marriage~シンさんの理想の奥さんになるために~
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顔に冷たいものが…
目が覚めると、いつしか雨が降り出していた。
身体がずぶ濡れになっている。
崖から落ちて…しばらく気を失っていたんだ…
私たちは厚く茂った草の上に投げ出されていた。
それがクッションになったのか、
少し身体は痛むけれど何とか動かせる。
辺りは既に真っ暗で、生い茂る木々以外ほとんど何も見えない。
頭上を見上げると落ちた崖のてっぺんが高くに見えて、
もう月が覗いていた。
「シンさんっ」
隣に横たわったシンさんに声をかけるけれど、反応が無い。
まさか―――
「シンさんっ…!」
もう一度大きな声で呼んでみる。
「…うるせーな」
「生きてるっ!よ、よかったっ…」
「勝手に殺すんじゃねーよ」
抱きつくと、シンさんは痛そうに顔をしかめた。
「落ちる時に、私をかばってくれたから…」
落ちる時にシンさんにきつく抱きしめられていたのは覚えている。
その為にシンさんは全身を強く打っていて、
少し身体を動かすのも辛そうだった。
「…雨か。ずぶ濡れだな」
「風も出てきてるし、このままだと冷えてしまいますね」
キョロキョロと周りを見廻すと、崖のふもとに洞窟のようなものが見えた。
「シンさん。歩けますか?ちょっとだけ我慢してください」
私はシンさんをゆっくりと起こして肩を支えると、洞窟を目指した。
洞窟の中はさほど広くなくて、ちょうど月の光が僅かだけ差し込んで先ほどいた場所よりも明るい。
雨風が直接当たらなくなったぶん身体から熱が奪われるのはおさまった。雨は段々と強さを増していくようだ。
「この雨じゃ、村人が俺たちを探しに山に入るのも無理だろうな…」
「はい。雨が止んで明るくなるまでここで休みましょう」
「…ここは人工的に掘られた穴みたいだな」
岩に背をもたれたシンさんが少し顔をしかめた。
その様子に不安を覚えた私はシンさんの後ろに回る。
「シンさん!背中がっ…」
シンさんの背中にはクマにつけられた爪傷があり、上着を突き破ってうっすらと血がにじんでいた。
落ちる寸前に、やっぱりクマに…!
さっきシンさんを支えた時に手に冷たい感触があったのは、この血だったんだ…
改めて自分の手の平をみると、シンさんの血がこびり付いていた。
「こんなに血が…」
「騒ぐな。たいしたことはない」
そう言うシンさんの顔が、少しずつ色を失っていくように見える。
どうしよう…どうしたら…。
「あっ!これ…!!」
ポケットに入れたよろず草を取り出す。
シスターはたしか、傷にも効くと言っていた。
「シンさん!これを食べてください!」
「…それは、よろず草…?」
「はい!傷に効くんですよね?」
「お前、ここにそれを取りにきたのか?」
「はい。寝相が治るかなと思って。でも本当にごめんなさい。シンさんをこんな目に合わせてしまって…私を探しに来てくれたんですか?」
「お前の姿が見当たらなかったから、どうせまたふらふらと危ない目に合ってるんじゃねーかと思ってな」
…その通りすぎて反論できない…
「フン。確かに、その草なら多少寝相に効くかもしれねーな。年寄の徘徊病が治ったと聞いたことがある」
や、やっぱり私の寝相ってお年寄の徘徊病と一緒なの!?
「…それはお前が口にしろ。珍しい草だからそう手に入るものじゃないんだ」
「私の寝相はいいんです!シンさんの傷の方が大事です!!」
「お前の寝相も、俺の一大事だ」
「そ、そうですけどっ…でも、今はっ…」
何度言っても、シンさんは『たいしたことねーから』と草を口にしてくれそうにない。
目が覚めると、いつしか雨が降り出していた。
身体がずぶ濡れになっている。
崖から落ちて…しばらく気を失っていたんだ…
私たちは厚く茂った草の上に投げ出されていた。
それがクッションになったのか、
少し身体は痛むけれど何とか動かせる。
辺りは既に真っ暗で、生い茂る木々以外ほとんど何も見えない。
頭上を見上げると落ちた崖のてっぺんが高くに見えて、
もう月が覗いていた。
「シンさんっ」
隣に横たわったシンさんに声をかけるけれど、反応が無い。
まさか―――
「シンさんっ…!」
もう一度大きな声で呼んでみる。
「…うるせーな」
「生きてるっ!よ、よかったっ…」
「勝手に殺すんじゃねーよ」
抱きつくと、シンさんは痛そうに顔をしかめた。
「落ちる時に、私をかばってくれたから…」
落ちる時にシンさんにきつく抱きしめられていたのは覚えている。
その為にシンさんは全身を強く打っていて、
少し身体を動かすのも辛そうだった。
「…雨か。ずぶ濡れだな」
「風も出てきてるし、このままだと冷えてしまいますね」
キョロキョロと周りを見廻すと、崖のふもとに洞窟のようなものが見えた。
「シンさん。歩けますか?ちょっとだけ我慢してください」
私はシンさんをゆっくりと起こして肩を支えると、洞窟を目指した。
洞窟の中はさほど広くなくて、ちょうど月の光が僅かだけ差し込んで先ほどいた場所よりも明るい。
雨風が直接当たらなくなったぶん身体から熱が奪われるのはおさまった。雨は段々と強さを増していくようだ。
「この雨じゃ、村人が俺たちを探しに山に入るのも無理だろうな…」
「はい。雨が止んで明るくなるまでここで休みましょう」
「…ここは人工的に掘られた穴みたいだな」
岩に背をもたれたシンさんが少し顔をしかめた。
その様子に不安を覚えた私はシンさんの後ろに回る。
「シンさん!背中がっ…」
シンさんの背中にはクマにつけられた爪傷があり、上着を突き破ってうっすらと血がにじんでいた。
落ちる寸前に、やっぱりクマに…!
さっきシンさんを支えた時に手に冷たい感触があったのは、この血だったんだ…
改めて自分の手の平をみると、シンさんの血がこびり付いていた。
「こんなに血が…」
「騒ぐな。たいしたことはない」
そう言うシンさんの顔が、少しずつ色を失っていくように見える。
どうしよう…どうしたら…。
「あっ!これ…!!」
ポケットに入れたよろず草を取り出す。
シスターはたしか、傷にも効くと言っていた。
「シンさん!これを食べてください!」
「…それは、よろず草…?」
「はい!傷に効くんですよね?」
「お前、ここにそれを取りにきたのか?」
「はい。寝相が治るかなと思って。でも本当にごめんなさい。シンさんをこんな目に合わせてしまって…私を探しに来てくれたんですか?」
「お前の姿が見当たらなかったから、どうせまたふらふらと危ない目に合ってるんじゃねーかと思ってな」
…その通りすぎて反論できない…
「フン。確かに、その草なら多少寝相に効くかもしれねーな。年寄の徘徊病が治ったと聞いたことがある」
や、やっぱり私の寝相ってお年寄の徘徊病と一緒なの!?
「…それはお前が口にしろ。珍しい草だからそう手に入るものじゃないんだ」
「私の寝相はいいんです!シンさんの傷の方が大事です!!」
「お前の寝相も、俺の一大事だ」
「そ、そうですけどっ…でも、今はっ…」
何度言っても、シンさんは『たいしたことねーから』と草を口にしてくれそうにない。