ロビクリ短編(全年齢)
受け身なきみ2
ちょっとからかいたかっただけだった。
クリフが照れくさそうに応えてくれるのを期待していただけなんだけど。
「別に、ロビンのことなんか好きじゃないし」
俺の質問は空しくも否定された。
けれどそう言いながらクリフは、頬を少し赤らめてそっぽを向いていた。どうしてそう、思っていることと違うことを口に出すんだろうか。
クリフはすぐ、こうやって否定する。
好きじゃないって言いながら顔を赤くしたり、からかっても側にいるのをやめなかったり、俺が触れるのを止めなかったり、言い逃れできない反応はいっぱいしてるくせに。
どうしてこう、素直じゃないんだろう。
ひねくれている所がクリフのかわいいところなんだって、俺だって思ってはいるけど、たまにはクリフの言葉で、ちゃんと思いを伝えて欲しいなって思う。
「俺はクリフのこと好きだぜ」
だから俺はなるべく伝えなきゃと思って、そう言った。クリフの頭を撫でると、払いのけられた。
「……調子に乗らないでよ」
少し怒ったような口調になる。けれどやっぱり、顔は赤い。
宿屋の一室、二人きり、ベッドの上に並んで座っているこの状況。
今から俺に何をされても文句を言えないような状況なのに、クリフは逃げない。
逃げないということは、そういうことなんだ。
今日はもう少し、攻めてみることにする。
「クリフ」
隣に座っているクリフから本を取り上げて枕元に投げる。そうやってクリフの視線が逃げないようにしてから、俺はクリフの肩を抱き寄せた。
「ちょっと、何?」
「触りたい」
抱き寄せてそのままキスをしようとしたら、クリフが抵抗した。やっぱり、素直には触らせてくれないか。
「待って、だめ…!」
「だめだったらなぁ」
「うわっ」
俺はクリフの身体に体重をかけて傾け、ベッドに押し倒した。あんまり乱暴にならないように気を付ける。
仰向けに倒れたクリフに覆いかぶさって、驚いた顔をしているクリフの目を見つめる。
「だめだったら最初から、俺の側になんて来ないだろ」
二人きりのこの部屋で、最初にベッドに座っていたのは俺だ。どこかから拝借してきた本を持って、クリフは俺の隣に座った。
俺のことが「好きじゃない」なら、わざわざ隣になんて座らない。
「そんな、こと……」
言葉に困ったクリフの目が泳ぐ。俺はクリフの頬に手のひらで触れながら、用意していた質問をかけてみる。
「俺にこうされるの、嫌か?」
クリフの頬がますます赤くなるのを眺める。クリフの菫色の瞳が困ったように揺れた。そして、内緒話をするよりも小さな声で、言った。
「……嫌じゃ、ない」
クリフは、俺の質問を否定した。
俺はクリフが抵抗をやめたのを見とめ、クリフの着ているシャツのボタンに手をかけた。
「ろ、ロビン……」
「だめか?」
「だ、ダメじゃない……けど」
クリフが恥ずかしそうに目を瞑る。シャツの前をはだけさせて、白い胸板を手で撫でると、クリフが熱っぽい吐息を漏らした。
「俺にこうやって触られるのは嫌?」
「あっ……い、嫌じゃない……」
クリフの身体から完全に力が抜けていた。俺の手の動きを意識で追って、くすぐったそうに身を捩る。
蕩けた表情がすごくかわいい。俺はその熱に浮かされたみたいなクリフの顔を見つめて、もう一つ、質問をした。
「なあクリフ、お前、俺のこと嫌いか?」
最初にした質問と、同じ意味の質問だった。
クリフは俺の質問の意図が分かったのか、かぁっと頬を染めて目を逸らす。
「その聞き方は、ずるい……」
クリフがそっぽを向くと、目の前に白い髪にかくれていた耳が現れる。俺は唇で髪をどかして、クリフの耳たぶにキスをした。
「教えてくれよ。クリフの気持ち」
びくっとクリフが震える。クリフは、耳にこうやって触られるのに弱い。観念したのか、クリフは震える声で応えてくれた。
「嫌いなわけ、ないでしょ……」
「じゃあ、好き?」
わざと耳元でそう聞いて、俺はクリフがこっちを向いてくれるのを待つ。
真っ赤に上気して汗ばんだ頬にまたさらに熱を乗せながら、クリフが俺に視線を返してくれた。
「……好き」
蕩けた顔で見上げてくるクリフに、俺は思わず頬が緩みそうになるのをかみ殺して、クリフのことを抱きしめてやった。嬉しくて、かわいくてたまらない。
「やっと言ってくれた。俺も好きだぜ」
「……ばか」
クリフの両手も俺を抱きしめ返してくれた。
クリフは捻くれたことばっかり言ってるけど、意外と素直なところもある。
それを知っているのは、俺だけでいい。
おわり
ちょっとからかいたかっただけだった。
クリフが照れくさそうに応えてくれるのを期待していただけなんだけど。
「別に、ロビンのことなんか好きじゃないし」
俺の質問は空しくも否定された。
けれどそう言いながらクリフは、頬を少し赤らめてそっぽを向いていた。どうしてそう、思っていることと違うことを口に出すんだろうか。
クリフはすぐ、こうやって否定する。
好きじゃないって言いながら顔を赤くしたり、からかっても側にいるのをやめなかったり、俺が触れるのを止めなかったり、言い逃れできない反応はいっぱいしてるくせに。
どうしてこう、素直じゃないんだろう。
ひねくれている所がクリフのかわいいところなんだって、俺だって思ってはいるけど、たまにはクリフの言葉で、ちゃんと思いを伝えて欲しいなって思う。
「俺はクリフのこと好きだぜ」
だから俺はなるべく伝えなきゃと思って、そう言った。クリフの頭を撫でると、払いのけられた。
「……調子に乗らないでよ」
少し怒ったような口調になる。けれどやっぱり、顔は赤い。
宿屋の一室、二人きり、ベッドの上に並んで座っているこの状況。
今から俺に何をされても文句を言えないような状況なのに、クリフは逃げない。
逃げないということは、そういうことなんだ。
今日はもう少し、攻めてみることにする。
「クリフ」
隣に座っているクリフから本を取り上げて枕元に投げる。そうやってクリフの視線が逃げないようにしてから、俺はクリフの肩を抱き寄せた。
「ちょっと、何?」
「触りたい」
抱き寄せてそのままキスをしようとしたら、クリフが抵抗した。やっぱり、素直には触らせてくれないか。
「待って、だめ…!」
「だめだったらなぁ」
「うわっ」
俺はクリフの身体に体重をかけて傾け、ベッドに押し倒した。あんまり乱暴にならないように気を付ける。
仰向けに倒れたクリフに覆いかぶさって、驚いた顔をしているクリフの目を見つめる。
「だめだったら最初から、俺の側になんて来ないだろ」
二人きりのこの部屋で、最初にベッドに座っていたのは俺だ。どこかから拝借してきた本を持って、クリフは俺の隣に座った。
俺のことが「好きじゃない」なら、わざわざ隣になんて座らない。
「そんな、こと……」
言葉に困ったクリフの目が泳ぐ。俺はクリフの頬に手のひらで触れながら、用意していた質問をかけてみる。
「俺にこうされるの、嫌か?」
クリフの頬がますます赤くなるのを眺める。クリフの菫色の瞳が困ったように揺れた。そして、内緒話をするよりも小さな声で、言った。
「……嫌じゃ、ない」
クリフは、俺の質問を否定した。
俺はクリフが抵抗をやめたのを見とめ、クリフの着ているシャツのボタンに手をかけた。
「ろ、ロビン……」
「だめか?」
「だ、ダメじゃない……けど」
クリフが恥ずかしそうに目を瞑る。シャツの前をはだけさせて、白い胸板を手で撫でると、クリフが熱っぽい吐息を漏らした。
「俺にこうやって触られるのは嫌?」
「あっ……い、嫌じゃない……」
クリフの身体から完全に力が抜けていた。俺の手の動きを意識で追って、くすぐったそうに身を捩る。
蕩けた表情がすごくかわいい。俺はその熱に浮かされたみたいなクリフの顔を見つめて、もう一つ、質問をした。
「なあクリフ、お前、俺のこと嫌いか?」
最初にした質問と、同じ意味の質問だった。
クリフは俺の質問の意図が分かったのか、かぁっと頬を染めて目を逸らす。
「その聞き方は、ずるい……」
クリフがそっぽを向くと、目の前に白い髪にかくれていた耳が現れる。俺は唇で髪をどかして、クリフの耳たぶにキスをした。
「教えてくれよ。クリフの気持ち」
びくっとクリフが震える。クリフは、耳にこうやって触られるのに弱い。観念したのか、クリフは震える声で応えてくれた。
「嫌いなわけ、ないでしょ……」
「じゃあ、好き?」
わざと耳元でそう聞いて、俺はクリフがこっちを向いてくれるのを待つ。
真っ赤に上気して汗ばんだ頬にまたさらに熱を乗せながら、クリフが俺に視線を返してくれた。
「……好き」
蕩けた顔で見上げてくるクリフに、俺は思わず頬が緩みそうになるのをかみ殺して、クリフのことを抱きしめてやった。嬉しくて、かわいくてたまらない。
「やっと言ってくれた。俺も好きだぜ」
「……ばか」
クリフの両手も俺を抱きしめ返してくれた。
クリフは捻くれたことばっかり言ってるけど、意外と素直なところもある。
それを知っているのは、俺だけでいい。
おわり