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初期短編

鬱陶しい天気、薄暗い部屋。
何故かこの天気の中ほとんどの兄弟は出かけており、
雨の音が響く静かな部屋はまた気だるさを助長していた。
敏感な方ではないがそれとない低気圧にやる気を奪われたトド松は仰向けに転がった。
目線の先には十四松がこちらをガン見していた。

「わぁ、な、なに?十四松兄さん。」
「いやぁひまだねぇ…」

いつも元気な十四松も低気圧やら雨やらにテンションを下げられたりするのだろうか。
トド松から視線を下げて少し肩を落とした。
なんとなくいつもと違う様子の十四松が心配になり、
トド松は少し体を起こした。

「どしたの兄さん。」
「ううんー、」

絶対になにかある。
なのに頑なに理由を言わない。
十四松は時々こういうところがある。
トド松は若干の面倒臭さを感じたが、
こちらも無限に時間がある。
とことん付き合うことにした。

「んー、でかける?」
「えっ」

分かりやすく目が開く。
どうやら一発で正解を当てたようだった。

「出かけたかったの!?それだけ!?もー、最初からそう言えばいいじゃーん。」
「へへ、雨だからさー、トッティ嫌がるかと思って。」
「まあ確かにねー、どこ行く?雨だから釣り堀は無理でしょ、でもお金ないしなぁ。」

突如突きつけられたひもじさにトド松は空を仰ぐ。
が、意外と議論は硬直せずにすぐさま十四松が口を開いた。

「散歩しよ!」
「散歩ぉ?…あ!ちょっと歩いたとこに行きたかったカフェあるんだよね、そこ行く?」
「行く!!!」

完全にいつもの十四松に戻ったのを確認し、
トド松は安堵した。
十四松のポケットにはパチンコで勝った数千円が入っているのだった。
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