【M】会えない距離じゃないのに
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「…あれ?」
昼休みになって桜庭と話そうと思っていたら
トイレに行ってる間に姿が見えなくなっていた。
「どこ行ったんだろ…」
近くの女子に聞いてみる。
「なあ、桜庭知らない?」
「ん~?なんか急いで教室は出ていってたけど…どこに行ったかは知らないよ?」
「…そっか。ありがと。」
教室の外や廊下を見回しても桜庭の姿はない。
…櫻井先輩と飯食いに行ったのかな…。
と、思っていたら、本人が現れた。
「…松本~。」
「櫻井先輩…ういっす。」
あたりを見回しながら俺に近づいてくる。
櫻井先輩も誰かを探しているようだった。
「あれ、ランカは?」
「あー、なんかいないんすよ。」
「ん~?…松本もいないしこっち来てんのかと思ったのに。」
「姉貴もいないんすか?」
「うん、ちょっと話しあったんだけど…」
俺は、櫻井先輩の話がなにか、大体の察しがついた。
この流れで、俺も言っとかないと。
「あの、櫻井先輩…」
「ん?」
「俺…その、桜庭の事…」
「…よろしくな?」
「…え?」
櫻井先輩は、すごく優しい顔で笑って、そう言った。
「俺じゃ幸せにできなかったけど、松本になら…」
「そんなことないっすよ…。すっげえ幸せそうでしたよ。」
「はは、ありがと。」
「櫻井先輩も、姉貴の事よろしくお願いします。」
「…知ってたか。笑」
そうだ、俺と姉貴。
桜庭と櫻井先輩のなかでは話が分かってるけど
実際俺たちや姉貴と櫻井先輩のなかでは何も始まっていない。
ここは、俺らからちゃんと、気持ちを伝えるべきだよな。
そう、決めていたのに。
「なんか…騒がしいっすね。」
「だな、なんかあったのかな。」
俺たちが話していると、周りがざわざわしていた。
先生たちも凄い形相で走っていくのが見える。
そんな中、ある生徒たちの声が聞こえた。
「松本先輩が落ちたって!!!」
「俺窓の近くで上から人が落ちるの見たんだけど…」
「誰かに突き落とされたらしいよ!」
「…ねえちゃん…?」
俺と櫻井先輩は顔を見合わせて、野次馬が集まる方へ走った。
人ごみをかき分けて校舎の外に出る。
そこには…
手足が折れ曲がり、大量に血を流した姉貴がいた。
「姉ちゃん…?おい…姉ちゃん!!!」
「松本!なんで…なんで!!」
先生や、かけつけた救急隊員に抑えられながら姉ちゃんを追う。
何が起こったのか…全然わからなかった。
なんで、こんなことになってるのか。
姉ちゃんは…?助かるの?
「おい、上に誰かいるぞ!」
野次馬の声に促されるように屋上のほうを見る。
「…桜庭…」
「ランカが…なんであんなところに…」
俺と櫻井先輩は、もう混乱状態だった。
姉ちゃんの事、そして…
桜庭が、どうして、屋上に…?
疑っていたわけじゃない。
桜庭が…姉ちゃんを…
そんなことをする理由がないんだから。
それでも、下から見上げた桜庭の顔を
俺は忘れることができなかった。
「松本…松本!!!」
櫻井先輩は姉ちゃんの運ばれた救急車に駆け込んだ。
俺は、もう一度屋上の桜庭を見上げる。
俺の心理状態でその時のことを正確に判断できたとは思えないけど
桜庭が、助けを求めてるように見えた。
1人にしたら、押しつぶされてしまいそうな。
なのに、俺は。
桜庭を睨みつけて、櫻井先輩と一緒に救急車に乗った。
はたから見たら当たり前の光景だろう。
自分の姉が屋上から落ちて救急車に乗っているんだから、一緒に行くのは当然。
けど、俺の中では、
桜庭を見捨てることになった。
と、同時に。
真実を知ろうとも、確認しようともせず
桜庭を犯人にしたてあげたんだ。
その方が、俺にも都合が良かった。
どこに向けていいのかわからないこの、怒り、憎しみ、悲しみの感情を
桜庭に向けたんだ。
病院について、医者は言った。
屋上から転落して、即死だと。
泣き崩れる櫻井先輩と、急いで駆け付けた俺の両親。
俺は、姉ちゃんの死を受け入れられず、ただ青白くなった姉ちゃんの顔を見ていた。
そして、その上には、桜庭の顔。
姉ちゃんを殺した、桜庭の顔。
確信なんてない。
もしかしたら、姉ちゃんを助けようとしてくれたのかもしれない。
けど、その時の俺に、そんな考えはなかった。
次第に、俺にとっての桜庭は、
理由のない殺人者になった。
昼休みになって桜庭と話そうと思っていたら
トイレに行ってる間に姿が見えなくなっていた。
「どこ行ったんだろ…」
近くの女子に聞いてみる。
「なあ、桜庭知らない?」
「ん~?なんか急いで教室は出ていってたけど…どこに行ったかは知らないよ?」
「…そっか。ありがと。」
教室の外や廊下を見回しても桜庭の姿はない。
…櫻井先輩と飯食いに行ったのかな…。
と、思っていたら、本人が現れた。
「…松本~。」
「櫻井先輩…ういっす。」
あたりを見回しながら俺に近づいてくる。
櫻井先輩も誰かを探しているようだった。
「あれ、ランカは?」
「あー、なんかいないんすよ。」
「ん~?…松本もいないしこっち来てんのかと思ったのに。」
「姉貴もいないんすか?」
「うん、ちょっと話しあったんだけど…」
俺は、櫻井先輩の話がなにか、大体の察しがついた。
この流れで、俺も言っとかないと。
「あの、櫻井先輩…」
「ん?」
「俺…その、桜庭の事…」
「…よろしくな?」
「…え?」
櫻井先輩は、すごく優しい顔で笑って、そう言った。
「俺じゃ幸せにできなかったけど、松本になら…」
「そんなことないっすよ…。すっげえ幸せそうでしたよ。」
「はは、ありがと。」
「櫻井先輩も、姉貴の事よろしくお願いします。」
「…知ってたか。笑」
そうだ、俺と姉貴。
桜庭と櫻井先輩のなかでは話が分かってるけど
実際俺たちや姉貴と櫻井先輩のなかでは何も始まっていない。
ここは、俺らからちゃんと、気持ちを伝えるべきだよな。
そう、決めていたのに。
「なんか…騒がしいっすね。」
「だな、なんかあったのかな。」
俺たちが話していると、周りがざわざわしていた。
先生たちも凄い形相で走っていくのが見える。
そんな中、ある生徒たちの声が聞こえた。
「松本先輩が落ちたって!!!」
「俺窓の近くで上から人が落ちるの見たんだけど…」
「誰かに突き落とされたらしいよ!」
「…ねえちゃん…?」
俺と櫻井先輩は顔を見合わせて、野次馬が集まる方へ走った。
人ごみをかき分けて校舎の外に出る。
そこには…
手足が折れ曲がり、大量に血を流した姉貴がいた。
「姉ちゃん…?おい…姉ちゃん!!!」
「松本!なんで…なんで!!」
先生や、かけつけた救急隊員に抑えられながら姉ちゃんを追う。
何が起こったのか…全然わからなかった。
なんで、こんなことになってるのか。
姉ちゃんは…?助かるの?
「おい、上に誰かいるぞ!」
野次馬の声に促されるように屋上のほうを見る。
「…桜庭…」
「ランカが…なんであんなところに…」
俺と櫻井先輩は、もう混乱状態だった。
姉ちゃんの事、そして…
桜庭が、どうして、屋上に…?
疑っていたわけじゃない。
桜庭が…姉ちゃんを…
そんなことをする理由がないんだから。
それでも、下から見上げた桜庭の顔を
俺は忘れることができなかった。
「松本…松本!!!」
櫻井先輩は姉ちゃんの運ばれた救急車に駆け込んだ。
俺は、もう一度屋上の桜庭を見上げる。
俺の心理状態でその時のことを正確に判断できたとは思えないけど
桜庭が、助けを求めてるように見えた。
1人にしたら、押しつぶされてしまいそうな。
なのに、俺は。
桜庭を睨みつけて、櫻井先輩と一緒に救急車に乗った。
はたから見たら当たり前の光景だろう。
自分の姉が屋上から落ちて救急車に乗っているんだから、一緒に行くのは当然。
けど、俺の中では、
桜庭を見捨てることになった。
と、同時に。
真実を知ろうとも、確認しようともせず
桜庭を犯人にしたてあげたんだ。
その方が、俺にも都合が良かった。
どこに向けていいのかわからないこの、怒り、憎しみ、悲しみの感情を
桜庭に向けたんだ。
病院について、医者は言った。
屋上から転落して、即死だと。
泣き崩れる櫻井先輩と、急いで駆け付けた俺の両親。
俺は、姉ちゃんの死を受け入れられず、ただ青白くなった姉ちゃんの顔を見ていた。
そして、その上には、桜庭の顔。
姉ちゃんを殺した、桜庭の顔。
確信なんてない。
もしかしたら、姉ちゃんを助けようとしてくれたのかもしれない。
けど、その時の俺に、そんな考えはなかった。
次第に、俺にとっての桜庭は、
理由のない殺人者になった。