前編
空欄の場合は吉乃になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
老人に連れて来られたのは本当に同じ島なのかと疑ってしまいたくなるほど汚く、薄汚れた廃墟のような街だった。
リュウガ「・・・なんだここは?」
あまりの惨憺たるありさまに思わず呟くリュウガ。
老人「何をそんなに驚く?あんなに煌々と輝く場所があるんだ。その光からできる陰はさぞ暗かろう?」
当然だと言わんばかりの老人について歩いて行きながら、そうとは気付かれないように街の様子を確認していく。
道の脇には目付きの悪い輩が屯って座り、煙草を吸っている。その隣には、壁にもたれ掛かりながら、酒瓶を片手に寝ている人、博打をしている人・・・
道にはゴミが散らかり、ネズミたちが捨てられた残飯に集まっている。
着ている物も、人の雰囲気も、先程の大通りとはまるで異なっていた。
老人「ま、俺はこっちの雰囲気のが好きだけどな。人間が人間らしくていい。あの煌びやかな街は上っ面ばっかりだ。」
「それに、こういう場所の方が情報が入ってくる。もちろん、お前さんのこともな。」
そう言って老人は崩れかけの、ツルでびっしりと覆われた広い闘技場のような場所へリュウガを案内した。
その広い闘技場の中央に座ると、お前も座れと目で合図をする。
その合図を無視して、リュウガは苛立つように問いた。
リュウガ「それで、何故俺をこんな場所へ連れて来た?」
老人「ははっ、まぁそう焦んなさんな。よほどあの女の子が大事とみえる。」
愉快そうに目を細めて酒瓶をあおると、床にドンっと置いた。
老人「リュウガも女好きだったからなぁ。そんなあいつが一人の女の為に命を落とすとは思わなかった・・・」
独り言のように呟いたその言葉に、苛立ちを募らせたリュウガは叫んだ。
リュウガ「いい加減教えてくれ!あんたは一体誰なんだ?何故俺の事、弟のことを知っている?」
リュウガの声が闘技場に響き渡る。
その余韻が消え、二人を静寂が包んだ。
そして、威厳のある声が闘技場に響いた。
老人「俺の名はネストル。前の海賊王ランドルフの弟だ。」
リュウガ「!!?」
ネストル「加えて、お前の弟リュウガの師範代ってとこか?」
弟が、海賊王になった詳しい経緯は知らなかった。
が、海賊王の船に乗っているらしいという噂は聞いた事があったが、本当だったとは・・・
リュウガが言葉を発せずにいると、ネストルは壊れかけの闘技場を懐かしむようにゆっくりと見渡した。
ネストル「ここは、お前さんの弟とよく稽古をした場所だ。かなりボコボコにしてやっても、負けん気が強くて、血だらけになりながら突っ込んできたな。」
はは、と笑いながら優しい目でリュウガを見据えた。それはまるで、自分を通して弟を見ているようだと感じた。
ネストル「さて、あの子のことだが・・・」
リュウガはハッとしてネストルに近寄り、腰を下ろした。
ネストル「なぜ、あの子が攫われたか分かるか?」
リュウガ「俺が・・・連れていたからか?」
海賊王だと知っている奴からすれば、連れの女を攫い、人質にして首を取ろうと考える者も少なくはないだろう。
だからこそ、自分の身を自分で守れる者以外は身近に置かなかった。
ネストル「いや、今回あの子を攫ったのは、お前さんのこととは関係無い。」
「言っただろう?あの子はきっとお姫様扱いされている、と」
確かに、攫われた場所で、慌てて追いかけようとするリュウガを制し、そんな事を言っていた。
リュウガ「お姫様扱いとはどういう事だ?」
全く訳が分からないといった雰囲気のリュウガに、ネストルは穏やかな、しかしどこか哀しみを帯びた声ででゆっくりと話した。
リュウガ「・・・なんだここは?」
あまりの惨憺たるありさまに思わず呟くリュウガ。
老人「何をそんなに驚く?あんなに煌々と輝く場所があるんだ。その光からできる陰はさぞ暗かろう?」
当然だと言わんばかりの老人について歩いて行きながら、そうとは気付かれないように街の様子を確認していく。
道の脇には目付きの悪い輩が屯って座り、煙草を吸っている。その隣には、壁にもたれ掛かりながら、酒瓶を片手に寝ている人、博打をしている人・・・
道にはゴミが散らかり、ネズミたちが捨てられた残飯に集まっている。
着ている物も、人の雰囲気も、先程の大通りとはまるで異なっていた。
老人「ま、俺はこっちの雰囲気のが好きだけどな。人間が人間らしくていい。あの煌びやかな街は上っ面ばっかりだ。」
「それに、こういう場所の方が情報が入ってくる。もちろん、お前さんのこともな。」
そう言って老人は崩れかけの、ツルでびっしりと覆われた広い闘技場のような場所へリュウガを案内した。
その広い闘技場の中央に座ると、お前も座れと目で合図をする。
その合図を無視して、リュウガは苛立つように問いた。
リュウガ「それで、何故俺をこんな場所へ連れて来た?」
老人「ははっ、まぁそう焦んなさんな。よほどあの女の子が大事とみえる。」
愉快そうに目を細めて酒瓶をあおると、床にドンっと置いた。
老人「リュウガも女好きだったからなぁ。そんなあいつが一人の女の為に命を落とすとは思わなかった・・・」
独り言のように呟いたその言葉に、苛立ちを募らせたリュウガは叫んだ。
リュウガ「いい加減教えてくれ!あんたは一体誰なんだ?何故俺の事、弟のことを知っている?」
リュウガの声が闘技場に響き渡る。
その余韻が消え、二人を静寂が包んだ。
そして、威厳のある声が闘技場に響いた。
老人「俺の名はネストル。前の海賊王ランドルフの弟だ。」
リュウガ「!!?」
ネストル「加えて、お前の弟リュウガの師範代ってとこか?」
弟が、海賊王になった詳しい経緯は知らなかった。
が、海賊王の船に乗っているらしいという噂は聞いた事があったが、本当だったとは・・・
リュウガが言葉を発せずにいると、ネストルは壊れかけの闘技場を懐かしむようにゆっくりと見渡した。
ネストル「ここは、お前さんの弟とよく稽古をした場所だ。かなりボコボコにしてやっても、負けん気が強くて、血だらけになりながら突っ込んできたな。」
はは、と笑いながら優しい目でリュウガを見据えた。それはまるで、自分を通して弟を見ているようだと感じた。
ネストル「さて、あの子のことだが・・・」
リュウガはハッとしてネストルに近寄り、腰を下ろした。
ネストル「なぜ、あの子が攫われたか分かるか?」
リュウガ「俺が・・・連れていたからか?」
海賊王だと知っている奴からすれば、連れの女を攫い、人質にして首を取ろうと考える者も少なくはないだろう。
だからこそ、自分の身を自分で守れる者以外は身近に置かなかった。
ネストル「いや、今回あの子を攫ったのは、お前さんのこととは関係無い。」
「言っただろう?あの子はきっとお姫様扱いされている、と」
確かに、攫われた場所で、慌てて追いかけようとするリュウガを制し、そんな事を言っていた。
リュウガ「お姫様扱いとはどういう事だ?」
全く訳が分からないといった雰囲気のリュウガに、ネストルは穏やかな、しかしどこか哀しみを帯びた声ででゆっくりと話した。