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第1夜~第7夜

【第4夜】


蝶屋敷邸――
産屋敷邸から大荷物――炭治郎と箱の中に入っている禰豆子、手を引いてここまで連れてきたサトシの事だ――を連れて移動したため、穏の人たちはゼイゼイと息を切らしていた。そこで大きく深呼吸を繰り返し、玄関を開け大声で呼びかけるが全く応答がなく、庭の方へ行ってみる。
すると、そこには蝶と戯れている一人の少女がいた。

「あ。継子の方だ。お名前は・・・・・・」
「ツグコ?ツグコって何です・・・か・・・」

穏の【継子】という言葉にキョトンとしながらも、炭治郎は丁度、振り返った少女の姿に思わず食い入るように見た。そんな炭治郎に気づかず、少女の名前を告げる穏の人と継子の説明をする穏の人。

「栗花落カナヲ様だ」
「継子っての柱が育てる隊士だよ。相当才能があって優秀じゃないと選ばれない」
「・・・」
「女の子なのにすげぇよなぁ」

穏のやり取りに聞こえていない様子でじっと少女を見ていた炭治郎は、違うことを考えていた。
だが、穏の人たちはこのままというのもいけないと思い、一人がカナヲに一歩近づきペコリとお辞儀をして言葉をかける。

「胡蝶様の申し付けにより参りました。お屋敷に上がってもよろしいですか?」

丁寧に話しかけたにも関わらず、カナヲはニコニコと笑うばかりで返事の一つもしない。穏の人はどうしたらいいのかとワタワタするばかりだったが、その背後からピシィッとした声がかけられる。

「どなたですか!!」
「いえっ、あのっ」
「胡蝶様に・・・・・・」
「“穏”の方ですか?怪我人ですね。こちらへどうぞ」

洗濯籠を持った少女の声に穏の人たちはビクッと肩を跳ねさせ、しどろもどろに答えるが少女は穏の背におぶっている炭治郎を見て、外傷はないが動きがぎごちないのを一瞬で見抜き怪我人と称し、屋敷内へ案内するため踵を返しキビキビと歩き出す。
その後を慌てて駆け出す穏の人たちと、その背におぶられている炭治郎は背後を振り返りカナヲを見た。
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