第2章
*scene 1 目が覚めたら…*
「おはようございます。」
背後からかけられた声に、クルスは顔を上げた。
洗面に寝癖直しも兼ねて、頭から水をかぶっていたクルスにタオルを差し出しながら、声の主…マリナは微笑んだ。
「もう具合は大丈夫なんですか?」
「はい、おかげさまで。」
答えてクルスはタオルを受け取った。
朝日が反射し、キラキラする雫を拭い取り、頭を拭き始める。
「昨日の運び屋、どうなりました?」
明朝、民間シャトルでミレバスへ出発するとは聞いていたのだが、その割には表が静かだ。
ランドリーボックスから、使用済みのタオルを取り出していたマリナは手を休め、クルスに向き直ると口を開いた。
「あの運び屋さんたちなら、昨日の夜遅くに発ちましたよ。」
「え…? 出発は早くても朝になるんじゃなかったですかね?」
マリナの答えに首を傾げるクルス。
髪を拭き終わったタオルを首にかけ、マリナの言葉を待った。
「はい。私もそう聞いていたんですけど…」
言いながら、集めたタオルを通りかかったメイドに手渡し、マリナは記憶をたどるように天井を仰いだ。
「昨日…、そうですね、23時過ぎ頃でしょうか…。軍の方がシャトルで来られて…」
「へ? 軍の人?」
「はい、そうです。何でも、捕獲したミュータントの回収だとかで…」
「捕獲したミュータント?」
マリナの言葉にクルスは疑問だらけだ。
第一に、捕獲ミュータントの意味がわからない。
それもそのはず、クルスたちは離脱するので手一杯で、捕獲などした覚えがないのだから。
「…あ、それから…」
困惑するクルスのとなりで、何か思い出したように手をたたき、マリナは続けた。
「ヴィルヴィクスさん、帰ってきてますよ。」
「え…?」
忘れていたわけではない。
もちろんクルスはずっと気に留めていた。
自分を逃がすために、ミュータントの前に留まったヴィルの事を。
「それで、運び屋さんはそのシャトルで…」
新しいタオルを棚に片付け始めたマリナは、ふっと手を止めた。
「あら…? クルスさん?」
辺りを見回しても、クルスの姿が見えない。
使用済みのタオルを残して、どうやらクルスは行ってしまったようだ。
あの人の存在を確認するために…
「おはようございます。」
背後からかけられた声に、クルスは顔を上げた。
洗面に寝癖直しも兼ねて、頭から水をかぶっていたクルスにタオルを差し出しながら、声の主…マリナは微笑んだ。
「もう具合は大丈夫なんですか?」
「はい、おかげさまで。」
答えてクルスはタオルを受け取った。
朝日が反射し、キラキラする雫を拭い取り、頭を拭き始める。
「昨日の運び屋、どうなりました?」
明朝、民間シャトルでミレバスへ出発するとは聞いていたのだが、その割には表が静かだ。
ランドリーボックスから、使用済みのタオルを取り出していたマリナは手を休め、クルスに向き直ると口を開いた。
「あの運び屋さんたちなら、昨日の夜遅くに発ちましたよ。」
「え…? 出発は早くても朝になるんじゃなかったですかね?」
マリナの答えに首を傾げるクルス。
髪を拭き終わったタオルを首にかけ、マリナの言葉を待った。
「はい。私もそう聞いていたんですけど…」
言いながら、集めたタオルを通りかかったメイドに手渡し、マリナは記憶をたどるように天井を仰いだ。
「昨日…、そうですね、23時過ぎ頃でしょうか…。軍の方がシャトルで来られて…」
「へ? 軍の人?」
「はい、そうです。何でも、捕獲したミュータントの回収だとかで…」
「捕獲したミュータント?」
マリナの言葉にクルスは疑問だらけだ。
第一に、捕獲ミュータントの意味がわからない。
それもそのはず、クルスたちは離脱するので手一杯で、捕獲などした覚えがないのだから。
「…あ、それから…」
困惑するクルスのとなりで、何か思い出したように手をたたき、マリナは続けた。
「ヴィルヴィクスさん、帰ってきてますよ。」
「え…?」
忘れていたわけではない。
もちろんクルスはずっと気に留めていた。
自分を逃がすために、ミュータントの前に留まったヴィルの事を。
「それで、運び屋さんはそのシャトルで…」
新しいタオルを棚に片付け始めたマリナは、ふっと手を止めた。
「あら…? クルスさん?」
辺りを見回しても、クルスの姿が見えない。
使用済みのタオルを残して、どうやらクルスは行ってしまったようだ。
あの人の存在を確認するために…