カントー編 1話
カントー地方では唯一、他地方と往き来できる港を持つクチバシティ。
二人の少年がサクラギ研究所でリサーチフェローとして在籍しており、そこの所長であるサクラギは幾度となく調査を依頼していた。
「カロス地方でとある現象がよく見られるんだけど、君たちは知っているかな?」
「とある現象?」
「それって・・・」
「そう。それはメガシンカと呼ばれる現象だよ」
「メガシンカ!」
サクラギの言葉に興奮気味に返すのはゴウ。サトシのパディであり、研究所内で一緒に過ごす彼らはリサーチフェローとして各地を赴いている。
「サトシもメガシンカ興味あるっしょ!」
「・・・うん」
テンションが上がってるゴウとは反対にサトシは苦笑を浮かべてそうだなと頷くに留める。その様子にサクラギも気付き、心配そうに声をかけた。
「どうしたんだい?いつもとは違うようだけど」
「え?そんなことないですよ!・・・実は、オレ。カロスに行ったことあって」
「え?いつ行ったんだよ!?」
サクラギの問いにサトシはブンブンと手を振り、おかしな所はないぞとアピールするが、暫し逡巡し、意を決し前にも行ったことがある旨を伝えるとゴウはそんなの知らないぞとばかりにサトシに詰め寄る。
「カロスリーグに挑戦した時に行ったんだ」
サトシの言葉にサクラギはもしかしてとサトシを見た。
「その時にメガシンカを知ったのかい?」
「えぇ、まぁ」
「なぁーんか、歯切れが悪いな」
「うーん。オレはメガシンカを使ってなかったけど、友達やライバルが使ってたから」
「ん?」
サトシの言葉に引っ掛かりを覚えたゴウはジト目でサトシを見る。
「サトシィ」
「オレはメガシンカを使わなかったけど、絆変化を使ってたんだ」
「「絆変化?」」
「あぁ。オレとあいつの特別な絆をね」
聞きなれない言葉にハモるゴウとサクラギ所長。サトシは懐かしむようにカロス地方の方角を見つめる。その顔は普段見ることのない憂いを帯びており、ゴウは知らないサトシがそこにあるようでムスッとした顔でサトシの肩に腕を回す。
それはボールの中にいたポケモンも嫉妬に駆られそうになっていた。
「サァトシ!」
「わっ!どうしたんだよ、ゴウ」
「カロス地方、俺と行こうぜ!」
「そうだな!リサーチフェローとして調査しようぜ!!」
ニカリと笑って頷くサトシにサクラギはよろしくねと頷いた。
サクラギとサトシは気付いていないが、ゴウの言葉にピカチュウだけが気付く。
(ゴウ。ヤキモチ妬いてる。過去のサトシを知ってる当時の仲間たちに)
まぁ。仕方ないかと溜め息混じりに思う。何せゴウにとってサトシは初めて同じ目線で話し合える友達。仲間。
そんなサトシを取られたようで気に入らないのだろうと思うが、それはピカチュウも同じ。
かの地にはサトシと心を1つにできるポケモンがいるのだから。
長い時間を過ごしたピカチュウよりもシンクロ状態でサトシと繋がるポケモンを思い出しては嫉妬でどうにかなりそうだと思うピカチュウ。
ゴウとピカチュウはサトシが唯一。
その唯一が他に目を向ける。それは悲しく辛い。
でも、そんなことは言えない。サトシの隣にいたいから。
二人の少年がサクラギ研究所でリサーチフェローとして在籍しており、そこの所長であるサクラギは幾度となく調査を依頼していた。
「カロス地方でとある現象がよく見られるんだけど、君たちは知っているかな?」
「とある現象?」
「それって・・・」
「そう。それはメガシンカと呼ばれる現象だよ」
「メガシンカ!」
サクラギの言葉に興奮気味に返すのはゴウ。サトシのパディであり、研究所内で一緒に過ごす彼らはリサーチフェローとして各地を赴いている。
「サトシもメガシンカ興味あるっしょ!」
「・・・うん」
テンションが上がってるゴウとは反対にサトシは苦笑を浮かべてそうだなと頷くに留める。その様子にサクラギも気付き、心配そうに声をかけた。
「どうしたんだい?いつもとは違うようだけど」
「え?そんなことないですよ!・・・実は、オレ。カロスに行ったことあって」
「え?いつ行ったんだよ!?」
サクラギの問いにサトシはブンブンと手を振り、おかしな所はないぞとアピールするが、暫し逡巡し、意を決し前にも行ったことがある旨を伝えるとゴウはそんなの知らないぞとばかりにサトシに詰め寄る。
「カロスリーグに挑戦した時に行ったんだ」
サトシの言葉にサクラギはもしかしてとサトシを見た。
「その時にメガシンカを知ったのかい?」
「えぇ、まぁ」
「なぁーんか、歯切れが悪いな」
「うーん。オレはメガシンカを使ってなかったけど、友達やライバルが使ってたから」
「ん?」
サトシの言葉に引っ掛かりを覚えたゴウはジト目でサトシを見る。
「サトシィ」
「オレはメガシンカを使わなかったけど、絆変化を使ってたんだ」
「「絆変化?」」
「あぁ。オレとあいつの特別な絆をね」
聞きなれない言葉にハモるゴウとサクラギ所長。サトシは懐かしむようにカロス地方の方角を見つめる。その顔は普段見ることのない憂いを帯びており、ゴウは知らないサトシがそこにあるようでムスッとした顔でサトシの肩に腕を回す。
それはボールの中にいたポケモンも嫉妬に駆られそうになっていた。
「サァトシ!」
「わっ!どうしたんだよ、ゴウ」
「カロス地方、俺と行こうぜ!」
「そうだな!リサーチフェローとして調査しようぜ!!」
ニカリと笑って頷くサトシにサクラギはよろしくねと頷いた。
サクラギとサトシは気付いていないが、ゴウの言葉にピカチュウだけが気付く。
(ゴウ。ヤキモチ妬いてる。過去のサトシを知ってる当時の仲間たちに)
まぁ。仕方ないかと溜め息混じりに思う。何せゴウにとってサトシは初めて同じ目線で話し合える友達。仲間。
そんなサトシを取られたようで気に入らないのだろうと思うが、それはピカチュウも同じ。
かの地にはサトシと心を1つにできるポケモンがいるのだから。
長い時間を過ごしたピカチュウよりもシンクロ状態でサトシと繋がるポケモンを思い出しては嫉妬でどうにかなりそうだと思うピカチュウ。
ゴウとピカチュウはサトシが唯一。
その唯一が他に目を向ける。それは悲しく辛い。
でも、そんなことは言えない。サトシの隣にいたいから。