西へ
「じゃーん!今日のメインディッシュ〜!」
朝ごはんのあとおれたちは、某お菓子の会社の看板の前で定番のポーズをしたり、だらだらと太鼓を叩き続ける人形を見たり、たこ焼きを食べたり串カツを食べたりいちご飴を食べたりした。
家で待つ父さんと母さん、あと4人の文句たれたちへのお土産も買った。
少し移動して、大阪城も見に行った。
周りの公園は広くて散歩がてら腹ごなしするには最適だった。
トド松が青の旗が立ち並ぶ建物の前で手を広げた。
ここがメインディッシュ、つまりお笑いの劇場というわけだ。
「へぇ、ここなんだ。」
「よーし、入ろう!」
トド松はカバンから薄い緑のチケットを取り出し、おれに1枚渡した。
正直今まで実感がなかったが、ペラペラのこれを手にした瞬間すごく楽しみになってきた。
心臓が少しだけ速く動いている気がする。
トド松の後ろについていき、見様見真似でスタッフの人にチケットを渡す。
トド松は初めてとは思えない動作でスラスラと入場していった。
多分こいつ、初めてだろうがなかろうが、一人でもちゃんとしっかりできるタイプなんだろうな。
もぎられたチケットの半券を受取り、心配そうにこちらを見ていたトド松に追いつく。
失敗することなくうまく入れた。よかった。
「席はね…あ、ここだって。こっちから入ったら近いかな〜。」
いよいよ中へ入っていく。
おれは何も言わずにトド松の後ろにつく。
「ここだ、兄さんこっちね。」
前から3列目。
近い。
「き、緊張してきた。」
「ボクも。ううー、楽しみぃ!」
キャッキャと両手で頬を挟むポーズをしてみせる。
果てしなくあざとい。
「手握っていい?」
「なんで?無理だよ?」
「どさくさでいけるかと思った。」
「こわいな〜。」
手、握れなかった。
残念。
しょうもないことを言ってる間に舞台上のスクリーンがカウントダウンを始めた。
あと1分。
はあ、なんだか久々にワクワクしているような。
体の芯がぶるぶるして、手足に意味もなく力が入る。
そうだ、これがワクワクだ。
隣のトド松も、口角を上げて少し前のめりになりながら、カウントダウンの画面を見つめていた。
たぶん今おれたちは同じ顔をしている。
六つ子だからとかじゃなくて。
あと、10秒だ。
朝ごはんのあとおれたちは、某お菓子の会社の看板の前で定番のポーズをしたり、だらだらと太鼓を叩き続ける人形を見たり、たこ焼きを食べたり串カツを食べたりいちご飴を食べたりした。
家で待つ父さんと母さん、あと4人の文句たれたちへのお土産も買った。
少し移動して、大阪城も見に行った。
周りの公園は広くて散歩がてら腹ごなしするには最適だった。
トド松が青の旗が立ち並ぶ建物の前で手を広げた。
ここがメインディッシュ、つまりお笑いの劇場というわけだ。
「へぇ、ここなんだ。」
「よーし、入ろう!」
トド松はカバンから薄い緑のチケットを取り出し、おれに1枚渡した。
正直今まで実感がなかったが、ペラペラのこれを手にした瞬間すごく楽しみになってきた。
心臓が少しだけ速く動いている気がする。
トド松の後ろについていき、見様見真似でスタッフの人にチケットを渡す。
トド松は初めてとは思えない動作でスラスラと入場していった。
多分こいつ、初めてだろうがなかろうが、一人でもちゃんとしっかりできるタイプなんだろうな。
もぎられたチケットの半券を受取り、心配そうにこちらを見ていたトド松に追いつく。
失敗することなくうまく入れた。よかった。
「席はね…あ、ここだって。こっちから入ったら近いかな〜。」
いよいよ中へ入っていく。
おれは何も言わずにトド松の後ろにつく。
「ここだ、兄さんこっちね。」
前から3列目。
近い。
「き、緊張してきた。」
「ボクも。ううー、楽しみぃ!」
キャッキャと両手で頬を挟むポーズをしてみせる。
果てしなくあざとい。
「手握っていい?」
「なんで?無理だよ?」
「どさくさでいけるかと思った。」
「こわいな〜。」
手、握れなかった。
残念。
しょうもないことを言ってる間に舞台上のスクリーンがカウントダウンを始めた。
あと1分。
はあ、なんだか久々にワクワクしているような。
体の芯がぶるぶるして、手足に意味もなく力が入る。
そうだ、これがワクワクだ。
隣のトド松も、口角を上げて少し前のめりになりながら、カウントダウンの画面を見つめていた。
たぶん今おれたちは同じ顔をしている。
六つ子だからとかじゃなくて。
あと、10秒だ。