オリジナル
地元に帰ると高校生の時の友達のことを思い出す。彼女に会った最後の日のこと。晴れた卒業式の後、風が彼女のスカートを揺らす、青い海の見える岬で。
「うちは東京で一人暮らしするんやけどさぁ、その後も東京で就職して東京に住むつもりやねん。大学卒業したらサキも東京に住まへん?」
「うーん…あたしはここが好きやから大人になってもあんま地元離れるつもりないねん。せっかく誘ってくれたけどごめんなぁ?」
「そっかぁ。なら、うちがこっちで就職するから一緒に住んでくれへん?」
「そ、そんなんあかんよ! マユは東京で仕事すんのが夢なんやろ? せっかく大学も東京のとこ受かったんやし、勿体ないやん!」
「ふふっ、サキ必死でおもしろいわ。そういうところが好きよ」
「なんや…人が本気で考えてるのに! ありがとう! あたしもマユのこと好きやで。意地悪なところは嫌いやけど」
「……あーあ、フラれてもうたから、うちは家で泣き寝入りでもしようかな、その前に雨ノ森神社にお参り行っとこ。サキは一緒にいかん?」
「あたしはいかない。もうちょっと海見てる」
「サキは海が好きやなぁ。妬けるわ。じゃあ行くわ」
「あ、うん。またね」
その『またね』が叶うことはなかった。その日の夜、マユは雨ノ森神社で滅多刺しにされた冷たい遺体になって発見された。マユを殺したのは同じ学校の後輩の女の子。女の子同士だったけど、マユの事が恋愛的な意味で好きで、フラれたから殺したらしい。
久々にあの岬に来た。
ここから見る海は綺麗で大好き。肌当たりのいい風は、今も心のどこかでマユが生きてるんじゃないかと思う考えを肯定しているようで泣きそうになる。
ふと、あの後輩は何故マユが雨ノ森神社にいる事を知っていたのか疑問が浮かぶ。マユは願掛けのために、雨ノ森神社にお参りしていることは私にしか話していなかった。私が蓋をした記憶。続きがある。フラッシュバックのように強制的にあの日の記憶が頭の中に浮かぶ、浮かぶ、浮かぶ…………
「セーンパイ! マユちゃん先輩がどこにいるか知りません? 大事な話があって…」
「うちは東京で一人暮らしするんやけどさぁ、その後も東京で就職して東京に住むつもりやねん。大学卒業したらサキも東京に住まへん?」
「うーん…あたしはここが好きやから大人になってもあんま地元離れるつもりないねん。せっかく誘ってくれたけどごめんなぁ?」
「そっかぁ。なら、うちがこっちで就職するから一緒に住んでくれへん?」
「そ、そんなんあかんよ! マユは東京で仕事すんのが夢なんやろ? せっかく大学も東京のとこ受かったんやし、勿体ないやん!」
「ふふっ、サキ必死でおもしろいわ。そういうところが好きよ」
「なんや…人が本気で考えてるのに! ありがとう! あたしもマユのこと好きやで。意地悪なところは嫌いやけど」
「……あーあ、フラれてもうたから、うちは家で泣き寝入りでもしようかな、その前に雨ノ森神社にお参り行っとこ。サキは一緒にいかん?」
「あたしはいかない。もうちょっと海見てる」
「サキは海が好きやなぁ。妬けるわ。じゃあ行くわ」
「あ、うん。またね」
その『またね』が叶うことはなかった。その日の夜、マユは雨ノ森神社で滅多刺しにされた冷たい遺体になって発見された。マユを殺したのは同じ学校の後輩の女の子。女の子同士だったけど、マユの事が恋愛的な意味で好きで、フラれたから殺したらしい。
久々にあの岬に来た。
ここから見る海は綺麗で大好き。肌当たりのいい風は、今も心のどこかでマユが生きてるんじゃないかと思う考えを肯定しているようで泣きそうになる。
ふと、あの後輩は何故マユが雨ノ森神社にいる事を知っていたのか疑問が浮かぶ。マユは願掛けのために、雨ノ森神社にお参りしていることは私にしか話していなかった。私が蓋をした記憶。続きがある。フラッシュバックのように強制的にあの日の記憶が頭の中に浮かぶ、浮かぶ、浮かぶ…………
「セーンパイ! マユちゃん先輩がどこにいるか知りません? 大事な話があって…」