marriage~シンさんの理想の奥さんになるために~
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私は覚悟を決めてよろず草を自分の口に入れた。
薬草にしては珍しく甘い味が、ふわりと喉まで香る。
そしてぐったりとしたシンさんの顎を両手で持ち上げて―
「おいっ…っ…!!」
いつかのシンさんがそうしてくれたように、
重ねた唇から、流し込む。
ゴクン。
シンさんの喉がよろず草を呑み込む音が聞こえた。
…良かった…。
「…チッ。驚いて飲んじまったじゃねーか」
バツが悪そうにふいっとシンさんは瞳を逸らした。
「ふふ。私が死にかけていた時と逆ですね。初めてキスした…あっ、私が意識がある時に、シンさんが初めてキスしてくれた日と」
あとから、もっと前にもキスをしていたと聞かされたのだけれど。
海に落ちて肺炎になり、薬が飲めなかった私にシンさんは口移しで薬を飲ませてくれた。
あの時は突然でびっくりしたけれど今思うとものすごくシンさんらしい強引な優しさだった。
よろず草を飲み込ませるためとはいえ、自分から強引にキスしたことに恥ずかしくなって私はつい早口になる。
「そうだっ。火を起こしますね!待っててください!」
シンさんは岩にもたれたまま、穏やかに微笑んだ。
「お前に出来るのか?」
「シンさんが起こしているのを何度も見てますから大丈夫です!まかせてください!」
苦戦しながらなんとか火をおこしてシンさんの上着を乾かす。
「傷口を綺麗にしたほうがいいので…それも脱いでください」
おそるおそる言うと、シンさんは素直にシャツを脱いでくれる。
剥きだしの背中の傷が痛々しい…
自分のブラウスの袖を破って裂いてから、出来る限り綺麗な水に浸し、シンさんの背中を丁寧に拭く。
シンさんは目を閉じたまま、ずっと私に身を任せてくれていた。
半時ほど時が過ぎて―
火に照らされたシンさんの顔には少しずつだけれど生気が戻ってきていた。
閉じていたシンさんの瞳が開いて、視線がぶつかる。
「そばに来い」
シンさんに呼ばれて私はすぐ近くに腰を下ろした。
後ろから腕を回されてそっと抱きしめられる。
「…おかげで随分楽になった。…ありがとう」
シンさんは躊躇いがちに言う。
「よかった…っ」
「…成長したな」
「え?」
「お前は立派に海賊の…いや、俺の妻だと思ってな」
「私、ちゃんとお役に立ててますか?」
「役に立ってるどころじゃねーよ…救われてる」
「シンさん…」
「お前がシリウスに来た頃は、ただの足手まといで何もできない処女だと思っていたが…」
「…あの…し、処女は余計では?」
「ソコにいちいち反応するのは変わらねーな」
確かにあの頃…
シンさんには処女だ処女だと言われ続けて。
子供扱いされているのが悔しくて。
突き放されるのが淋しくて。
シンさんの後をずっと追いかけてきた。
「ねえ、シンさん。氷の島で同じように抱きしめてくれたことありましたよね。こうしてると穏やかな気持ちになるって」
「そんなこと言ったか?」
「言いましたよ!私はちゃんと覚えてます!だって、意地悪だったシンさんとの距離が近付いた気がして、すごくうれしかったんですから」
「フン。お前が俺を兄貴みたいだと言った時だろ?」
「そんなこと言いました?」
「言った。誰がお前の兄貴なんだと呆れた覚えがあるからな」
シンさんの意外な面倒見の良さを表すのに、お兄ちゃんみたい、という表現しかあの頃の私は思いつかなかった。
すでにあの時、私のなかには芽生えていた想いがあったのに。
「今でも、そう思うのか?」
シンさんはからかうように瞳を覗き込んできた。
「…今は、違います」
「どう違うんだ?」
シンさんの唇が近付いてくる。
「お兄ちゃんじゃ…ないです」
「俺は一度だってお前を妹みたいだなんて思えたことはねーよ。思おうとしたことはあったけどな」
「じゃあ、何ですか…?」
唇が頬に触れた。
それから耳たぶに。
俺が恋に落ちた、ただ一人の女、だ―――
囁きが聴こえて、溶ける。
「お前も…濡れた服を脱いで乾かさないとな」
とっくに乾き始めているブラウスのボタンにシンさんの指が触れて、私たちは小さな洞窟の中で絡まるように身体を横たえた。
薬草にしては珍しく甘い味が、ふわりと喉まで香る。
そしてぐったりとしたシンさんの顎を両手で持ち上げて―
「おいっ…っ…!!」
いつかのシンさんがそうしてくれたように、
重ねた唇から、流し込む。
ゴクン。
シンさんの喉がよろず草を呑み込む音が聞こえた。
…良かった…。
「…チッ。驚いて飲んじまったじゃねーか」
バツが悪そうにふいっとシンさんは瞳を逸らした。
「ふふ。私が死にかけていた時と逆ですね。初めてキスした…あっ、私が意識がある時に、シンさんが初めてキスしてくれた日と」
あとから、もっと前にもキスをしていたと聞かされたのだけれど。
海に落ちて肺炎になり、薬が飲めなかった私にシンさんは口移しで薬を飲ませてくれた。
あの時は突然でびっくりしたけれど今思うとものすごくシンさんらしい強引な優しさだった。
よろず草を飲み込ませるためとはいえ、自分から強引にキスしたことに恥ずかしくなって私はつい早口になる。
「そうだっ。火を起こしますね!待っててください!」
シンさんは岩にもたれたまま、穏やかに微笑んだ。
「お前に出来るのか?」
「シンさんが起こしているのを何度も見てますから大丈夫です!まかせてください!」
苦戦しながらなんとか火をおこしてシンさんの上着を乾かす。
「傷口を綺麗にしたほうがいいので…それも脱いでください」
おそるおそる言うと、シンさんは素直にシャツを脱いでくれる。
剥きだしの背中の傷が痛々しい…
自分のブラウスの袖を破って裂いてから、出来る限り綺麗な水に浸し、シンさんの背中を丁寧に拭く。
シンさんは目を閉じたまま、ずっと私に身を任せてくれていた。
半時ほど時が過ぎて―
火に照らされたシンさんの顔には少しずつだけれど生気が戻ってきていた。
閉じていたシンさんの瞳が開いて、視線がぶつかる。
「そばに来い」
シンさんに呼ばれて私はすぐ近くに腰を下ろした。
後ろから腕を回されてそっと抱きしめられる。
「…おかげで随分楽になった。…ありがとう」
シンさんは躊躇いがちに言う。
「よかった…っ」
「…成長したな」
「え?」
「お前は立派に海賊の…いや、俺の妻だと思ってな」
「私、ちゃんとお役に立ててますか?」
「役に立ってるどころじゃねーよ…救われてる」
「シンさん…」
「お前がシリウスに来た頃は、ただの足手まといで何もできない処女だと思っていたが…」
「…あの…し、処女は余計では?」
「ソコにいちいち反応するのは変わらねーな」
確かにあの頃…
シンさんには処女だ処女だと言われ続けて。
子供扱いされているのが悔しくて。
突き放されるのが淋しくて。
シンさんの後をずっと追いかけてきた。
「ねえ、シンさん。氷の島で同じように抱きしめてくれたことありましたよね。こうしてると穏やかな気持ちになるって」
「そんなこと言ったか?」
「言いましたよ!私はちゃんと覚えてます!だって、意地悪だったシンさんとの距離が近付いた気がして、すごくうれしかったんですから」
「フン。お前が俺を兄貴みたいだと言った時だろ?」
「そんなこと言いました?」
「言った。誰がお前の兄貴なんだと呆れた覚えがあるからな」
シンさんの意外な面倒見の良さを表すのに、お兄ちゃんみたい、という表現しかあの頃の私は思いつかなかった。
すでにあの時、私のなかには芽生えていた想いがあったのに。
「今でも、そう思うのか?」
シンさんはからかうように瞳を覗き込んできた。
「…今は、違います」
「どう違うんだ?」
シンさんの唇が近付いてくる。
「お兄ちゃんじゃ…ないです」
「俺は一度だってお前を妹みたいだなんて思えたことはねーよ。思おうとしたことはあったけどな」
「じゃあ、何ですか…?」
唇が頬に触れた。
それから耳たぶに。
俺が恋に落ちた、ただ一人の女、だ―――
囁きが聴こえて、溶ける。
「お前も…濡れた服を脱いで乾かさないとな」
とっくに乾き始めているブラウスのボタンにシンさんの指が触れて、私たちは小さな洞窟の中で絡まるように身体を横たえた。