このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

序章【異変の起きた日】


所変わってイッシュ地方、最初のジムがあるサンヨウシティ。
そこには有名な三つ子のポケモンソムリエがいる。否、正確にはジムリーダーを担うポケモンソムリエがいるのだが――・・・
少し変わっているのはジムリーダーがソムリエなせいか、レストランを運営しており挑戦者が現れた時のみジム戦を行う仕組みとなっている。

現在の時刻は午前10時前。
レストラン開店前に店内の清掃や支度、調理の準備等。そして何時如何(イツイカ)なる時に挑戦者がやって来るのか分からないジムの掃除にポケモンのコンディション。
その全ての準備を終えて、三つ子であるデント、ポッド、コーンは時計に目をやり開店に合わせ各々しなければならないことを考え行動に移す。

開店が刻々と迫り最後のチェックを済ませるとデントは店の扉を開け、店外側に掛けられるフックに「OPEN」と書かれた札を掛けて通路に見えるようメニューの看板を置くといつもと変わらない日常が始まる。

店が開店して三十分と経たない頃に二人組の女性が来店し、デントが空いている席まで案内をしてメニュー表を渡すとホールカウンターに戻って行く。
その後ろ姿を見つめる二つの視線。

「はあ、やっぱり素敵ねえ。デント様」
「そうよねえ、デント様と付き合えたらどんなにいいかしら」

デントの後ろ姿を恍惚とした眼差しで見つめる女性達。この手の女性達は毎日店に訪れては何時間か店に居座っている。そんな女性達にデントはこっそりと溜め息を吐く。

「人気者は辛いですね」
「そうだよな。この中でデントが一番人気な訳だし」
「・・・それはあまり嬉しくない事だけどね」

女性達の案内から戻ってきたデントにコーンが声をかけ、ポッドが同意するようにうんうんと頷いているとデントは深い溜め息と共に声のトーンを落として呟いた。

「はあ・・・僕の興味を引く物はないかな」

女性達の視線、想いから逃れたくて本来のジムリーダーとしてポケモンソムリエとして役立つ事を考える。

「出ましたね」
「デント、買い出しに行って来い」

デントの呟きにコーンとポッドはやれやれと小さく息を吐き、気分転換でもしてくるように提案を出す。コーンとポッドの言葉にデントは「そうする」と言い、籠を持って街中に出掛ける。
3/5ページ
スキ