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第1夜~第7夜

【第6夜】


深夜――森で生活しているポケモン達は眠りについている。
そんな日常を壊す、破壊音と、機械が動く不気味な音。
そんな音が森の中に木霊し、ポケモン達は飛び起き何が起こったかと辺りを見渡している姿が。

ボンっ

音と共に呆然としているポケモン達を網などで捉えていく。

「はははっ!こりゃあ大量だな」

ご機嫌の様子でポケモン達が囚われている網に近づくポケモンハンターはまだ獲物がいないか周りを見渡す。
そこに一匹のポケモンを見つけ、ハンターはニィッと口端を持ち上げた。

「こりゃいい。最後にお前を捉えたらずらかるか」

ハンターの言葉にポケモンはビクッと身体を震わせ、距離を取るようにして一歩後退る。だが、ポケモンが下がればハンターはその分の距離を詰めていく。
あと少しで、掴まる――そんな時、天を裂くような音がしたかと思うとバリバリバリッと破裂音と空気の振動が伝わり、落雷による火災がポケモンとハンターに迫る。

「チッ、こんな時に」

ハンターは絶好の獲物だったのにと愚痴を零し、既に捉えていたポケモンだけを連れ逃げだしていく。
一方、間一髪でハンターの魔の手から逃れることができたポケモンはというと、落雷による火災に死を覚悟することになる。

平穏に暮らしていた日常が、一瞬で変わった出来事。
ポケモンは目を閉じ、短い生涯を終えるその瞬間を刻一刻と感じていた―――。

☆★☆

蝶屋敷でお世話になり始めて、3日程経った頃。
怪我が酷い炭治郎達とは違い、どこも怪我をしているわけでないサトシは何もすることがないのもどうかと積極的に手伝を申し出ている。
そして今、サトシはピカチュウとリオルと一緒に竹箒で落ち葉を掃いたり、洗濯の手伝いをしている。

「ピッカ!」
「オルオル」
「ピカチュウ、リオル手伝ってくれてありがとな!」
「オルオル!!」
「へ?特訓したい?」
「ピィカピカ」
「オォル」

丁度、ポケモンたちは落ち葉を掃き終わり、サトシが洗濯物を干し終えた所でリオルが特訓したいと言い出したため、サトシは慌てピカチュウはこんな狭いところでは難しいよと諭しているがリオルはやりたくて仕方がない。
うぅんと唸っているとポンッと手を叩き、閃いたとばかりにサトシはリオルに提案をする。

「じゃあ、今日の特訓はバトルの特訓じゃなくて、波動の特訓をするってのはどうだ?」
「オル?」
「ピ」

サトシの言葉にリオルは波動の特訓?と首を傾げ、ピカチュウは波動と聞き、反対とばかりに手でバッテンを作り、ダメだと注意するもリオルがやる気になってしまい波動の訓練をすることになってしまった。
ピカチュウの気持ちはサトシに波動とは関わってほしくない。だが、ピカチュウの気持ちとは裏腹にサトシとリオルの間では波動の練習を始めるため、精神を統一を始める。
傍から見れば、ぼうっと突っ立て目を閉じているようにしか見えない。
そして、波動と言えば――このポケモン。

「ミュ(ピカチュウ、大丈夫だよ)」
「ピカ(何が大丈夫なのさ)」
「ミュミュ(基本中の基本しかしないようだから、身体に負担はそれほどないよ)」
「・・・ピィカ(・・・ホントだろうね)」
「ミュウ(このくらいならね。それに)」

ミュウはどこからともなくあるものを取り出した。それは見覚えのある物――だが、できれば見たくなかった。これをサトシが手にしてしまえば無茶をするのが、目に浮かぶ。そして、ピカチュウはミュウを睨みつける。

「ピィカ(ねぇ、ミュウ)」

ドスのきいた声音でミュウを呼ぶピカチュウはにぃっこりと笑んで見せた。

「ピ・・・ピィカ(これ・・・サトシに渡しちゃだめだよ)」
「ミュ(はい)」

黒い笑みを浮かべるピカチュウにミュウは引きつった顔を浮かべ刻々と頷くばかりだった。
そんな、ピカチュウとミュウのやり取りの横で、サトシはリオルに波動の使い方――目に見えぬ覇気、オーラを読み取ることを教えることにした。
自分の内から外へ緩やかな波紋を広げ、ピカチュウがどこにいるのかやってみようと簡単なことから始める。

リオルはもともと波動を扱うのが上手い。種族的に簡単に扱うことができた。次はピカチュウの他に今この屋敷にいる炭治郎や善逸、伊之助がいるだろう部屋まで波動を広げてみる。

「オルオル!」
「お!できたんだな!!」

それも、すぐにできたためサトシはリオルをすごいじゃないかと褒め頭を撫でてやる。それに気分を良くしたリオルは屋敷だけでなく、外に広げてみた。

「?・・・オル」
「どうしたんだ?リオル」

目を閉じていたリオルはじっと屋敷の外、森に目を向けた。その様子にサトシは首を傾げ何か見つけたのかとリオルの様子を伺うが、微動だにしないリオルにサトシは首を傾げ、目を閉じ波動を森へ向けた。

そこには、ここではまず感じることはない感覚。
サトシは弾かれた様にその場を駆け出した。

ピカチュウとミュウは突然駆け出したサトシに、何か見つけたのだろうと思い、すぐさま追いかける。ピカチュウ達の後をリオルも追いかける。
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