第1夜~第7夜
【第1夜】
雪、雪、雪――辺り一面雪景色。
ただ違うもの――それは・・・
「なんだろう・・・」
「チャア」
「・・・なにかが違う」
サトシはぽつりと呟く。
「ここはオレの知ってる所じゃないみたいだ」
「ピィカ?」
「何が違うかって?」
ピカチュウの問いに、サトシは顎に手をかけ考えてみる。
その時感じた――いや、昔、少しの間だけ感じることのできたもの。
「・・・波動?」
「ピカピ?」
「うん。なんだか張りつめてる・・・とげとげしく感じるんだ」
辺りを見渡したが景色は何も変なところはない。
だけど、昔。
サトシはある街で波動の勇者を称える大会に参加し、見事優勝を収めた際に波動の勇者アーロンが実際使っていたとされる杖。
それをかがけたときに波動ポケモンであるルカリオが現れ、一時同じ時を過ごした記憶を手繰り寄せての発言だったが、ピカチュウは何とも言えない表情を浮かべて己のトレーナーであるサトシを見た。
(無茶ばかりする君が波動なんて――)
ピカチュウは不安そうな顔でサトシを見る。
過去――ルカリオが波動を使い過ぎてどうなったのかを知るからこそ、ピカチュウは不安になる。
「ピィカピカ」
置いていかないでね。ずっと一緒にいるから――
あの日、あの時――オニスズメを怒らせ襲われた重症の自分と傷だらけな新人トレーナーのサトシが目覚た時――からずっと胸にあるピカチュウの気持ち。
ポケモンのためなら、自分の身を顧みない大好きなかけがえのない人。
だからこそ、もし、サトシが自分の前からいなくなることを考えると、怖くてたまらない。
奇跡は2度も起こらないのだから――
「そんな顔するなよ。ピカチュウ」
自分の肩に乗るピカチュウを抱き上げ、そっと胸に抱きしめるサトシはピカチュウの気持ちに気づかないが、不安そうな様子に笑顔で言う。
「おまえを置いていったりは絶対しないから」
「ピィ」
「だから、ピカチュウもさ。オレの事、置いてくなよ?」
コツンとピカチュウの額に自分の額をくっつけ内緒話をするように囁くサトシ。
ピカチュウはサトシの最後の言葉に力強く、鳴き声をあげる。
「ピィカ!ピカチュウゥ!!」
――もちろん!サトシのことを置いていくわけないよ!!
「約束だからな」
サトシとピカチュウは笑い合う。
「でも、ここってどこだろう?」
ピカチュウを定位置の肩に戻し、サトシは辺りを見渡す。
今、この場は雪景色だけでなく、日が傾き始めている。
「とりあえず、町に行ってみないとだよな」
「チャア」
サトシは自身の腰ベルトについているモンスターボールを一つ取り出すと、空を飛べるポケモン、カイリューを出す。
「リュー!」
「カイリュー!俺たちを乗せて近くの町までお願いできるか?」
サトシの言葉に任せておけとばかりに力強く頷く。普段は甘えたがりのカイリューもこの時ばかりはそんなの事はできないと意識を変え、サトシを自身の背に乗せ飛び立つ。
★☆★
それから数時間経った頃――
サトシたちは「浅草」と呼ばれる華やかな街に到着した。
といっても、遠目でもわかる程、暮らしていた世界が違う様にサトシたちは困惑して、ある程度離れた森に降り立った。
「戻れカイリュー」
サトシの言葉に赤い光線がカイリューを包み、モンスターボールへ吸い込まれていく。カイリューがモンスターボールに収まるとベルトに戻し、それとは別のモンスターボールを取り出しポケモンを呼ぶ。
「ゲンガー、オレの陰に潜って一緒に来てくれるか?」
「ゲンゲロゲー」
「ピカチュウはリュックの中に入ってくれ」
「ピッカ!」
サトシの指示にゲンガーは陰に隠れるように消えた。そして、サトシは背負っているリュックを取り出すとピカチュウに一声かけ、リュックの中に入れて背負うと前を向き煌びやかな街へ向かう。
雪、雪、雪――辺り一面雪景色。
ただ違うもの――それは・・・
「なんだろう・・・」
「チャア」
「・・・なにかが違う」
サトシはぽつりと呟く。
「ここはオレの知ってる所じゃないみたいだ」
「ピィカ?」
「何が違うかって?」
ピカチュウの問いに、サトシは顎に手をかけ考えてみる。
その時感じた――いや、昔、少しの間だけ感じることのできたもの。
「・・・波動?」
「ピカピ?」
「うん。なんだか張りつめてる・・・とげとげしく感じるんだ」
辺りを見渡したが景色は何も変なところはない。
だけど、昔。
サトシはある街で波動の勇者を称える大会に参加し、見事優勝を収めた際に波動の勇者アーロンが実際使っていたとされる杖。
それをかがけたときに波動ポケモンであるルカリオが現れ、一時同じ時を過ごした記憶を手繰り寄せての発言だったが、ピカチュウは何とも言えない表情を浮かべて己のトレーナーであるサトシを見た。
(無茶ばかりする君が波動なんて――)
ピカチュウは不安そうな顔でサトシを見る。
過去――ルカリオが波動を使い過ぎてどうなったのかを知るからこそ、ピカチュウは不安になる。
「ピィカピカ」
置いていかないでね。ずっと一緒にいるから――
あの日、あの時――オニスズメを怒らせ襲われた重症の自分と傷だらけな新人トレーナーのサトシが目覚た時――からずっと胸にあるピカチュウの気持ち。
ポケモンのためなら、自分の身を顧みない大好きなかけがえのない人。
だからこそ、もし、サトシが自分の前からいなくなることを考えると、怖くてたまらない。
奇跡は2度も起こらないのだから――
「そんな顔するなよ。ピカチュウ」
自分の肩に乗るピカチュウを抱き上げ、そっと胸に抱きしめるサトシはピカチュウの気持ちに気づかないが、不安そうな様子に笑顔で言う。
「おまえを置いていったりは絶対しないから」
「ピィ」
「だから、ピカチュウもさ。オレの事、置いてくなよ?」
コツンとピカチュウの額に自分の額をくっつけ内緒話をするように囁くサトシ。
ピカチュウはサトシの最後の言葉に力強く、鳴き声をあげる。
「ピィカ!ピカチュウゥ!!」
――もちろん!サトシのことを置いていくわけないよ!!
「約束だからな」
サトシとピカチュウは笑い合う。
「でも、ここってどこだろう?」
ピカチュウを定位置の肩に戻し、サトシは辺りを見渡す。
今、この場は雪景色だけでなく、日が傾き始めている。
「とりあえず、町に行ってみないとだよな」
「チャア」
サトシは自身の腰ベルトについているモンスターボールを一つ取り出すと、空を飛べるポケモン、カイリューを出す。
「リュー!」
「カイリュー!俺たちを乗せて近くの町までお願いできるか?」
サトシの言葉に任せておけとばかりに力強く頷く。普段は甘えたがりのカイリューもこの時ばかりはそんなの事はできないと意識を変え、サトシを自身の背に乗せ飛び立つ。
★☆★
それから数時間経った頃――
サトシたちは「浅草」と呼ばれる華やかな街に到着した。
といっても、遠目でもわかる程、暮らしていた世界が違う様にサトシたちは困惑して、ある程度離れた森に降り立った。
「戻れカイリュー」
サトシの言葉に赤い光線がカイリューを包み、モンスターボールへ吸い込まれていく。カイリューがモンスターボールに収まるとベルトに戻し、それとは別のモンスターボールを取り出しポケモンを呼ぶ。
「ゲンガー、オレの陰に潜って一緒に来てくれるか?」
「ゲンゲロゲー」
「ピカチュウはリュックの中に入ってくれ」
「ピッカ!」
サトシの指示にゲンガーは陰に隠れるように消えた。そして、サトシは背負っているリュックを取り出すとピカチュウに一声かけ、リュックの中に入れて背負うと前を向き煌びやかな街へ向かう。