賊を統べるものだ!それは海賊たちの畏敬の対象であり、また憧れでもある。海賊どもは野心家が多い。チャンスさえあれば取って代わろうという奴らを束ねなきゃなんねぇんだ。俺は長年船乗りをやっているが、海賊王の名を偽り、見栄を張ったが故に殺された奴らを多く見た。だから簡単にその名を出すんじゃねぇぞ。いいな!」
今まで見たこともないような怒気を含んだ船長の物言いに弟は怯むどころか、さらに燃えてたようだった。
その弟を連れて一旦家に帰り、もう一度2人で話し合った。
どのみちこのまま何も変わらなければ、この離島の住民たちは住めなくなるのは目に見えていた。だからと言って、テリア本土に住めるかというと、あそこはオアシスを巡り争いが絶えない島。離島で細々とではあるが安穏と暮らしていた人々が住めるとは思えない。
兄「おれは、テリアへ行き傭兵をやろうと思う。」
弟「え?」
兄「傭兵になって、うまくやれば海軍の情報が聞き出せるかもしれねぇ。ある程度頭脳が必要みたいだからな。お前よりも俺の方がいいだろう?」
弟「俺のことバカにしてんだろ?」
ギロッと睨む弟に、思わずプッと笑ってしまった。
昔から俺の方は慎重に、弟は猪突猛進に物事を進めてきた。一見、無鉄砲にも思われる弟だが、不思議と周りを巻き込みながらも、うまくやれてしまう人徳を持ち合わせていた。
弟「ま、だけどその通りだな。んじゃま俺は海賊王目指しますか!」
なんとも簡単そうに言い放つ弟に気を引き締めるよう最後に念を押す。
兄「・・・後戻りは出来ないぞ?いいんだな?」
弟「当たり前だ。故郷のために、お宝見つけよーぜ!!」