この世の中は人を中身で判断すると言っている人がほとんどだが、それは嘘だ。

中身なんて見ちゃいない。なら何故雑誌のモデルやテレビの中のアイドルを好きになるのか。答えは外見がいいから。そのいい顔で微笑まれたらほとんどの人が夢心地になるだろう。


私は何度その言葉に裏切られたか。中身だといいながら結局見ていたのは外見だった。
イギリス人の父と日本人の母のハーフの私は良くも悪くも目立ちすぎた。
プラチナブロンドの髪に碧眼の外見は年を重ねるごとに私を卑屈にさせていった。
恋人を取ったとか、寝取られたとかの噂は日常茶飯事だったし、一人でいたら襲われることも少なくなかった。



こんな世の中なのにまだ、私が生きてるのは家族や数は限りなく少ないが支えてくれてる友達のお陰だ。
あと、は、そう。




音楽。
音が、リズムが私を駆り立てる。
溢れてくる。人に想いを伝える私の唯一の方法。
音楽さえあれば私は何もかもを表現できる。
言葉なんていらない。



そう。思っていたんだ。あの日までは。

これは私がある劇団に関わり、自分が、世界が大きく変わっていく希望のお話。