前編
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食後、みんなが仕事に出て行くと、リュウガはいつものようにナギに酒を頼んだ。
いつからか、酒がやめられなくなっていた。
もともと好きではあったが、傭兵だった頃は職業柄もあり、夜に嗜む程度だった。
しかし、海賊王になってからは意識のどこかで酒に重圧からの逃げ道を求めているのか、飲まずにはいられなかった。
ナギから酒瓶を受け取ると、ふと視線を感じた。ヒロインがキッチンの方から心配そうにこちらを見ている。気付かないフリをして、ナギに礼を言うと、食堂から出た。
夜、リュウガがシャワーを浴びて戻って来ると、ヒロインはベッドの上に座って待っていた。いつもはこの時間になると、昼間動き過ぎている事もあって、スヤスヤと寝ている。
リュウガ「どうした?起きてるなんて珍しいじゃねぇか」
ヒロイン「あの、船長。一度下っ端の私が口出すのはあまり良くないとは思いますが・・・」
リュウガ「ん?なんだ?言ってみろ」
ヒロイン「お酒、飲み過ぎじゃないですか?」
真剣な眼差しに、酒に逃げている自分を見透かされているような気持ちになり、目線を外す。
ヒロイン「ソウシさんも言ってました。もう少しお酒は控えないと、って・・・。確かにお酒は適量飲めば百薬の長になります。でも、船長の飲む量は・・・」
リュウガ「ハハ、お前もソウシも心配性だな。俺にとってはあれが適量なんだよ。」
「それともなにか?お前が酒の代わりになってくれるってのか?」
わざと目に妖しい光を灯し、ヒロインの両脇に手を差し込み、軽くベッドに押し倒す。
おそらくこういう経験はした事ないだろうヒロインが緊張し、身体を強張らせるのが分かる。
それでも真剣な眼差しはリュウガから外されることはなかった。
ヒロイン「・・・船長の為になるなら、私でお酒の代わりになれるなら、好きにしてください」
微かに震えているにも関わらず、その手をリュウガの手に重ねる。緊張からか、手は冷たくなっていた。
リュウガ「・・・フッ、冗談だよ。お前みたいな子どもに手を出したりしねーよ」
スッとヒロインの上から退くと、頭をポンポンと叩く。
リュウガ「俺の心配はいいから、早く寝ろ。今日もたくさん働いて疲れているだろ。」
ヒロイン「船長は・・・?」
リュウガ「ん?俺はまだやる事があるんだよ。気にせずいつものように寝てろよ」
そう言ってリュウガは剣を片手に甲板へと出ていった。
ヒロイン「・・・船長になら、いいのにな・・・」
ポソッと呟くヒロイン。
シリウス号に乗ってからまだ日は浅いが、リュウガは誰にも本心を見せていないと感じる時があった。
海賊王だからなのか、海賊というのはそういうものなのか分からないが、心の奥で苦しんでいるような、そんな気がしていた。
自分を救ってくれたリュウガに対し、出逢った時から感じていたなにか特別な気持ち。
それを明確に言い表すことは出来ないが、共に生活するうちに、その気持ちがどんどん大きくなっている。
バサッと毛布をかぶると、お酒と船長の匂いに包まれる。
今日ははぐらかされてしまったが、いつかリュウガの役に立ちたいと、そう思いながら、ヒロインは眠りについた。
真っ暗な甲板に、ヒュッと風を切る音が響く。
荒々しく見える太刀筋は、的確に見えない何かを斬っていた。
心が乱れた時は、剣を振るうのが一番落ち着く。何も考えず、無心に降り続ければ、やがて心の波は穏やかになる。
「やれやれ、あなたは本当に自分のこととなると鈍感なのか、あえて見ないフリをしているのか・・・」
小さな小包みとタオルを投げながら、マストの影からソウシが出て来た。
リュウガ「・・・なんだこれは?」
ソウシ「ヒロインちゃんがそれはそれはあなたのことを心配して相談に来たからね。気休め程度だけど、飲み過ぎの薬ですよ」
リュウガ「やれやれ、とんだ心配性だな」
ソウシ「ヒロインちゃんのお母さんが亡くなった時、お父さんは酒浸りになったそうだよ。その時、お酒のせいで体調を崩して、お父さんまでいなくなってしまうんじゃないかって、怖かったって。」
リュウガ「俺ァ、そんなヤワじゃねぇよ」
ソウシ「そうだと良いんですけど」
「ま、ロイじゃないですけど、あまりヒロインちゃんに心配かけないでくださいね。」
そう言って、ソウシは船室へと戻っていった。
リュウガは剣を鞘に収めると、頭をガシガシかきながら、仕方ねぇ、と呟き、薬を飲むための水を汲みにキッチンへ向かった。
キッチンには明かりがついており、ナギが翌日の仕込みを終えたところだった。
リュウガ「ナギ、仕事終わりに悪りぃが水を一杯くれねぇか?」
ナギは頷き、コップに水を入れて差し出した。
ナギ「船長、食料がそろそろ少なくなって来たんで、島に寄ってもらえませんか?」
リュウガ「そうか。明日シンと相談して、早目に島に寄ることにする。そろそろドクロ島へ向けて準備もしねぇといけねぇしな。」
ナギ「・・・とうとうドクロ島に行くんすね。」
リュウガ「あぁ。俺はどうしてもあそこに行かなきゃなんねぇからな」
グイッと薬と水を飲み込むと、ごっそうさん、とリュウガはキッチンを後にした。
翌日、ヒロインが目を覚ますとリュウガはもう部屋にはいなかった。
ベッドもリュウガがいた形跡はない。
慌てて身仕度をして、外へ出る。
食堂を覗くと、海図をひろげてリュウガとシンが話しをしていた。
昨夜のことがあったので、なんとなく気まずく、入るのを躊躇っていると、ポンッと肩に手が置かれた。
ソウシ「おはよう、ヒロインちゃん。」
ソウシの笑顔を見て、ヒロインはホッとし、そのまま2人で食堂へ入った。
リュウガは食堂の外にヒロインが来たのが分かっていたが、やはりどことなく気まずく、気付かないフリをしていた。
そこへ肩に手を置いたまま、ソウシと共にヒロインが来た。
ソウシはやれやれといった顔をしていたが、それは無視して、挨拶をする2人におう、とだけ返事をした。
いつからか、酒がやめられなくなっていた。
もともと好きではあったが、傭兵だった頃は職業柄もあり、夜に嗜む程度だった。
しかし、海賊王になってからは意識のどこかで酒に重圧からの逃げ道を求めているのか、飲まずにはいられなかった。
ナギから酒瓶を受け取ると、ふと視線を感じた。ヒロインがキッチンの方から心配そうにこちらを見ている。気付かないフリをして、ナギに礼を言うと、食堂から出た。
夜、リュウガがシャワーを浴びて戻って来ると、ヒロインはベッドの上に座って待っていた。いつもはこの時間になると、昼間動き過ぎている事もあって、スヤスヤと寝ている。
リュウガ「どうした?起きてるなんて珍しいじゃねぇか」
ヒロイン「あの、船長。一度下っ端の私が口出すのはあまり良くないとは思いますが・・・」
リュウガ「ん?なんだ?言ってみろ」
ヒロイン「お酒、飲み過ぎじゃないですか?」
真剣な眼差しに、酒に逃げている自分を見透かされているような気持ちになり、目線を外す。
ヒロイン「ソウシさんも言ってました。もう少しお酒は控えないと、って・・・。確かにお酒は適量飲めば百薬の長になります。でも、船長の飲む量は・・・」
リュウガ「ハハ、お前もソウシも心配性だな。俺にとってはあれが適量なんだよ。」
「それともなにか?お前が酒の代わりになってくれるってのか?」
わざと目に妖しい光を灯し、ヒロインの両脇に手を差し込み、軽くベッドに押し倒す。
おそらくこういう経験はした事ないだろうヒロインが緊張し、身体を強張らせるのが分かる。
それでも真剣な眼差しはリュウガから外されることはなかった。
ヒロイン「・・・船長の為になるなら、私でお酒の代わりになれるなら、好きにしてください」
微かに震えているにも関わらず、その手をリュウガの手に重ねる。緊張からか、手は冷たくなっていた。
リュウガ「・・・フッ、冗談だよ。お前みたいな子どもに手を出したりしねーよ」
スッとヒロインの上から退くと、頭をポンポンと叩く。
リュウガ「俺の心配はいいから、早く寝ろ。今日もたくさん働いて疲れているだろ。」
ヒロイン「船長は・・・?」
リュウガ「ん?俺はまだやる事があるんだよ。気にせずいつものように寝てろよ」
そう言ってリュウガは剣を片手に甲板へと出ていった。
ヒロイン「・・・船長になら、いいのにな・・・」
ポソッと呟くヒロイン。
シリウス号に乗ってからまだ日は浅いが、リュウガは誰にも本心を見せていないと感じる時があった。
海賊王だからなのか、海賊というのはそういうものなのか分からないが、心の奥で苦しんでいるような、そんな気がしていた。
自分を救ってくれたリュウガに対し、出逢った時から感じていたなにか特別な気持ち。
それを明確に言い表すことは出来ないが、共に生活するうちに、その気持ちがどんどん大きくなっている。
バサッと毛布をかぶると、お酒と船長の匂いに包まれる。
今日ははぐらかされてしまったが、いつかリュウガの役に立ちたいと、そう思いながら、ヒロインは眠りについた。
真っ暗な甲板に、ヒュッと風を切る音が響く。
荒々しく見える太刀筋は、的確に見えない何かを斬っていた。
心が乱れた時は、剣を振るうのが一番落ち着く。何も考えず、無心に降り続ければ、やがて心の波は穏やかになる。
「やれやれ、あなたは本当に自分のこととなると鈍感なのか、あえて見ないフリをしているのか・・・」
小さな小包みとタオルを投げながら、マストの影からソウシが出て来た。
リュウガ「・・・なんだこれは?」
ソウシ「ヒロインちゃんがそれはそれはあなたのことを心配して相談に来たからね。気休め程度だけど、飲み過ぎの薬ですよ」
リュウガ「やれやれ、とんだ心配性だな」
ソウシ「ヒロインちゃんのお母さんが亡くなった時、お父さんは酒浸りになったそうだよ。その時、お酒のせいで体調を崩して、お父さんまでいなくなってしまうんじゃないかって、怖かったって。」
リュウガ「俺ァ、そんなヤワじゃねぇよ」
ソウシ「そうだと良いんですけど」
「ま、ロイじゃないですけど、あまりヒロインちゃんに心配かけないでくださいね。」
そう言って、ソウシは船室へと戻っていった。
リュウガは剣を鞘に収めると、頭をガシガシかきながら、仕方ねぇ、と呟き、薬を飲むための水を汲みにキッチンへ向かった。
キッチンには明かりがついており、ナギが翌日の仕込みを終えたところだった。
リュウガ「ナギ、仕事終わりに悪りぃが水を一杯くれねぇか?」
ナギは頷き、コップに水を入れて差し出した。
ナギ「船長、食料がそろそろ少なくなって来たんで、島に寄ってもらえませんか?」
リュウガ「そうか。明日シンと相談して、早目に島に寄ることにする。そろそろドクロ島へ向けて準備もしねぇといけねぇしな。」
ナギ「・・・とうとうドクロ島に行くんすね。」
リュウガ「あぁ。俺はどうしてもあそこに行かなきゃなんねぇからな」
グイッと薬と水を飲み込むと、ごっそうさん、とリュウガはキッチンを後にした。
翌日、ヒロインが目を覚ますとリュウガはもう部屋にはいなかった。
ベッドもリュウガがいた形跡はない。
慌てて身仕度をして、外へ出る。
食堂を覗くと、海図をひろげてリュウガとシンが話しをしていた。
昨夜のことがあったので、なんとなく気まずく、入るのを躊躇っていると、ポンッと肩に手が置かれた。
ソウシ「おはよう、ヒロインちゃん。」
ソウシの笑顔を見て、ヒロインはホッとし、そのまま2人で食堂へ入った。
リュウガは食堂の外にヒロインが来たのが分かっていたが、やはりどことなく気まずく、気付かないフリをしていた。
そこへ肩に手を置いたまま、ソウシと共にヒロインが来た。
ソウシはやれやれといった顔をしていたが、それは無視して、挨拶をする2人におう、とだけ返事をした。