前編
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ヒロインを救出した後、各々、追手を払いながらシリウス号で合流した。
そして、海軍が出航準備をしている間にシリウス号は事前にネストルから教えてもらっていた、海軍すら知らない小さな湾へと向かった。
この時期の風はある一定の方向から吹くため、今島から離れたとしても、どの方向へ逃げたのか、足がつきやすい。
よって、ほとぼりが冷めるまで暫くは、身を隠した方が良いとネストルに言われたからだ。
湾に入るまで、ヒロインはずっとリュウガの部屋に隠れ、他のメンバーは全員が全方向に注意を払っていた。
シン「おそらくここが指定された湾でしょう。」
ソウシ「なるほど、木が入り口を塞いでいるから、外からは気づかれない仕組みになっているんだね。」
トワ「さすがシンさんです。あんなに木が生えてるのにそれを通り抜けるなんて」
湾の入り口には、水中から生える木々が密生していたが、シリウス号が辛うじて通れる幅はあった。
この先に湾があることを知らなければ、余程の人間でなければこの木々の間をぬって船を進めようとは思わないだろう。
まして、海軍のような保守的な組織はそんな冒険など絶対にしない。
ネストルから渡された詳細な海図のお陰で、シンは木々に接触することなく、湾まで辿り着いた。
周りの安全を確認すると、リュウガはヒロインを部屋から出した。
リュウガ「・・・すぐに助けに行ってやれなくてすまなかった。ケガはないか?」
綿帽子をそっと取ると、ヒロインの顔を覗き込むようにしてリュウガはたずねた。
ヒロインは小刻みに震えた手を隠すように握ると、潤んだ瞳で自分の周りに集まったメンバーをゆっくり見回し、笑顔で答えた。
ヒロイン「はい、助けに来て下さってありがとうございます」
リュウガ「!?」
その笑顔に胸が締め付けられるように感じたリュウガは、ヒロインを強く抱き締めた。
ヒロイン「せんちょ?苦しいです・・・」
リュウガ「バカ野郎!お前がどんだけ怖い思いしたかなんて分かってんだよ!無理矢理笑ってんじゃねぇ!」
こんなに、震えてやがんのにーーー!!
力強く抱きしめるリュウガの腕に、ヒロインはそっと触れた。
ヒロイン「・・・怖かった・・・でも、船長が『俺たちを信じろ』って言ってくれたので、必ず迎えに来てくれると、そう信じてました。」
ヒロインを迎えた歓迎の宴で確かにそう言った。
だが、それだけで?
俺たちは誰からも信頼されない、海賊だというのに?
その場にいた全員が、驚いたようにヒロインを見つめた。
(本当に、ヒロインちゃんには不思議な力があるみたいだな。)
そんなことを思い、ソウシはフッと笑顔になると、リュウガの肩に手を置いた。
ソウシ「さぁ、船長、ヒロインちゃんに怪我が無いか確認するからどいてもらっていいかな?みんなは、しばらくこの地に身を隠さなきゃいけないからその準備をよろしくね。」
ヒロインを支えるように医務室へ連れて行く。
もう震えは止まっているようだった。
そして、海軍が出航準備をしている間にシリウス号は事前にネストルから教えてもらっていた、海軍すら知らない小さな湾へと向かった。
この時期の風はある一定の方向から吹くため、今島から離れたとしても、どの方向へ逃げたのか、足がつきやすい。
よって、ほとぼりが冷めるまで暫くは、身を隠した方が良いとネストルに言われたからだ。
湾に入るまで、ヒロインはずっとリュウガの部屋に隠れ、他のメンバーは全員が全方向に注意を払っていた。
シン「おそらくここが指定された湾でしょう。」
ソウシ「なるほど、木が入り口を塞いでいるから、外からは気づかれない仕組みになっているんだね。」
トワ「さすがシンさんです。あんなに木が生えてるのにそれを通り抜けるなんて」
湾の入り口には、水中から生える木々が密生していたが、シリウス号が辛うじて通れる幅はあった。
この先に湾があることを知らなければ、余程の人間でなければこの木々の間をぬって船を進めようとは思わないだろう。
まして、海軍のような保守的な組織はそんな冒険など絶対にしない。
ネストルから渡された詳細な海図のお陰で、シンは木々に接触することなく、湾まで辿り着いた。
周りの安全を確認すると、リュウガはヒロインを部屋から出した。
リュウガ「・・・すぐに助けに行ってやれなくてすまなかった。ケガはないか?」
綿帽子をそっと取ると、ヒロインの顔を覗き込むようにしてリュウガはたずねた。
ヒロインは小刻みに震えた手を隠すように握ると、潤んだ瞳で自分の周りに集まったメンバーをゆっくり見回し、笑顔で答えた。
ヒロイン「はい、助けに来て下さってありがとうございます」
リュウガ「!?」
その笑顔に胸が締め付けられるように感じたリュウガは、ヒロインを強く抱き締めた。
ヒロイン「せんちょ?苦しいです・・・」
リュウガ「バカ野郎!お前がどんだけ怖い思いしたかなんて分かってんだよ!無理矢理笑ってんじゃねぇ!」
こんなに、震えてやがんのにーーー!!
力強く抱きしめるリュウガの腕に、ヒロインはそっと触れた。
ヒロイン「・・・怖かった・・・でも、船長が『俺たちを信じろ』って言ってくれたので、必ず迎えに来てくれると、そう信じてました。」
ヒロインを迎えた歓迎の宴で確かにそう言った。
だが、それだけで?
俺たちは誰からも信頼されない、海賊だというのに?
その場にいた全員が、驚いたようにヒロインを見つめた。
(本当に、ヒロインちゃんには不思議な力があるみたいだな。)
そんなことを思い、ソウシはフッと笑顔になると、リュウガの肩に手を置いた。
ソウシ「さぁ、船長、ヒロインちゃんに怪我が無いか確認するからどいてもらっていいかな?みんなは、しばらくこの地に身を隠さなきゃいけないからその準備をよろしくね。」
ヒロインを支えるように医務室へ連れて行く。
もう震えは止まっているようだった。