クロース島はオシャレな島として有名な場所だった。

世界各国から、ファッションリーダーと呼ばれる人たちが買い物に来るし、流行というものはこの島から生まれている。

そんな有名な島である為、ここを訪れる人の数も半端ではなかった。

ヒロイン「こんなにたくさんの人を見たのは初めてです。世界にはとてもたくさんの人がいるのですね。」

人の多さにどうしたらいいかわからないような顔をして、辺りを見回しているヒロインが呟いた。

リュウガ「おい、シン。お前なら何かコイツに良さげなもの見繕うことが出来るだろ。一緒に行ってやれ。」

シン「何言ってるんですか、船長。女の扱いなら貴方が一番慣れてるでしょう。私はこの街にしかない貴重な海図を買いに行ってきます。」


クロース島は洋服だけでなく、世界各国の物資が集まる。よって、ナギは食材、ハヤテは武器、トワは生活必需品を、ソウシは薬を買いに行くと言うので、結局ヒロインの買い物はリュウガが付き合う事になった。


ヒロインの歩調にあわせてゆっくり歩く。
それだけで人混みを歩いているのに何故か心が落ち着いてゆく。

ヒロイン「あっ、船長！このお店入っていいですか？」

ヒロインが言った店は、オシャレな店が並ぶ大通りから一本奥に入った所にある、シンプルなお店だった。

店内を見回すと、飾り気のない服ばかりだった。

その中でもヒロインが選んだのは、シンプルな白いシャツと、ベスト、そしてパンツだけだった。

リュウガ「そんなんでいいのか？お前は年頃の女なんだし、可愛い服を選べばイイじゃねぇか？」

思わず口を出してしまう。

そんなリュウガの心配りに、ヒロインは少し照れたように話す。

ヒロイン「ヤマトにいた頃は父親が、女の嗜みだと言って、清楚なワンピースしか着せて貰えなかったんです。だから、こういう格好がしたいんです。」

リュウガ「そうなのか？」

確かにヤマトから着ている服は、首元にリボンがあり、少しフリルのついた、いかにもお嬢さんといった雰囲気のワンピースだった。

やはり、不思議な子だ。
女ならば金さえあれば、着飾ることが三度の飯より好きなもんだとばかり思っていたが、そうじゃない奴もいるのか・・・

ヒロインの言動は、リュウガの持つ女性像をどんどん壊していった。
その度に、ヒロインを魅力的だと思う自分がいることに、リュウガはまだ気が付いてなかった。