本編【Shinside】
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ボスンッ。
「…っコイツ…」
結局寝つけずに、ベッドにうつぶせになったままオヤジからの手紙を読んでいると、
隣で穏やかに寝息を立てていたはずの女の足が俺の腰に勢いよく乗っかってくる。
最近はテントや町での宿泊が続き同室ではなかったから忘れていたが…。
コイツの寝相はハンパなかった。
ったく。
俺にこんなことをして蜂の巣にならずに生きていられるのも、
この女くらいだ。
――そういえばいつの間にか歯軋りは無くなったか…?
だが。
「うーーん。シンさぁん~~」
寝言は相変わらずだ。
俺の名を呼び…。
一体どんな夢を見ているのか。
こういう寝言なら多少赦してやってもいい、なんてゲンキンなことを思ってしまう。
「ううう~~ん…。あっ。だ、だめっ…」
●●の唇から、切なげな声が漏れる。
コイツ…一体どんな夢を見てるっ?!
まさかさっきの続きを夢で、なのか?
「んん~~っ…」
フン。
やらしい女だ。
このまま起こしてやはり続きをしてやるべきか。
もう一度●●へと手を伸ばす。
俺の身体で燻ったままの火種は、いとも容易く再び燃えあがろうとする。
「おい、●●…」
起こそうとして唇を近づけ――
「…ナギさぁん…」
思いもよらない呟きに、完全に鎮火される。
……。
今。
ナギの名を嬉しそうに呼ばなかったか?
稀に見るほどの笑顔だったが…どういうことだ?
パチッ。
突如、●●の瞳が開いた。
俺は、慌てて手元の手紙を見つめる。
目をこすりながら、彼女は俺の手元を覗き込んできた。
「…あれ?シンさん、眠れないんですか?それってお父さんの手紙…」
「あ、ああ。これだけあるとすぐには読み切れないからな」
カイおじさんが止めていたという俺と母へ宛てた父の手紙。
時間を見つけては、失った時を戻すかのように俺はこの手紙の束に目を通していた。
再び手紙に視線を落とす。
が。
今はそんなことはどうでもいい。
…何でナギなんだ?!
嬉しそうにナギの名を呼ぶような夢を見てたっていうのか?
今夜の続きを俺ではなくナギ相手で夢を見ていたとしたら…。
そう考えただけで、いますぐ無茶苦茶に犯してしまいたいほど苛立ちを覚える。
だがそんなことをすれば、コイツを傷つけ泣かせるだけなのは目に見えている。
最初はなるべく、普通に丁寧に手解くほうがいい。
無茶をして良いのは慣れてからだ。
せっかくここまで我慢してるってのに、そんな無茶をすれば、それこそナギにつけ入る隙をみすみす与えてやるようなものだ。
「何か、手紙に気になることがあるの?」
気づけば俺は、手紙を握りしめていた。
彼女は、その行動を誤解したようだった。
確かに…
この手紙に気になることは多い。
だが今。
最も俺が気になってるのはお前の寝言とあの笑顔だ。
―――しかしここで問いただすのはプライドが許さない。
「…っコイツ…」
結局寝つけずに、ベッドにうつぶせになったままオヤジからの手紙を読んでいると、
隣で穏やかに寝息を立てていたはずの女の足が俺の腰に勢いよく乗っかってくる。
最近はテントや町での宿泊が続き同室ではなかったから忘れていたが…。
コイツの寝相はハンパなかった。
ったく。
俺にこんなことをして蜂の巣にならずに生きていられるのも、
この女くらいだ。
――そういえばいつの間にか歯軋りは無くなったか…?
だが。
「うーーん。シンさぁん~~」
寝言は相変わらずだ。
俺の名を呼び…。
一体どんな夢を見ているのか。
こういう寝言なら多少赦してやってもいい、なんてゲンキンなことを思ってしまう。
「ううう~~ん…。あっ。だ、だめっ…」
●●の唇から、切なげな声が漏れる。
コイツ…一体どんな夢を見てるっ?!
まさかさっきの続きを夢で、なのか?
「んん~~っ…」
フン。
やらしい女だ。
このまま起こしてやはり続きをしてやるべきか。
もう一度●●へと手を伸ばす。
俺の身体で燻ったままの火種は、いとも容易く再び燃えあがろうとする。
「おい、●●…」
起こそうとして唇を近づけ――
「…ナギさぁん…」
思いもよらない呟きに、完全に鎮火される。
……。
今。
ナギの名を嬉しそうに呼ばなかったか?
稀に見るほどの笑顔だったが…どういうことだ?
パチッ。
突如、●●の瞳が開いた。
俺は、慌てて手元の手紙を見つめる。
目をこすりながら、彼女は俺の手元を覗き込んできた。
「…あれ?シンさん、眠れないんですか?それってお父さんの手紙…」
「あ、ああ。これだけあるとすぐには読み切れないからな」
カイおじさんが止めていたという俺と母へ宛てた父の手紙。
時間を見つけては、失った時を戻すかのように俺はこの手紙の束に目を通していた。
再び手紙に視線を落とす。
が。
今はそんなことはどうでもいい。
…何でナギなんだ?!
嬉しそうにナギの名を呼ぶような夢を見てたっていうのか?
今夜の続きを俺ではなくナギ相手で夢を見ていたとしたら…。
そう考えただけで、いますぐ無茶苦茶に犯してしまいたいほど苛立ちを覚える。
だがそんなことをすれば、コイツを傷つけ泣かせるだけなのは目に見えている。
最初はなるべく、普通に丁寧に手解くほうがいい。
無茶をして良いのは慣れてからだ。
せっかくここまで我慢してるってのに、そんな無茶をすれば、それこそナギにつけ入る隙をみすみす与えてやるようなものだ。
「何か、手紙に気になることがあるの?」
気づけば俺は、手紙を握りしめていた。
彼女は、その行動を誤解したようだった。
確かに…
この手紙に気になることは多い。
だが今。
最も俺が気になってるのはお前の寝言とあの笑顔だ。
―――しかしここで問いただすのはプライドが許さない。