本編【Shinside】
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夜。
ドクロ島への行く手を阻むかのように、海が荒れだした。
「帆をたたむんだよ!早くしなっ」
ファジーとトワが帆を急いでたたむ。
「甲板が浸水してきてるぞ」
ハヤテが溢れる海水を桶で掻き出している。
皆がせわしなく動き、荒れ狂う海への対応に追われていた。
舵をとるにも雨が吹き付け、暗く澱む視界では前方が見えにくい。
長い航海でシリウス号のことは知り尽くしていたし、自分の手足のように動かすことが出来る。
海図も頭に叩き込んである。
後は予想外の障害物が出てこねえのを祈るだけだ。
「シンの愛を語る宴は、今夜は中止だな」
船長が隣に立ち、残念そうな表情を浮かべる。
「船長、それどころじゃないでしょう。それに俺はそんなのを語る趣味は…」
ドドドドドド…
波が押し寄せ、船体が大きく揺れる。
「やべー!津波が来たっ!」
ハヤテが叫ぶ。
ドクターが突然、荒れ狂う海を指差した。
「いや、違う。あれは…巨大なマッコウクジラだ!」
その方向を見ると、巨大なクジラがいた。
「この嵐で襲ってきたんだ」
次の瞬間、船体が突き上げられる感覚に襲われ船が大波にさらわれる。
うわあああ!
きゃあああああ!
ハヤテ、トワ、そして●●の叫び声が聞こえた。
クジラの動きひとつに、
船が大きく揺れ翻弄される。
「クソ。このままじゃ海面に叩きつけられて木端微塵だ」
操舵柁を握って船を切り回すが、クジラは執拗に船を攻撃してくる。
ドカーン!
「ダメだ。遠すぎて大砲もあたらねえ」
ナギが砲弾で応戦するも、距離がありすぎて大砲が命中しない。
砲弾の距離を縮めようと身を乗り出すナギに、声をかける。
「ナギ、危ないぞ。船に掴まっておけ」
クジラは深く浸水してから、
再び勢いよく海面に現れた。
呼吸孔から潮を吹いて、その水流にハヤテが吹っ飛ばされる。
チッ…デカすぎる。
「あんた、大丈夫かいっ?」
ファジーが床に打ち付けられたハヤテに駆け寄る。
「クソ!あんな化け物ムリだ。このままじゃ船が沈んじまう…」
そうだ。
何か手を打たないと
このままでは…
「バカ!あきらめんじゃないよっ!せっかくアタイがリカーからシリウスに来たってのに船を沈められてたまるかってんだよ!…そうだ。アタイは元はリカーの人間…」
ファジーは何かを悟ったようにクジラを睨んだ。
「お、おい、ファジーどうするんだ?」
ファジーが船の隅まで走りだし、大きな袋を抱えて戻る。
どすどす。
ファジーの巨体がシリウスに地響きを起こす。
「きえええええええーー!」
掛け声とともに、クジラの呼吸孔にその袋をぶちまける。
ブシュ―ー。
ブシュ――。
クジラがのた打ちまわって潮を吹き、徐々に沈んで姿が見えなくなった。
船の揺れはおさまり、いつしか嵐も抜けていた。
「フン!リカー名物のコショウ爆弾だよっ!!」
「やったな、ファジー!」
「さすが女海賊ファジー様ですねっ」
ハヤテとトワ、ファジーが抱き合って喜んでいる。
「当然さ!レディの乗った船に体当たりなんて紳士的じゃない真似は、このアタイが許さないよ!!」
さすがだな。
本当にアイツの逞しさは並みの海賊の比じゃない。
とりあえず切り抜けられた危機にホッとして船の端に目をやると、
ナギが胸から血を流しぐったりと床に横たわっている。
「おい。ナギ!大丈夫か?!」
嵐とクジラから抜け安堵していた皆は、俺の緊迫した声に一斉に振り向いた。
ドクロ島への行く手を阻むかのように、海が荒れだした。
「帆をたたむんだよ!早くしなっ」
ファジーとトワが帆を急いでたたむ。
「甲板が浸水してきてるぞ」
ハヤテが溢れる海水を桶で掻き出している。
皆がせわしなく動き、荒れ狂う海への対応に追われていた。
舵をとるにも雨が吹き付け、暗く澱む視界では前方が見えにくい。
長い航海でシリウス号のことは知り尽くしていたし、自分の手足のように動かすことが出来る。
海図も頭に叩き込んである。
後は予想外の障害物が出てこねえのを祈るだけだ。
「シンの愛を語る宴は、今夜は中止だな」
船長が隣に立ち、残念そうな表情を浮かべる。
「船長、それどころじゃないでしょう。それに俺はそんなのを語る趣味は…」
ドドドドドド…
波が押し寄せ、船体が大きく揺れる。
「やべー!津波が来たっ!」
ハヤテが叫ぶ。
ドクターが突然、荒れ狂う海を指差した。
「いや、違う。あれは…巨大なマッコウクジラだ!」
その方向を見ると、巨大なクジラがいた。
「この嵐で襲ってきたんだ」
次の瞬間、船体が突き上げられる感覚に襲われ船が大波にさらわれる。
うわあああ!
きゃあああああ!
ハヤテ、トワ、そして●●の叫び声が聞こえた。
クジラの動きひとつに、
船が大きく揺れ翻弄される。
「クソ。このままじゃ海面に叩きつけられて木端微塵だ」
操舵柁を握って船を切り回すが、クジラは執拗に船を攻撃してくる。
ドカーン!
「ダメだ。遠すぎて大砲もあたらねえ」
ナギが砲弾で応戦するも、距離がありすぎて大砲が命中しない。
砲弾の距離を縮めようと身を乗り出すナギに、声をかける。
「ナギ、危ないぞ。船に掴まっておけ」
クジラは深く浸水してから、
再び勢いよく海面に現れた。
呼吸孔から潮を吹いて、その水流にハヤテが吹っ飛ばされる。
チッ…デカすぎる。
「あんた、大丈夫かいっ?」
ファジーが床に打ち付けられたハヤテに駆け寄る。
「クソ!あんな化け物ムリだ。このままじゃ船が沈んじまう…」
そうだ。
何か手を打たないと
このままでは…
「バカ!あきらめんじゃないよっ!せっかくアタイがリカーからシリウスに来たってのに船を沈められてたまるかってんだよ!…そうだ。アタイは元はリカーの人間…」
ファジーは何かを悟ったようにクジラを睨んだ。
「お、おい、ファジーどうするんだ?」
ファジーが船の隅まで走りだし、大きな袋を抱えて戻る。
どすどす。
ファジーの巨体がシリウスに地響きを起こす。
「きえええええええーー!」
掛け声とともに、クジラの呼吸孔にその袋をぶちまける。
ブシュ―ー。
ブシュ――。
クジラがのた打ちまわって潮を吹き、徐々に沈んで姿が見えなくなった。
船の揺れはおさまり、いつしか嵐も抜けていた。
「フン!リカー名物のコショウ爆弾だよっ!!」
「やったな、ファジー!」
「さすが女海賊ファジー様ですねっ」
ハヤテとトワ、ファジーが抱き合って喜んでいる。
「当然さ!レディの乗った船に体当たりなんて紳士的じゃない真似は、このアタイが許さないよ!!」
さすがだな。
本当にアイツの逞しさは並みの海賊の比じゃない。
とりあえず切り抜けられた危機にホッとして船の端に目をやると、
ナギが胸から血を流しぐったりと床に横たわっている。
「おい。ナギ!大丈夫か?!」
嵐とクジラから抜け安堵していた皆は、俺の緊迫した声に一斉に振り向いた。