オリジナル

学校でクラスメイトに失敗を笑われた。お母さんに「お姉ちゃんなんだから」って言われた。帰り道でコケちゃった。そんな嫌な事があったときは、裏山の神社に行く。神社にはいつも『おきつねちゃん』がいて、おきつねちゃんは絶対に私の味方をしてくれる。おきつねちゃんは私と同じくらいの身長で、金髪で頭に猫の耳みたいのがある女の子だ。服は上が白くて下が赤い着物を着ている。おきつねちゃんは神社から出られないから、私が会いに行く。

階段を登るとそこには真っ赤で大きな鳥居があって、そこを通ると真っ直ぐ言ったところに綺麗な神社がある。

「おきつねちゃん!」
「おお、ユキコか?」
「違うよ、ヒマリだよ」

おきつねちゃんはたまに私の名前を間違える。ユキコちゃんって誰だろう。私に似てるのかなぁ?

「して、ヒマリや。今日はどうしたんじゃ?」
「あのね、今日はね……」

「やっと見つけた」

おきつねちゃんとお喋りしようとしたら、いつの間にか知らないお兄さんが私たちの近くにいた。お兄さんは怖い顔をしてこちらを睨んでくる。思わずおきつねちゃんの腕を握った。

「な、なんじゃ。ぬしは何者じゃ! わしは子供にしか見えんはずじゃ」
「じゃあ、ワタシの心が子供なのかもね」

おきつねちゃんは私を庇うように前に立つ。ケラケラ笑う怖いお兄さんは声が少し高くて、もしかしたらお姉さんなのかもしれない。

「酷いなぁー。ユキコチャンのこと忘れちゃった? ずっと一緒にいようねって言ってくれたから、約束を果たしに来たのに」
「ぬしなど知らん! わしにはヒマリがおる。わしはヒマリとおるんじゃ!」
「あー……? おい、ガキ。そのキツネとトモダチごっこしてるとなぁ、お母さんもお父さんも弟も学校のお友達もみぃんな死んじゃうんだよ」
「えっ?」
「ヒマリ、聞くな! そやつのいうことは嘘じゃ!」

おきつねちゃんが悪い子なんて思わないけど、その人の言う事があまりにも怖くておきつねちゃんから少し離れてしまった。

「ウグッ!」
「おきつねちゃん!!」

怖い人がおきつねちゃんの胸ぐらを掴んで持ち上げた。

「ガキ、さっさと行かねぇと殺すぞ」
「ヒッ」
「ヒマリ……助けて……」

私は怖くなって逃げ出した。最後に私に助けを求めたおきつねちゃんの顔が忘れられない。

あの後、神社に一人で行くのが怖くて友達と一緒に行ったがそこには綺麗な神社など無く、階段の先にあったのは廃れた広場だけだった。

高学年になった私は今でも考える。おきつねちゃんとあの怖い人が何だったのか。小さい頃の私はわからなかったが、おきつねちゃんは人ではなかったんだと思う。怖い人は、もしかしたら私の事をおきつねちゃんから助けてくれたのではないだろうか。あるいはおきつねちゃんや怖い人は私が作り出した妄想なのかもしれない。

あとがき
誰が何と言おうと百合です。
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