軽やかに走る黒豹 ナタクとその背に座るサヤカ。

ナタクの脚は速く、最初から一番前にいた。


サト「…２０番の貴方はサヤカさんですね」

「あ、はい」

サト「２１番の貴方は…ナタクさんですか。どうして黒豹なんか？」

『ん？楽。それに女同士よりこっちのが牽制になるやろ』


試験官のサトツに話し掛けられたナタクは人語を話す。念能力で黒豹に化けている事がサトツには分かったみたいだ。


『まぁ、大体この姿で試験受けるわ。何かあったら…魔獣とでも言っとけ』

サト「分かりました。こちらもその方が助かります」


念能力を知らない人からは魔獣にしか見えないから、そう言っている訳では無い。念を公にばれないように、とのことだろう。ハンター協会もあまり公にしたくはないようだ。



《誰か来た》

「あ、ほんとだ。」


ナタクはまたグルグルと唸り声をあげる。後ろから小さな子ども二人が追いついて来たからだ。


ゴン「わぁ！かっこいい」

キル「お、本当だ」

ゴン「ねぇお姉さん！なんて動物？」


走りながら質問して来たのは、HUNTER×HUNTERの主人公。ゴン=フリークスだ。その横にはキルア=ゾルディック


「この子？豹だよ」

キル「豹⁉黒いじゃん豹はこんなんじゃねぇぜ？」

「黒豹っていってね？豹の突然変異なんだよ」


サヤカは質問に答えながらナタクの背を撫ぜる。その顔は愛しい者を見るように優し気で美しい。


ゴン「へぇ、お姉さん名前は？俺はゴン！」

「私？サヤカだよ。この子はナタク。きみは？」

キル「俺はキルア。そいつも受験者？」

ゴン「あ、プレートつけてる」


自己紹介をすると、キルアはナタクのプレートを見つけ聞いてきた。サヤカは微笑みながら頷く。


「うん、ナタクも受験者だよ。」