序章【異変の起きた日】
店を出たデントは草花に囲まれ心を落ち着かせたいと思い、少し街から離れた手入れが施されたガーデニングに向かう。
ガーデニングに着いたデントは思い切り深呼吸を繰り返し、草花の香りを楽しむ。
「やっぱりここはいつ来てもいいものだね」
ぽつりと呟くデントは思う。この光景は自分だから落ち着くのだと。
「きっとコーンもポッドもこの花達によって心踊ったり、心休まる気持ちは分からないだろうね」
それは心底惜しい事だと呟くデントは遠き日にパートナーであるヤナップと出会った時の事を思い出す。
「君は僕の・・・最高のパートナーさ」
ヤナップの入ったモンスターボールに語りかけ、そろそろ戻らないといけないと思い歩き始めた所で歩を止めてしまった。
「あれは何だろう?」
デントが見つけた物。それは小さな黒い靄。だが忽(タチマ)ち小さかった靄は大きくなり人一人飲み込む程に成長し、デントは自身を襲い掛かるように全身を包み込む靄に声を出すことも叶わず―・・・
デントはイッシュ地方から消え消息不明となった。そしてデント同様、シンオウ地方を旅していたピカチュウを連れた少年サトシも行方不明となる。
