本編【Shinside】
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「シン!今すぐオレの手を離せ!そうすりゃロイに追い付いてアイツとネックレスを奪われずにすむ」
ハヤテが覚悟した表情で俺を見つめた。
俺は身を乗り出した姿勢でハヤテの両腕を掴んでいた。
城の中央広間に巡らされた螺旋階段の足場は崩れ落ち、
階下から冷えた風が吹きあがってくる。
ここから下に落ちれば、崩れ落ちた瓦礫に身体を強打し、
いくら頑丈なハヤテでも無事で済まないだろう。
「…そうだな。お前を掴んだ手を離して追いかければ、すぐに彼女とネックレスを取り戻せるかもな」
俺の笑みに、ハヤテがごくりと唾を飲み込んだ。
昔の俺なら迷わず手を離したのかもしれない。
シリウスの掟が仲間を見捨てないこと、だとしてもだ。
あの頃の俺はこの海賊団にいる意味すら見つけられていなかった。
いや、生きることに復讐以外の意味があると思わなかった、
というほうが正しい。
「だが、そうすることは●●が喜ばないだろうな。
それに…もう沢山だ」
「シン…?」
「何もできずに大事な誰かを失うのは…もう…」
ハヤテを掴む俺の腕に、力が入る。
「俺は、自分に出来るだけのことをすると決めた」
父を誤解し続けていた俺は、死んでいった母に幸せな時間を与えることが出来ていたのだろうか。
衰弱した母の顔を見ると父が浮かび、辛かった俺は末期の母から目を逸らし続けた。
そして自分の境遇を恨み、時に反発し、母に辛い想いをさせていた…。
母を看取ったあの日、俺はどこかで諦めていなかったか。
混血の俺が生まれたことは間違いで、
住む世界の違うモルドーの男に恋をした母が愚かだったのだと。
冷めた目で、母を見つめていなかっただろうか。
今思えば、俺に出来ることはもっとあったように思える。
腐るのではなく、切り捨てるのでもなく、諦めるのでもなく…
目の前の人を、精一杯守り笑顔にすること。
ここに着いた時、
既視感に襲われた。
その理由が今、俺の中で少しずつ鮮明になっていく―。
亡くなった母が、幼い俺に毎日聞かせてくれた物語。
世界の果ての城での、冒険物語。
あれは単なる夢物語ではなく現実だったのだと、今ならわかる。
母の言葉は、城と国を奪われたウルの最後の戦いと希望を受け継ぐための物語だった。
だとしたら―
ハヤテを掴んだ片手を離して、俺は銃を取り出した。
「…物語通りにいくのか賭けてみるしかない」
ハヤテが覚悟した表情で俺を見つめた。
俺は身を乗り出した姿勢でハヤテの両腕を掴んでいた。
城の中央広間に巡らされた螺旋階段の足場は崩れ落ち、
階下から冷えた風が吹きあがってくる。
ここから下に落ちれば、崩れ落ちた瓦礫に身体を強打し、
いくら頑丈なハヤテでも無事で済まないだろう。
「…そうだな。お前を掴んだ手を離して追いかければ、すぐに彼女とネックレスを取り戻せるかもな」
俺の笑みに、ハヤテがごくりと唾を飲み込んだ。
昔の俺なら迷わず手を離したのかもしれない。
シリウスの掟が仲間を見捨てないこと、だとしてもだ。
あの頃の俺はこの海賊団にいる意味すら見つけられていなかった。
いや、生きることに復讐以外の意味があると思わなかった、
というほうが正しい。
「だが、そうすることは●●が喜ばないだろうな。
それに…もう沢山だ」
「シン…?」
「何もできずに大事な誰かを失うのは…もう…」
ハヤテを掴む俺の腕に、力が入る。
「俺は、自分に出来るだけのことをすると決めた」
父を誤解し続けていた俺は、死んでいった母に幸せな時間を与えることが出来ていたのだろうか。
衰弱した母の顔を見ると父が浮かび、辛かった俺は末期の母から目を逸らし続けた。
そして自分の境遇を恨み、時に反発し、母に辛い想いをさせていた…。
母を看取ったあの日、俺はどこかで諦めていなかったか。
混血の俺が生まれたことは間違いで、
住む世界の違うモルドーの男に恋をした母が愚かだったのだと。
冷めた目で、母を見つめていなかっただろうか。
今思えば、俺に出来ることはもっとあったように思える。
腐るのではなく、切り捨てるのでもなく、諦めるのでもなく…
目の前の人を、精一杯守り笑顔にすること。
ここに着いた時、
既視感に襲われた。
その理由が今、俺の中で少しずつ鮮明になっていく―。
亡くなった母が、幼い俺に毎日聞かせてくれた物語。
世界の果ての城での、冒険物語。
あれは単なる夢物語ではなく現実だったのだと、今ならわかる。
母の言葉は、城と国を奪われたウルの最後の戦いと希望を受け継ぐための物語だった。
だとしたら―
ハヤテを掴んだ片手を離して、俺は銃を取り出した。
「…物語通りにいくのか賭けてみるしかない」