リュウガ「それで？あいつを助けるにはどうしたらいい？」

ネストル「明日の夜、おそらくあの子を攫った海軍は、盛大な式典を行うだろう。」

リュウガ「式典？」

ネストル「ああ、ヤマトの娘を娶ったと大々的に世間に知らしめる為の式典・・・言わば結婚式のようなものか？」

リュウガは思わず地面の砂を握りしめた。

リュウガ「結婚式だと・・・！？攫ったのはついさっきだぞ！！」

殺気立つリュウガを横目に、ネストルは穴の空いた天井を見つめた。

ネストル「自身の出世と、名声がかかってるんだ。直ぐにでも、公表したいと思うのは当然だろう？」

「まぁ、そこにあの子の感情など一切関係していないがな・・・」

再び寂しさを帯びた声で呟くネストルの元へ、天井の穴から一匹の鳥が舞い降りた。

下から見ると真っ白であったが、上面は艶やかな紺青が光を浴びて美しく輝き、喉元は赤く、どこか妖艶な雰囲気を持つ鳥だった。


ネストル「あぁ、やはりな。もうこの島全土に式典開催のビラが配られているようだ。」

その鳥の足元に括り付けてあった紙を確認して、ネストルはそう言った。

ネストル「もし、助け出すとしたらこの式典での一瞬のチャンスにかけるしかない。」

リュウガ「どういうことだ？」

ネストル「ヤマトの女は権力の象徴だ。象徴はそこに存在してさえいればいい。つまり、この結婚式でのお披露目が終われば、誰にも知られないところに軟禁され、必要な時に必要な場所にのみ外出を許される。」

籠の鳥・・・

もし、このまま無事に助け出せなければ、あいつはまた籠の鳥に逆戻り・・・
いや、もっと酷い状態になってしまう・・・

ネストル「式典は、邸宅の前で行われる。そして、ほんの一瞬、妻として紹介される為にあの子はバルコニーに姿を見せるだろう。機会はその一瞬だ。」

「俺の仲間も援護に加わる。みすみすチャンスを逃すようなことはしてくれるなよ？海賊王？」