本編【Shinside】
ヒロインの名前を変更できます。デフォルトは●●
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翌日。
「床に身体を打ち付けた時に、胸を深く切ったうえに肩を脱臼しているな」
ナギの傷は思った以上に深く、ドクターが厳しい表情になる。
「痛み止めも足りないし、船の上では十分な治療が出来ない。感染症も気になるしね」
「今からポポ島に戻って、病院に連れて行きますか?」
ドクターの判断を待つ。
だがドクターが口を開く前に、ナギが苦しげに声を上げた。
「何言ってるんだ。ドクロ島は目の前だろ」
「…」
「シン、お前には目的があるんだろう」
今の俺の目的…
宝を待ってる人々がいる。
そして俺は復讐だけのために海賊になった過去から。
今度こそ完全に抜け出して生まれ変わると、誓った。
「ああ。俺は絶対に宝を持って帰る」
「だったら、その目的を果たせよ」
ナギの瞳が、俺の目をまっすぐに見つめた。
眼帯で隠した燃えるように赤い俺の右目も、ナギにはくっきりと見えているに違いない。
「…俺は海賊としてしか生きられない。でも、お前らは違う」
ナギは俺の後ろにいた彼女に視線をやった。
そして痛みに耐えながら、言葉を吐き出した。
「だから宝を見つけて、お前らは新しい人生を踏み出すんだ」
ガチャ。
「みなさん。お昼ごはんの用意ができましたよ~」
ナギへと返す言葉に迷っていると、
トワが呼びにきて、ドクターはすぐ行くよ、と短く答えた。
「●●」
ナギが彼女を呼び止める。
「ちょっとお前に話があるんだ」
「話…ですか?」
「それじゃ、私たちは先に行くよ」
ドクターが俺の肩に手を置いた。
ナギの傷が思う以上に深いなら、
彼女の持つ温かい空気が今、ナギには必要なのかもしれない。
俺は静かに部屋を出た。
数分後、●●は食堂にやってきた。
その首元には、見慣れたナギのバンダナが巻かれていた。
●●の表情は、心なしか少し明るくなっている。
それが俺を安心させ、少しばかり不機嫌にもさせた。
「おまえ、首元…」
俺がつぶやくと、彼女ははっとした表情でバンダナに手をやる。
「な、ナギさんが…あ、アザみたいのが出来てるって…隠せって…」
当たり前だ。
俺はこの船全員の男が気付くように、ワザとつけたんだからな。
ハヤテのような鈍感な奴は全く気付いてないかもしれないが。
俺が牽制したい相手は、アイツのようなガキじゃない。
「へえ。それでナギのバンダナを巻いてるわけか」
俺の声に多少の不機嫌さが混じっていることに気付いたのか、
彼女が身を強張らせた。
「ナギさんが…これを形見にしてくれって冗談を…」
「バカか。アイツはそんなに簡単にくたばるようなヤツじゃねーよ」
「あっ…ふふっ」
「何だ」
「その言い方、ナギさんにさっき言われたこと似てたので…」
フン。
「はっはっは。どうした?シン。不機嫌だな。痴話ゲンカか?」
船長が突然、会話に入ってきた。
「…何でもないですよ。メシが美味くないからじゃないですか」
「ンだよっ、シン。俺だって一生懸命作ったんだぞ?!…そりゃあ、ナギ兄に比べたらちょっとは腕は落ちるかもしんねーけど」
ハヤテが拗ねたようにつぶやく。
「ちょっと?食えるモノは、このサラダとスープくらいだな」
「あ、それ、ボクがつくりましたっ」
「トワ!また裏切るのかっ?」
「裏切るって…ハヤテさん、肉の味付けしかしてないじゃないですか。しかもすごく辛いし」
「うるせー。ちょっと手が滑って塩と香辛料いれすぎたんだよっ」
「肉が多すぎるんだよ。こんなペースで調理すればすぐに底をつく。塩も貴重な材料だ。食糧を使いすぎるとドクロ島から戻るまで持たないのがわからねーのか」
「ぐっ…るせーよ。肉はチカラになるだろ?ドクロ島で戦うためにも食っとかねーといけねーんだよっ」
「まぁまぁ。シンもハヤテも揉めるんじゃない。ハヤテ、ナギが戻るまで大変だろうけど、トワと工夫して食糧を調整してくれ。シンも協力しなさい」
俺は、ドクターの一言に仕方なく頷いた。
「あの…っ。私も、ナギさんの分まで頑張りますっ!何でも言ってください」
黙っていた彼女が、声を上げた。
「ということらしいが、シン。それでいいか?」
船長がニヤニヤと俺を見る。
「…何で俺に聞くんですか」
「はっはっは!俺をけん制しようとマーキングするほど、お前はその女に夢中のようだからなっ!」
船長は愉快そうに、大声で笑った。
彼女は、ゆでダコのように赤くなってうつむいている。
「フン。ただ、自分の所有物に名前を書いただけです」
「そりゃいい。人のモノほど奪いたくなるのが、海賊ってヤツだ」
チッ、このひとは…。
冗談とも本気とも取れる発言に、俺は呆れた顔を返したが、
船長は急に真剣な表情になった。
「…いよいよドクロ島だな。ナギも深手を負ってる今、全員が協力して宝を見つけるぞ。いいなっ」
船長の声に、全員が勢いよく返事をする。
ドクロ島はもう、眼前だ。
「床に身体を打ち付けた時に、胸を深く切ったうえに肩を脱臼しているな」
ナギの傷は思った以上に深く、ドクターが厳しい表情になる。
「痛み止めも足りないし、船の上では十分な治療が出来ない。感染症も気になるしね」
「今からポポ島に戻って、病院に連れて行きますか?」
ドクターの判断を待つ。
だがドクターが口を開く前に、ナギが苦しげに声を上げた。
「何言ってるんだ。ドクロ島は目の前だろ」
「…」
「シン、お前には目的があるんだろう」
今の俺の目的…
宝を待ってる人々がいる。
そして俺は復讐だけのために海賊になった過去から。
今度こそ完全に抜け出して生まれ変わると、誓った。
「ああ。俺は絶対に宝を持って帰る」
「だったら、その目的を果たせよ」
ナギの瞳が、俺の目をまっすぐに見つめた。
眼帯で隠した燃えるように赤い俺の右目も、ナギにはくっきりと見えているに違いない。
「…俺は海賊としてしか生きられない。でも、お前らは違う」
ナギは俺の後ろにいた彼女に視線をやった。
そして痛みに耐えながら、言葉を吐き出した。
「だから宝を見つけて、お前らは新しい人生を踏み出すんだ」
ガチャ。
「みなさん。お昼ごはんの用意ができましたよ~」
ナギへと返す言葉に迷っていると、
トワが呼びにきて、ドクターはすぐ行くよ、と短く答えた。
「●●」
ナギが彼女を呼び止める。
「ちょっとお前に話があるんだ」
「話…ですか?」
「それじゃ、私たちは先に行くよ」
ドクターが俺の肩に手を置いた。
ナギの傷が思う以上に深いなら、
彼女の持つ温かい空気が今、ナギには必要なのかもしれない。
俺は静かに部屋を出た。
数分後、●●は食堂にやってきた。
その首元には、見慣れたナギのバンダナが巻かれていた。
●●の表情は、心なしか少し明るくなっている。
それが俺を安心させ、少しばかり不機嫌にもさせた。
「おまえ、首元…」
俺がつぶやくと、彼女ははっとした表情でバンダナに手をやる。
「な、ナギさんが…あ、アザみたいのが出来てるって…隠せって…」
当たり前だ。
俺はこの船全員の男が気付くように、ワザとつけたんだからな。
ハヤテのような鈍感な奴は全く気付いてないかもしれないが。
俺が牽制したい相手は、アイツのようなガキじゃない。
「へえ。それでナギのバンダナを巻いてるわけか」
俺の声に多少の不機嫌さが混じっていることに気付いたのか、
彼女が身を強張らせた。
「ナギさんが…これを形見にしてくれって冗談を…」
「バカか。アイツはそんなに簡単にくたばるようなヤツじゃねーよ」
「あっ…ふふっ」
「何だ」
「その言い方、ナギさんにさっき言われたこと似てたので…」
フン。
「はっはっは。どうした?シン。不機嫌だな。痴話ゲンカか?」
船長が突然、会話に入ってきた。
「…何でもないですよ。メシが美味くないからじゃないですか」
「ンだよっ、シン。俺だって一生懸命作ったんだぞ?!…そりゃあ、ナギ兄に比べたらちょっとは腕は落ちるかもしんねーけど」
ハヤテが拗ねたようにつぶやく。
「ちょっと?食えるモノは、このサラダとスープくらいだな」
「あ、それ、ボクがつくりましたっ」
「トワ!また裏切るのかっ?」
「裏切るって…ハヤテさん、肉の味付けしかしてないじゃないですか。しかもすごく辛いし」
「うるせー。ちょっと手が滑って塩と香辛料いれすぎたんだよっ」
「肉が多すぎるんだよ。こんなペースで調理すればすぐに底をつく。塩も貴重な材料だ。食糧を使いすぎるとドクロ島から戻るまで持たないのがわからねーのか」
「ぐっ…るせーよ。肉はチカラになるだろ?ドクロ島で戦うためにも食っとかねーといけねーんだよっ」
「まぁまぁ。シンもハヤテも揉めるんじゃない。ハヤテ、ナギが戻るまで大変だろうけど、トワと工夫して食糧を調整してくれ。シンも協力しなさい」
俺は、ドクターの一言に仕方なく頷いた。
「あの…っ。私も、ナギさんの分まで頑張りますっ!何でも言ってください」
黙っていた彼女が、声を上げた。
「ということらしいが、シン。それでいいか?」
船長がニヤニヤと俺を見る。
「…何で俺に聞くんですか」
「はっはっは!俺をけん制しようとマーキングするほど、お前はその女に夢中のようだからなっ!」
船長は愉快そうに、大声で笑った。
彼女は、ゆでダコのように赤くなってうつむいている。
「フン。ただ、自分の所有物に名前を書いただけです」
「そりゃいい。人のモノほど奪いたくなるのが、海賊ってヤツだ」
チッ、このひとは…。
冗談とも本気とも取れる発言に、俺は呆れた顔を返したが、
船長は急に真剣な表情になった。
「…いよいよドクロ島だな。ナギも深手を負ってる今、全員が協力して宝を見つけるぞ。いいなっ」
船長の声に、全員が勢いよく返事をする。
ドクロ島はもう、眼前だ。