本編【Shinside】
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「お前、俺とは兄妹なんだろ」
「いやっ!兄妹なんて絶対いや!シンさんはお兄ちゃんじゃないもん~!」
…良かった。
また兄だと言われたら、今度こそ男だと教え込ませる為に本気で襲ってしまうところだ。
「シンさーん!何ぶつぶつ言ってるんですかぁ!もうっ!キスしちゃいますよーー!!」
「これ以上は近寄るなっ。離せ」
首に絡みついた腕を、強引に引き離す。
「なんでえっ?!私がちんちくりんで!グラマーでもセクシーでもなくてっ!色気も全くないからですかああ!!キスされるのも嫌なんですかあああ!!?うわああああん!!」
「バカか、おまえは。いいから早く寝ろ」
このまま酒の勢いに任せて、●●を抱きたくなんかない。
コイツは俺にとってそういう扱いをしていい女じゃない。
……のに。
「やだやだ~~~!!寝ません~~っ!!!」
なんて聞き分けのないヤツだ。
「うわーん!やっぱりシンさんは私よりトワ君のほうが好きなんですねっ?!!」
「なんでトワが出てくる」
「だってだってこないだ酔ったトワ君がシンさんに抱きついてましたああ!!なのにシンさんそのままだったしっ!引き離されてなかったしぃ!やっぱり私よりトワ君のキッスのほうがいいんだああああ」
「気持ちの悪いことを言うな。トワにキスなんてされたら脳天撃ち抜いてる。あいつの絡み酒はいつものことだろ。アレはめんどくせーから潰れるまで放っておいただけだ」
「じゃあ…じゃあハヤテさんがいいんだあ!?いつも仲良しだしっ!!私の知らないシンさんをいっぱい知ってるしいい!!」
「なんでそーなるんだ。それ以上めんどくせーこと言ってると…」
言ってると唇を塞ぐぞ、ってのは●●を喜ばせるだけな上に俺の理性も危ない。
「言ってると、、、なんですか?ふん!シンさんに怒られても怖くないれすからね!私とシンさんは、にかいもキッスした仲なんだからあ!トワ君にもハヤテさんにも負けないんだからぁー!!」
「……お前、二度と酒は飲ませねえ」
ったく。
●●の体を抱きしめて、
オデコにそっとキスをする。
「続きはもっと、大人になってからな」
腕の中の彼女は蕩けたような顔になり、途端に大人しくなって瞳を閉じた。
誰よりも美しく輝くこの宝を受け止められる自分に、まずは変わらねーと。
今までの俺のままで彼女との関係を深めるのは避けたかった。
さっきまで子供のように暴れていた彼女は、叫び疲れたのかもう寝息を立てていた。
「ったく。本当に…」
手のかかる女だ。
「かかりすぎて目が離せねーよ」
僅かに上下する温かな頬をそっと撫でると、指先から身体じゅうが熱を帯びて疼く。
チッ…少し触れただけでこんな気分になる。
あどけなく眠るお前には解らないだろうが――
「大人になってから、か。ったく、俺が待てるか自信が無くなるだろ」
誰にも聞かれたくない独り言が、静かな夜の帳へと消えていった。
翌日。
次の行き先がドクロ島に決定した。
会議の後、操舵室で海路を確認していると、ナギがドアの入り口に立っていた。
「ちょっといいか」
「ああ。何だ」
用件は見当がついていた。
「シン。お前、身を引くならさっさと引けよ」
「何の話だ」
「とぼけるなよ。アイツを海賊にしたくねーんだろ。俺たちの世界に巻き込みたくねーんだろ。だったら迷ってないでハッキリ態度を決めろよ」
クールなナギが、珍しく口調を荒げる。
「お前こそ、アイツに惚れてるんじゃないのか」
俺の言葉に、ナギが黙る。
…やはりな。
「ドクターに聞いたよ。砲撃があった夜、アイツを助ける為に迷いなく海に飛び込んだって」
ナギは泳げない。
そうわかっていながら、身体が反応せずにいられなかったんだろう。
あのキッチンの出来事だってそうだ。
俺ならともかく、ナギは冗談で女の顎を持ち上げるヤツじゃない。
本気でキスしたいと思ったからに決まっている。
「俺のことはかんけーねー」
そうだ…関係ない。
自惚れでも何でもなく彼女が惚れてるのは、俺だ。
今まで過ごした時間でそれは自覚した。
俺が受け止めればいいだけのことだ。
「俺は迷ってるよ。アイツは純粋すぎて…汚しそうで怖いんだ」
「だったら、汚す前に突き放せよ」
そう思った日もあった。
何度もそうしようとした。
けれど結局、できずにいる。
受け止める事も、突き放す事も。
いや。
突き放す事は…きっともう、できそうにない。
「つまらねー嫉妬で言ってるだろうってのはわかってる。ただ、シンを慕ってるのに辛そうにしてる彼女を見たくねー。俺ならあんな顔させねーって思う。だから…ハッキリ決めてやれよ」
ハッキリ、決める…か。
自分の気持ちはわかっている。
ただ、受け止めるためには、
俺にはもう少し、時間が必要だ。
「とにかく、俺が言いたいのはそれだけだ。彼女を泣かせるな」
ナギが言いたいことだけ言って、さっさと部屋を出て行った。
甲板に出ると、ファジーとハヤテがまた言い争っていた。
「また言い合ってんのか。よく飽きねーな」
今回の話題はババアだのなんだのという話らしい。
関わらないように少し離れた場所で海の様子をていると、
ドクターが駆け寄ってきて手紙を広げる。
「大変だ!ロイからの手紙で、トワと地図が奪われた。リカー海賊団が夜のうちに侵入したんだ」
「なんでトワまで?たしかに昨晩の見張りはトワだったけど」
ハヤテの質問に答えてやる。
「人質で保険をかけたんだろ。俺たちが先に宝を見つけても交換で寄越せというつもりなんだろうな」
「ロイのヤツ、相変わらずやることが汚ねーな」
船長が苦い表情をした。
「アタイがもっと気を付けてれば…」
トワと同室のファジーが悔しそうに呟く。
「おまえが誘導したんじゃないのか」
ハヤテの隣にいたナギが、ファジーに向かって言うと、ファジーが反応するより先にハヤテがナギに食ってかかる。
「ナギ兄!ファジーに謝れよ!」
「だってそうだろ。こいつは元々リカーの人間だ」
ナギの態度に、ハヤテは歯を食いしばってから――
バキッ
ナギを殴りつけた。
「コイツはもう、俺たちの仲間だろっ?!砲撃の夜も怪我人の手当とか必死だったじゃねーかよ」
ナギは殴り返すこともせず、ハヤテの馬鹿力で切れた唇の端を抑え目を逸らす。
「ナギ兄!謝れってば!」
殴ったハヤテの方が辛そうに見えた。
誰よりもナギを慕っているハヤテだからこそ、ナギらしくない発言に悔しさを隠せないようだった。
まぁ、こういう性格悪いセリフを言うのは大抵俺の役目だった。
ファジーのような単細胞がスパイを出来るとは思わないが、可能性の一つとして考えておくことも重要だ。
俺の毒が抜けたのか、ナギがわざと悪役を買って出たのか解らないが、仲間内での揉め事、しかもハヤテとナギという珍しい組み合わせに、●●は戸惑った表情になっていた。
「ボエー!!仲間だって言ってくれるなんて、アタイ…うれしいよーー!」
ファジーがハヤテに抱きつく。
ゾウをも倒す、あの巨体に力いっぱい抱きしめられたら…
タフなハヤテといえど、終了だ。
「ぐえ…く、くるし…ふぁじ…おい、しぬ…」
やはりな。
「ふくよかな女も、ちんちくりんな女も皆、船の一員で仲間だ!」
船長が笑った。
「せんちょー!!」
ファジーはハヤテを抱えながら船長の首元にも抱きつく。
「ぐえ…頸動脈が!」
「ち、窒息する!!」
ハヤテと船長は息絶え絶えにうめき声をあげる。
「とにかくトワを連れ戻さねーとな。ファジー、ロイの船への道案内を頼む」
「もちろんです!シン様!」
ようやくハヤテと船長を抱きしめていた腕がはなれた。
「あー!一瞬天国が見えたな。でも地図がないとドクロ島に行けねえし」
喉元を撫でながら、船長が考え込む。
「あ!それなら!模写してます!私は地図を見張る役目だったので、万が一に備えて!!えっと、おなかに隠して…」
彼女が服の下から、模写した地図を取り出した。
…どこに入れてるんだ。
それは精密に書かれていて、無くなった地図の代わりとして充分な代物だった。
「よくやった」
俺が頭を撫でると、彼女はとても嬉しそうに微笑んだ。
「いやっ!兄妹なんて絶対いや!シンさんはお兄ちゃんじゃないもん~!」
…良かった。
また兄だと言われたら、今度こそ男だと教え込ませる為に本気で襲ってしまうところだ。
「シンさーん!何ぶつぶつ言ってるんですかぁ!もうっ!キスしちゃいますよーー!!」
「これ以上は近寄るなっ。離せ」
首に絡みついた腕を、強引に引き離す。
「なんでえっ?!私がちんちくりんで!グラマーでもセクシーでもなくてっ!色気も全くないからですかああ!!キスされるのも嫌なんですかあああ!!?うわああああん!!」
「バカか、おまえは。いいから早く寝ろ」
このまま酒の勢いに任せて、●●を抱きたくなんかない。
コイツは俺にとってそういう扱いをしていい女じゃない。
……のに。
「やだやだ~~~!!寝ません~~っ!!!」
なんて聞き分けのないヤツだ。
「うわーん!やっぱりシンさんは私よりトワ君のほうが好きなんですねっ?!!」
「なんでトワが出てくる」
「だってだってこないだ酔ったトワ君がシンさんに抱きついてましたああ!!なのにシンさんそのままだったしっ!引き離されてなかったしぃ!やっぱり私よりトワ君のキッスのほうがいいんだああああ」
「気持ちの悪いことを言うな。トワにキスなんてされたら脳天撃ち抜いてる。あいつの絡み酒はいつものことだろ。アレはめんどくせーから潰れるまで放っておいただけだ」
「じゃあ…じゃあハヤテさんがいいんだあ!?いつも仲良しだしっ!!私の知らないシンさんをいっぱい知ってるしいい!!」
「なんでそーなるんだ。それ以上めんどくせーこと言ってると…」
言ってると唇を塞ぐぞ、ってのは●●を喜ばせるだけな上に俺の理性も危ない。
「言ってると、、、なんですか?ふん!シンさんに怒られても怖くないれすからね!私とシンさんは、にかいもキッスした仲なんだからあ!トワ君にもハヤテさんにも負けないんだからぁー!!」
「……お前、二度と酒は飲ませねえ」
ったく。
●●の体を抱きしめて、
オデコにそっとキスをする。
「続きはもっと、大人になってからな」
腕の中の彼女は蕩けたような顔になり、途端に大人しくなって瞳を閉じた。
誰よりも美しく輝くこの宝を受け止められる自分に、まずは変わらねーと。
今までの俺のままで彼女との関係を深めるのは避けたかった。
さっきまで子供のように暴れていた彼女は、叫び疲れたのかもう寝息を立てていた。
「ったく。本当に…」
手のかかる女だ。
「かかりすぎて目が離せねーよ」
僅かに上下する温かな頬をそっと撫でると、指先から身体じゅうが熱を帯びて疼く。
チッ…少し触れただけでこんな気分になる。
あどけなく眠るお前には解らないだろうが――
「大人になってから、か。ったく、俺が待てるか自信が無くなるだろ」
誰にも聞かれたくない独り言が、静かな夜の帳へと消えていった。
翌日。
次の行き先がドクロ島に決定した。
会議の後、操舵室で海路を確認していると、ナギがドアの入り口に立っていた。
「ちょっといいか」
「ああ。何だ」
用件は見当がついていた。
「シン。お前、身を引くならさっさと引けよ」
「何の話だ」
「とぼけるなよ。アイツを海賊にしたくねーんだろ。俺たちの世界に巻き込みたくねーんだろ。だったら迷ってないでハッキリ態度を決めろよ」
クールなナギが、珍しく口調を荒げる。
「お前こそ、アイツに惚れてるんじゃないのか」
俺の言葉に、ナギが黙る。
…やはりな。
「ドクターに聞いたよ。砲撃があった夜、アイツを助ける為に迷いなく海に飛び込んだって」
ナギは泳げない。
そうわかっていながら、身体が反応せずにいられなかったんだろう。
あのキッチンの出来事だってそうだ。
俺ならともかく、ナギは冗談で女の顎を持ち上げるヤツじゃない。
本気でキスしたいと思ったからに決まっている。
「俺のことはかんけーねー」
そうだ…関係ない。
自惚れでも何でもなく彼女が惚れてるのは、俺だ。
今まで過ごした時間でそれは自覚した。
俺が受け止めればいいだけのことだ。
「俺は迷ってるよ。アイツは純粋すぎて…汚しそうで怖いんだ」
「だったら、汚す前に突き放せよ」
そう思った日もあった。
何度もそうしようとした。
けれど結局、できずにいる。
受け止める事も、突き放す事も。
いや。
突き放す事は…きっともう、できそうにない。
「つまらねー嫉妬で言ってるだろうってのはわかってる。ただ、シンを慕ってるのに辛そうにしてる彼女を見たくねー。俺ならあんな顔させねーって思う。だから…ハッキリ決めてやれよ」
ハッキリ、決める…か。
自分の気持ちはわかっている。
ただ、受け止めるためには、
俺にはもう少し、時間が必要だ。
「とにかく、俺が言いたいのはそれだけだ。彼女を泣かせるな」
ナギが言いたいことだけ言って、さっさと部屋を出て行った。
甲板に出ると、ファジーとハヤテがまた言い争っていた。
「また言い合ってんのか。よく飽きねーな」
今回の話題はババアだのなんだのという話らしい。
関わらないように少し離れた場所で海の様子をていると、
ドクターが駆け寄ってきて手紙を広げる。
「大変だ!ロイからの手紙で、トワと地図が奪われた。リカー海賊団が夜のうちに侵入したんだ」
「なんでトワまで?たしかに昨晩の見張りはトワだったけど」
ハヤテの質問に答えてやる。
「人質で保険をかけたんだろ。俺たちが先に宝を見つけても交換で寄越せというつもりなんだろうな」
「ロイのヤツ、相変わらずやることが汚ねーな」
船長が苦い表情をした。
「アタイがもっと気を付けてれば…」
トワと同室のファジーが悔しそうに呟く。
「おまえが誘導したんじゃないのか」
ハヤテの隣にいたナギが、ファジーに向かって言うと、ファジーが反応するより先にハヤテがナギに食ってかかる。
「ナギ兄!ファジーに謝れよ!」
「だってそうだろ。こいつは元々リカーの人間だ」
ナギの態度に、ハヤテは歯を食いしばってから――
バキッ
ナギを殴りつけた。
「コイツはもう、俺たちの仲間だろっ?!砲撃の夜も怪我人の手当とか必死だったじゃねーかよ」
ナギは殴り返すこともせず、ハヤテの馬鹿力で切れた唇の端を抑え目を逸らす。
「ナギ兄!謝れってば!」
殴ったハヤテの方が辛そうに見えた。
誰よりもナギを慕っているハヤテだからこそ、ナギらしくない発言に悔しさを隠せないようだった。
まぁ、こういう性格悪いセリフを言うのは大抵俺の役目だった。
ファジーのような単細胞がスパイを出来るとは思わないが、可能性の一つとして考えておくことも重要だ。
俺の毒が抜けたのか、ナギがわざと悪役を買って出たのか解らないが、仲間内での揉め事、しかもハヤテとナギという珍しい組み合わせに、●●は戸惑った表情になっていた。
「ボエー!!仲間だって言ってくれるなんて、アタイ…うれしいよーー!」
ファジーがハヤテに抱きつく。
ゾウをも倒す、あの巨体に力いっぱい抱きしめられたら…
タフなハヤテといえど、終了だ。
「ぐえ…く、くるし…ふぁじ…おい、しぬ…」
やはりな。
「ふくよかな女も、ちんちくりんな女も皆、船の一員で仲間だ!」
船長が笑った。
「せんちょー!!」
ファジーはハヤテを抱えながら船長の首元にも抱きつく。
「ぐえ…頸動脈が!」
「ち、窒息する!!」
ハヤテと船長は息絶え絶えにうめき声をあげる。
「とにかくトワを連れ戻さねーとな。ファジー、ロイの船への道案内を頼む」
「もちろんです!シン様!」
ようやくハヤテと船長を抱きしめていた腕がはなれた。
「あー!一瞬天国が見えたな。でも地図がないとドクロ島に行けねえし」
喉元を撫でながら、船長が考え込む。
「あ!それなら!模写してます!私は地図を見張る役目だったので、万が一に備えて!!えっと、おなかに隠して…」
彼女が服の下から、模写した地図を取り出した。
…どこに入れてるんだ。
それは精密に書かれていて、無くなった地図の代わりとして充分な代物だった。
「よくやった」
俺が頭を撫でると、彼女はとても嬉しそうに微笑んだ。