今日はとても愉快だった。あのジャック・スパロウが俺に取引を持ちかけてきた！馬鹿な奴め。何を考えているか知らんが、お前の小娘は一生涯陸を見ることはないだろう。
　だが、あの娘は異常なくらいに似ている。どこか悲しげな瞳。それ以外の雰囲気は、あいつそっくりだ。俺の心を弄び、引き裂いたあいつに。憎くも愛しいあの女に。そして何より、この俺でさえ目を見張る程に美しい。
　ああ。俺に心はない。もうとっくの昔に、鍵をかけて仕舞っておいたはずなのに。どうしてあの娘を見ると胸がざわめくのだろう。
　
　教えてくれ。お前のその物憂げな瞳は、一体何を見ている。何を嘆いている。そして、何故あの旋律を知っている。