【M】会えない距離じゃないのに
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翌日。
いつもとは違う登校時間。
翔と歩いていた道を、今は一人で歩いている。
少し寂しい気もするけど、心は清々しい気持ち。
今日は松本くんにもう一度ちゃんと告白をしようと思っていた。
曖昧な関係ではいたくなかったから。
昨日の夜、翔からもメールで同じような事を考えていると聞いた。
きっと、翔もきちんと想いを伝えるんだと思う。
そこに関してはもうモヤモヤな気持ちもなく、素直にみんなで幸せになりたいと思っていた。
それなのに…
学校の入り口に差し掛かって、松本くんを見つける。
声をかけようとしたとき、別の人に声をかけられた。
「ねえねえ、おはよ。」
『おはよう…ございます…。』
「この前ちょっと話したでしょ、覚えてるよね。」
サッカー部マネージャーのあの先輩。
すごく…嫌な予感がしていた。
「ってか知ってる?おまじないかなんかで好きな人の消しゴム使い切るとってやつ。」
『…はあ。』
「櫻井の消しゴム、松本さんが盗んでるとこ見ちゃったんだよね~。」
『…。』
…私は直感的に嘘だと分かった。
昨日の様子を見ると、お姉さんが消しゴムがどうなんて考えるような人じゃないと思ったから。
それに、多分盗んだのはこの先輩。
「あと昨日さ~、櫻井と松本さんがイチャイチャしてるとこも見たんだけど。」
『…。』
「浮気されたんだよ、あいつに。松本さんから誘ってたし。」
『そう、ですか。』
きっと、その校舎裏での出来事だろう。
私たちが帰った後に、この人達も見てたんだ…。
なんでよりによって、この人…。
「ムカつかないの?あなたの彼氏でしょ?略奪されてんだよ。」
『…私たち、もう、』
「ねえ、協力しようよ。私も松本さんムカつくし、私たちでこらしめてやんない?」
『は…?』
この先輩の言ってる意味が、分からなかった。
どうしてそういう話になるのかも。
「あなたも彼氏とられてそのまんまなんてしないよね?」
『いやだから、とられて…』
「ま、あなたは下級生だし私たちに任せてよ。とりあえず今日のお昼に屋上に来て?待ってるから!」
『いや、ちょっと!!』
人の話も聞かずにたんたんと自分の言いたいことだけを言って走ってゆく先輩。
もう完全に自分の世界に入ってしまってる。
私は、松本くんのお姉さんに何かをする気なんて全くない。
むしろこれからみんなで楽しく居れたらいいと思ってるのに。
胸騒ぎがした。
今日、屋上に行くべきなのか、行かないべきなのか。
今考えても、その選択のどちらが正しかったのかはわからない。
けど、当時の私はそれが最善だと思って行動していた。
授業が始まっても、胸騒ぎが止まることはなくて。
「桜庭?大丈夫?」
『…あ、うん。なんでもない。』
隣の松本くんと、今日初めての会話なのに、なんだか浮かない。
「昨日…櫻井先輩となんかあった…?』
『…それは、何もなかったよ。翔も、わかってくれたの。』
「そっか、よかった…って言っていいのかわかんねえけど。」
『4人で…これからも仲よくしようって言ってくれたよ。』
「…へへ、やっぱ櫻井先輩すげえわ。俺が惚れた先輩なだけある。」
『なにそれ。笑』
やっぱり松本くんと話すと心が和らぐ。
早く、きちんと想いを伝えたい…。
けど、その前に不安要素があったままじゃ前には進めない。
お昼を知らせるチャイムが鳴る。
私は、松本くんにばれないように屋上へ向かった。
「あ、きたきた~。」
『え…』
そこにはあの先輩とその友人数名、そして、
松本くんのお姉さんがびしょ濡れの状態で立っていた。
私はすぐにこの状態を察した。
お姉さんへの”いじめ”が始まってしまっていた。
「早速始めちゃっててごめんね~、途中参加でもいいでしょ?」
『なに、やってるんですか…』
「ごめんって、そんなに水かけたかった?笑
って言ってもこれ、昨日の掃除で使ったきったないやつだよ。笑」
『そんな…』
あまりに悪質ないじめに言葉を失っていた。
ドラマとかで見ているとき、なんで周りの人は助けてあげないんだろうって思ってたけど、こういうことなんだ。
あまりに悲惨で、醜くて、言葉にならない。
唖然としてしまう。
「…ごめんね…私が悪いの……」
『お姉さん…』
立ち尽くす私の姿に、お姉さんは勘違いしているようだった。
きっと、私も主犯格だと思われている。
先輩たちの発言にも、それを疑わせるものがあったから。
…違う。
私は、お姉さんを恨んでなんかない、むしろ仲良くしたいのに。
これからの未来を、こんなことで失いたくない。
「ほら、そこにもう一個バケツ残ってるからさ、かけてあげなよ。」
『…わかりました。』
「……。」
怯えるお姉さんと、あざ笑う先輩たちを横目に
私はその掃除用バケツを手に取った。
「ほ~ら!一気にいっちゃえ!」
そういう先輩に私は、
バケツの水を一気にかけた。
「…うわ!?!?何すんのよ!!」
『一気にかけました。』
「…ランカちゃん…?」
『…まったく、翔ったらまだ言ってなかったんですね。』
「…??」
すごく不思議そうな顔をするお姉さん。
その近くではまだキャーキャー言ってる先輩。
「まっじで意味わかんない…!あんたなにやってんのよ!」
『そっくりそのままお返しします。』
「クソ女…」
そう捨て台詞を吐いて屋上から走り去っていく先輩たち。
『大丈夫ですか…?』
「う、うん…」
私はお姉さんにハンカチを渡し、顔をふくように促した。
いつもとは違う登校時間。
翔と歩いていた道を、今は一人で歩いている。
少し寂しい気もするけど、心は清々しい気持ち。
今日は松本くんにもう一度ちゃんと告白をしようと思っていた。
曖昧な関係ではいたくなかったから。
昨日の夜、翔からもメールで同じような事を考えていると聞いた。
きっと、翔もきちんと想いを伝えるんだと思う。
そこに関してはもうモヤモヤな気持ちもなく、素直にみんなで幸せになりたいと思っていた。
それなのに…
学校の入り口に差し掛かって、松本くんを見つける。
声をかけようとしたとき、別の人に声をかけられた。
「ねえねえ、おはよ。」
『おはよう…ございます…。』
「この前ちょっと話したでしょ、覚えてるよね。」
サッカー部マネージャーのあの先輩。
すごく…嫌な予感がしていた。
「ってか知ってる?おまじないかなんかで好きな人の消しゴム使い切るとってやつ。」
『…はあ。』
「櫻井の消しゴム、松本さんが盗んでるとこ見ちゃったんだよね~。」
『…。』
…私は直感的に嘘だと分かった。
昨日の様子を見ると、お姉さんが消しゴムがどうなんて考えるような人じゃないと思ったから。
それに、多分盗んだのはこの先輩。
「あと昨日さ~、櫻井と松本さんがイチャイチャしてるとこも見たんだけど。」
『…。』
「浮気されたんだよ、あいつに。松本さんから誘ってたし。」
『そう、ですか。』
きっと、その校舎裏での出来事だろう。
私たちが帰った後に、この人達も見てたんだ…。
なんでよりによって、この人…。
「ムカつかないの?あなたの彼氏でしょ?略奪されてんだよ。」
『…私たち、もう、』
「ねえ、協力しようよ。私も松本さんムカつくし、私たちでこらしめてやんない?」
『は…?』
この先輩の言ってる意味が、分からなかった。
どうしてそういう話になるのかも。
「あなたも彼氏とられてそのまんまなんてしないよね?」
『いやだから、とられて…』
「ま、あなたは下級生だし私たちに任せてよ。とりあえず今日のお昼に屋上に来て?待ってるから!」
『いや、ちょっと!!』
人の話も聞かずにたんたんと自分の言いたいことだけを言って走ってゆく先輩。
もう完全に自分の世界に入ってしまってる。
私は、松本くんのお姉さんに何かをする気なんて全くない。
むしろこれからみんなで楽しく居れたらいいと思ってるのに。
胸騒ぎがした。
今日、屋上に行くべきなのか、行かないべきなのか。
今考えても、その選択のどちらが正しかったのかはわからない。
けど、当時の私はそれが最善だと思って行動していた。
授業が始まっても、胸騒ぎが止まることはなくて。
「桜庭?大丈夫?」
『…あ、うん。なんでもない。』
隣の松本くんと、今日初めての会話なのに、なんだか浮かない。
「昨日…櫻井先輩となんかあった…?』
『…それは、何もなかったよ。翔も、わかってくれたの。』
「そっか、よかった…って言っていいのかわかんねえけど。」
『4人で…これからも仲よくしようって言ってくれたよ。』
「…へへ、やっぱ櫻井先輩すげえわ。俺が惚れた先輩なだけある。」
『なにそれ。笑』
やっぱり松本くんと話すと心が和らぐ。
早く、きちんと想いを伝えたい…。
けど、その前に不安要素があったままじゃ前には進めない。
お昼を知らせるチャイムが鳴る。
私は、松本くんにばれないように屋上へ向かった。
「あ、きたきた~。」
『え…』
そこにはあの先輩とその友人数名、そして、
松本くんのお姉さんがびしょ濡れの状態で立っていた。
私はすぐにこの状態を察した。
お姉さんへの”いじめ”が始まってしまっていた。
「早速始めちゃっててごめんね~、途中参加でもいいでしょ?」
『なに、やってるんですか…』
「ごめんって、そんなに水かけたかった?笑
って言ってもこれ、昨日の掃除で使ったきったないやつだよ。笑」
『そんな…』
あまりに悪質ないじめに言葉を失っていた。
ドラマとかで見ているとき、なんで周りの人は助けてあげないんだろうって思ってたけど、こういうことなんだ。
あまりに悲惨で、醜くて、言葉にならない。
唖然としてしまう。
「…ごめんね…私が悪いの……」
『お姉さん…』
立ち尽くす私の姿に、お姉さんは勘違いしているようだった。
きっと、私も主犯格だと思われている。
先輩たちの発言にも、それを疑わせるものがあったから。
…違う。
私は、お姉さんを恨んでなんかない、むしろ仲良くしたいのに。
これからの未来を、こんなことで失いたくない。
「ほら、そこにもう一個バケツ残ってるからさ、かけてあげなよ。」
『…わかりました。』
「……。」
怯えるお姉さんと、あざ笑う先輩たちを横目に
私はその掃除用バケツを手に取った。
「ほ~ら!一気にいっちゃえ!」
そういう先輩に私は、
バケツの水を一気にかけた。
「…うわ!?!?何すんのよ!!」
『一気にかけました。』
「…ランカちゃん…?」
『…まったく、翔ったらまだ言ってなかったんですね。』
「…??」
すごく不思議そうな顔をするお姉さん。
その近くではまだキャーキャー言ってる先輩。
「まっじで意味わかんない…!あんたなにやってんのよ!」
『そっくりそのままお返しします。』
「クソ女…」
そう捨て台詞を吐いて屋上から走り去っていく先輩たち。
『大丈夫ですか…?』
「う、うん…」
私はお姉さんにハンカチを渡し、顔をふくように促した。