第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私が中学の頃のことだ。
『突如怪物達が現れ、ボーダーと名乗る人達が戦っている』
そんなニュースが流れてきた時は、ついに世界が終わるのかと他人事のように考えていた。被害状況は凄まじく、遠く離れた関西圏に住む私でも、大変な事が起きてると感じた覚えがある。
それから数年後、一躍有名人となったボーダーの人達に、私は声をかけられた。話によると、私にはボーダーに入れるだけの素質があるそうだ。
人に頼りにされる事なんて少ない私が、誰かの役に立てるならやりたい。それにお金が入れば貧乏なこの家の生活も少しは楽になる。そう考えた私は親を説得し、中学を卒業し次第三門市へ引っ越すことになった。
「毎日電話してや〜!あんた中々返事返さんし、ほんま心配やわぁ…」
「さすがに毎日は無理やて、お母さん…まぁなんとかなるっしょ〜」
「野垂れ死んだらあかんで、えりな!また遊ぼな!」
「みっちゃん〜!遊ぶ〜!」
家族や友達に見送られ、私は一人三門市へと旅立った。
数時間電車に揺られ、不安や楽しみでいっぱいでそわそわと新幹線に乗っていた。どんな所なのか、やっぱり危険な場所なんだろうか、あちこちでボーダーが戦っているのだろうか…そんな想像を好き勝手にしていた。が、いざ着いてみると何ら変哲のない町並みで、本当にネイバーなんて居るのだろうかと思ってしまうくらい平和な町だった。
駅前でボーダーの人が待っていると事前に言われたが、駅には予想以上に人が沢山行き来している。丁度学生や会社員の帰宅ラッシュと被ってしまったようだ。この人混みの中で見つけられるのだろうかと不安に思いながらキョロキョロと辺りを見渡していると、後ろから肩を叩かれた。
「やぁ初めまして、西宮ちゃん。お待たせ」
「えっと…?」
私の名前を知っているし、お待たせという言葉から、きっとこの人が私を迎えに来てくれたボーダーの人なのだろう。けれど、どうにもゆるいというか、予想と違ってすごくフレンドリーというか、不思議な雰囲気の人で、言葉に詰まってしまった。
「俺は実力派エリート、迅悠一。君を迎えに来たボーダー隊員だ」
「あ…よ、よろしくお願いします!」
「あはは、そんなに緊張しなくていいよ。あ、ぼんち揚げ食う?」
「え、食べます」
どこからかぼんち揚げを取り出した迅さんからぼんち揚げを一つもらい、ぼりぼり食べながらボーダー本部まで案内してもらった。
その道中色々話してくれたのだが、ぼんち揚げは関西ローカルだと知ってショックを受けた。関東では歌舞伎揚げというらしい。ぼんち揚げ以外で好きなお菓子が販売されてなかったらどうしよう。
「迅さんはこのぼんち揚げ、どこで入手してるんですか?」
「段ボール箱買いして部屋に貯めてあるから、食べたくなったらあげるよ」
「え!ほんまですか!?」
迅さんと話している内に、いつの間にか緊張が抜けてきていた。わざと緩めるためにフレンドリーに話してくれたのかもしれない。
そうこうしている内にどでかいボーダー本部まで辿り着き、一人で来れば絶対迷うような通路をひたすら付いて行った。迅さんはあるドアの前で立ち止まり、私の方を見ながらドアを指差した。
「ここが会議室だ。今から司令官…一番偉い人に挨拶するから」
「は、はい…!」
一番偉い人に挨拶と聞いて、また緊張が戻ってきた。迅さんは「案外怖くないから〜」とへらへら笑っているが、緊張するなという方が無理な話である。
スタスタと中へ入っていく迅さんに続いて会議室に入ると、誕生日席に強面のおじさん、その他に五人のおじさんが座っていた。きっと強面のおじさんが一番偉い人だ。顔も雰囲気もめちゃくちゃこわい。
「どーもー、実力派エリート迅悠一、只今戻りましたー!はい西宮ちゃん、挨拶して」
「は、初めまして、西宮えりなです!よろしくお願いします」
迅さんこの雰囲気でも緩いんかーい!と一人心の中でツッコんでしまった。少し気持ちが緩んだお陰で噛まずに言い終えれたから良しとしよう。
挨拶し、ぺこりと頭を下げ、もう一度向き直る。いや、やっぱりこわい。
「ご苦労。遠方からよく来た。私が最高司令官の城戸だ。ここに来た以上、組織のルールに従ってもらう。頑張りたまえ」
「は、はい!」
案外優しかった。もっとブラック企業みたいな感じを予想してたけど、普通だった。怖がりすぎたかもしれない。
その後城戸さん以外の人達も紹介され、軽い説明の後、相変わらず緩い雰囲気の迅さんに連れられて部屋を出た。
「はぁ〜緊張した〜」
「そんなに緊張しなくても、案外普通だっただろ?」
「いやぁ、あんな裏世界の人みたいなん、怖すぎますって…」
「はは、そうかそうか」
迅さんは笑いながら私の頭を軽く撫でた。何となく面白がられてる気がする。
その後、トリガーという武器と使い方を習い、一週間後の入隊日に持ってくるようにと説明された。まさか自分が、小さい頃に憧れた魔女っ子ヒロインのような変身能力を得るとは思わなかった。
新しい家まで連れて行ってくれるついでに、ご飯を奢ってくれるという迅さんの後ろをまた追いかける。
「…私、ちゃんと皆の役に立てますかね」
夕焼けに染まった道路を眺めながら、ぽろりと不安が溢れ出た。迅さんは私の背中をぽんと叩き、ニッと笑った。
「大丈夫、西宮ちゃんはちゃんと誰かを助けられる。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
その言葉は、何故かすごく自信に溢れていて、本当に大丈夫なんじゃないかと安心してしまうような言い方だった。
ところで、サイドエフェクトってなんですか。そう聞けば、笑いながらまたたくさん色んな事を話してくれた。迅さんって、きっとすごい人なんだろうな。
行きつけだというラーメン店でお腹を満たす頃には、どこか遠くに感じていた迅さんが少し近くに感じた。
『突如怪物達が現れ、ボーダーと名乗る人達が戦っている』
そんなニュースが流れてきた時は、ついに世界が終わるのかと他人事のように考えていた。被害状況は凄まじく、遠く離れた関西圏に住む私でも、大変な事が起きてると感じた覚えがある。
それから数年後、一躍有名人となったボーダーの人達に、私は声をかけられた。話によると、私にはボーダーに入れるだけの素質があるそうだ。
人に頼りにされる事なんて少ない私が、誰かの役に立てるならやりたい。それにお金が入れば貧乏なこの家の生活も少しは楽になる。そう考えた私は親を説得し、中学を卒業し次第三門市へ引っ越すことになった。
「毎日電話してや〜!あんた中々返事返さんし、ほんま心配やわぁ…」
「さすがに毎日は無理やて、お母さん…まぁなんとかなるっしょ〜」
「野垂れ死んだらあかんで、えりな!また遊ぼな!」
「みっちゃん〜!遊ぶ〜!」
家族や友達に見送られ、私は一人三門市へと旅立った。
数時間電車に揺られ、不安や楽しみでいっぱいでそわそわと新幹線に乗っていた。どんな所なのか、やっぱり危険な場所なんだろうか、あちこちでボーダーが戦っているのだろうか…そんな想像を好き勝手にしていた。が、いざ着いてみると何ら変哲のない町並みで、本当にネイバーなんて居るのだろうかと思ってしまうくらい平和な町だった。
駅前でボーダーの人が待っていると事前に言われたが、駅には予想以上に人が沢山行き来している。丁度学生や会社員の帰宅ラッシュと被ってしまったようだ。この人混みの中で見つけられるのだろうかと不安に思いながらキョロキョロと辺りを見渡していると、後ろから肩を叩かれた。
「やぁ初めまして、西宮ちゃん。お待たせ」
「えっと…?」
私の名前を知っているし、お待たせという言葉から、きっとこの人が私を迎えに来てくれたボーダーの人なのだろう。けれど、どうにもゆるいというか、予想と違ってすごくフレンドリーというか、不思議な雰囲気の人で、言葉に詰まってしまった。
「俺は実力派エリート、迅悠一。君を迎えに来たボーダー隊員だ」
「あ…よ、よろしくお願いします!」
「あはは、そんなに緊張しなくていいよ。あ、ぼんち揚げ食う?」
「え、食べます」
どこからかぼんち揚げを取り出した迅さんからぼんち揚げを一つもらい、ぼりぼり食べながらボーダー本部まで案内してもらった。
その道中色々話してくれたのだが、ぼんち揚げは関西ローカルだと知ってショックを受けた。関東では歌舞伎揚げというらしい。ぼんち揚げ以外で好きなお菓子が販売されてなかったらどうしよう。
「迅さんはこのぼんち揚げ、どこで入手してるんですか?」
「段ボール箱買いして部屋に貯めてあるから、食べたくなったらあげるよ」
「え!ほんまですか!?」
迅さんと話している内に、いつの間にか緊張が抜けてきていた。わざと緩めるためにフレンドリーに話してくれたのかもしれない。
そうこうしている内にどでかいボーダー本部まで辿り着き、一人で来れば絶対迷うような通路をひたすら付いて行った。迅さんはあるドアの前で立ち止まり、私の方を見ながらドアを指差した。
「ここが会議室だ。今から司令官…一番偉い人に挨拶するから」
「は、はい…!」
一番偉い人に挨拶と聞いて、また緊張が戻ってきた。迅さんは「案外怖くないから〜」とへらへら笑っているが、緊張するなという方が無理な話である。
スタスタと中へ入っていく迅さんに続いて会議室に入ると、誕生日席に強面のおじさん、その他に五人のおじさんが座っていた。きっと強面のおじさんが一番偉い人だ。顔も雰囲気もめちゃくちゃこわい。
「どーもー、実力派エリート迅悠一、只今戻りましたー!はい西宮ちゃん、挨拶して」
「は、初めまして、西宮えりなです!よろしくお願いします」
迅さんこの雰囲気でも緩いんかーい!と一人心の中でツッコんでしまった。少し気持ちが緩んだお陰で噛まずに言い終えれたから良しとしよう。
挨拶し、ぺこりと頭を下げ、もう一度向き直る。いや、やっぱりこわい。
「ご苦労。遠方からよく来た。私が最高司令官の城戸だ。ここに来た以上、組織のルールに従ってもらう。頑張りたまえ」
「は、はい!」
案外優しかった。もっとブラック企業みたいな感じを予想してたけど、普通だった。怖がりすぎたかもしれない。
その後城戸さん以外の人達も紹介され、軽い説明の後、相変わらず緩い雰囲気の迅さんに連れられて部屋を出た。
「はぁ〜緊張した〜」
「そんなに緊張しなくても、案外普通だっただろ?」
「いやぁ、あんな裏世界の人みたいなん、怖すぎますって…」
「はは、そうかそうか」
迅さんは笑いながら私の頭を軽く撫でた。何となく面白がられてる気がする。
その後、トリガーという武器と使い方を習い、一週間後の入隊日に持ってくるようにと説明された。まさか自分が、小さい頃に憧れた魔女っ子ヒロインのような変身能力を得るとは思わなかった。
新しい家まで連れて行ってくれるついでに、ご飯を奢ってくれるという迅さんの後ろをまた追いかける。
「…私、ちゃんと皆の役に立てますかね」
夕焼けに染まった道路を眺めながら、ぽろりと不安が溢れ出た。迅さんは私の背中をぽんと叩き、ニッと笑った。
「大丈夫、西宮ちゃんはちゃんと誰かを助けられる。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
その言葉は、何故かすごく自信に溢れていて、本当に大丈夫なんじゃないかと安心してしまうような言い方だった。
ところで、サイドエフェクトってなんですか。そう聞けば、笑いながらまたたくさん色んな事を話してくれた。迅さんって、きっとすごい人なんだろうな。
行きつけだというラーメン店でお腹を満たす頃には、どこか遠くに感じていた迅さんが少し近くに感じた。