【M】会えない距離じゃないのに
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最後の授業が終わる。
教室の掃除をして、ホームルームが終われ放課後。
掃除の最中、私はある現場を目撃した。
「ねえねえ!松本くん消しゴムもう一個持ってたよ!」
「本当だ!さっきは一個しかなかったのに。」
その消しゴムは、私が松本くんにあげたやつだった。
嫌な予感は、たいてい当たる。
「じゃあ私もおまじないやっちゃおうかなあ~。」
「え~私たちライバルになっちゃうじゃん!」
女子2人はその消しゴムを松本くんのペンケースから抜き取り、こそっとポケットに入れていた。
『…ねえねえ、それ私の消しゴムなんだけど。』
「わ!びっくりしたあ…」
「でもこれ、松本くんのペンケースに入ってたんだけど?」
悪びれる様子もなく消しゴムを見せてくる。
『なくなったって言ってたからあげたの。』
「そうなんだあ、でもそれなら松本くんのだよね?」
『…なら盗ってもいいっていうの?』
「やだなあ、おまじないしらないの?」
この子たちは、本当に悪いと思ってないことに驚愕していた。
みんながやってるおまじないだから、人のモノを盗っても悪くはないと…。
『…あのねえ。』
「何してんの?」
そこにタイミングよく松本くんが戻ってくる。
「なんで俺のペンケース出てんの?机に入れてたんだけど…」
「あの、これは、ね…」
『おまじないなんだって。』
「おまじない?」
何を思ったか、私はその子たちの悪事を正当化してあげようとしていた。
盗みを働いたことをそのまま伝えるんじゃなく、その子たちがどうしてそんなことをしたかを伝えて、松本くんの判断に任せようとした。
「あのね、だから、私たち…」
「知ってるよ、そのおまじない。」
「…そうなんだ、じゃあ私たちの気持ちも…」
「知ってるから、俺その消しゴム持ってんの。使い切んなきゃいけないんでしょ?」
「え??うん、そうだけど…」
女子たちの告白まがいの発言にかぶせるようにしゃべる松本くん。
「俺、その消しゴム使い切りたいの。だから勝手に盗んないでくれる?」
「え…それって…」
…私の消しゴムを使い切りたいっていう意味、だった。
「でも、桜庭さんには彼氏が…」
「わかってるよ、だから単なるおまじないでしょ?」
「そう、だね…ごめんね!返す!」
2人は消しゴムを松本くんに手渡し、走って行ってしまった。
消しゴムをもつ松本くんと私はポツンと残る。
「…なんつってな。」
『嘘かい。』
すこしおどけたように笑う松本くん。
私、少し嬉しかったんだけどね。
やっぱり、人に好意を持ってもらえることはうれしいんだけど、
松本くんに対するのはなんだかちょっと違くて。
冗談だったのが、少し残念で。
「まあ、使い切りたいとはガチで思ってるけど。」
『…ふうん、叶うといいね?笑』
「壁は高いな。笑」
ちょっと残念だったのが、また思わせぶりな発言をされて舞い上がりそうになる。
照れ隠しにわざと余裕ぶる。
『まあ、松本くんならどんな子でも惚れちゃうから大丈夫でしょ。』
「まーたそんなこと言う。そうでもないんだけどな~。」
消しゴムをペンケースになおしながら席に着く松本くん。
もうすぐ帰りのホームルームが始まる。
私も席に着いた。
「つうか、このおまじないって同意の上ならいいけど、普通に窃盗だよな?」
小さい声で、隣からこそっと話しかけてくる。
『私もそれ思ってた。勝手に盗るのはまずいよね。』
「俺はいいんだよね?」
『ふふ、だってあげたもん。大丈夫だよ。』
「良かった。笑」
『もしかして狙ってた?』
「いや、神様が味方してくれただけ。」
『なにそれ笑』
もう、普通の事のように話してたけど
これは単純に「松本くんが私を好き」っていうことだった。
私も松本くんもその意図には気づいていたものの
お互い素直になれず、冗談半分にしていたのだ。
私に関しては…
松本くんの好意に揺れ動いてしまう自分がいた。
翔が嫌いになったわけじゃない。
なんなら大好き。
でも、人間の心は不思議なもので。
他の人へも愛情が生まれてしまう。
この欲望のまま進んでしまえば、私は最低な二股女になってしまう。
理性を保つのに必死だったのかもしれない。
それはきっと、松本くんも。
”浮気相手”というカテゴリーに分類されてしまう。
ましてや、相手が翔。
松本くんは翔と気が合いそうなのもあって、翔から私を…なんて考えは到底ないんだと思う。
今思えば、その辺は高校生のくせにお互い大人びていたなと思う。
教室の掃除をして、ホームルームが終われ放課後。
掃除の最中、私はある現場を目撃した。
「ねえねえ!松本くん消しゴムもう一個持ってたよ!」
「本当だ!さっきは一個しかなかったのに。」
その消しゴムは、私が松本くんにあげたやつだった。
嫌な予感は、たいてい当たる。
「じゃあ私もおまじないやっちゃおうかなあ~。」
「え~私たちライバルになっちゃうじゃん!」
女子2人はその消しゴムを松本くんのペンケースから抜き取り、こそっとポケットに入れていた。
『…ねえねえ、それ私の消しゴムなんだけど。』
「わ!びっくりしたあ…」
「でもこれ、松本くんのペンケースに入ってたんだけど?」
悪びれる様子もなく消しゴムを見せてくる。
『なくなったって言ってたからあげたの。』
「そうなんだあ、でもそれなら松本くんのだよね?」
『…なら盗ってもいいっていうの?』
「やだなあ、おまじないしらないの?」
この子たちは、本当に悪いと思ってないことに驚愕していた。
みんながやってるおまじないだから、人のモノを盗っても悪くはないと…。
『…あのねえ。』
「何してんの?」
そこにタイミングよく松本くんが戻ってくる。
「なんで俺のペンケース出てんの?机に入れてたんだけど…」
「あの、これは、ね…」
『おまじないなんだって。』
「おまじない?」
何を思ったか、私はその子たちの悪事を正当化してあげようとしていた。
盗みを働いたことをそのまま伝えるんじゃなく、その子たちがどうしてそんなことをしたかを伝えて、松本くんの判断に任せようとした。
「あのね、だから、私たち…」
「知ってるよ、そのおまじない。」
「…そうなんだ、じゃあ私たちの気持ちも…」
「知ってるから、俺その消しゴム持ってんの。使い切んなきゃいけないんでしょ?」
「え??うん、そうだけど…」
女子たちの告白まがいの発言にかぶせるようにしゃべる松本くん。
「俺、その消しゴム使い切りたいの。だから勝手に盗んないでくれる?」
「え…それって…」
…私の消しゴムを使い切りたいっていう意味、だった。
「でも、桜庭さんには彼氏が…」
「わかってるよ、だから単なるおまじないでしょ?」
「そう、だね…ごめんね!返す!」
2人は消しゴムを松本くんに手渡し、走って行ってしまった。
消しゴムをもつ松本くんと私はポツンと残る。
「…なんつってな。」
『嘘かい。』
すこしおどけたように笑う松本くん。
私、少し嬉しかったんだけどね。
やっぱり、人に好意を持ってもらえることはうれしいんだけど、
松本くんに対するのはなんだかちょっと違くて。
冗談だったのが、少し残念で。
「まあ、使い切りたいとはガチで思ってるけど。」
『…ふうん、叶うといいね?笑』
「壁は高いな。笑」
ちょっと残念だったのが、また思わせぶりな発言をされて舞い上がりそうになる。
照れ隠しにわざと余裕ぶる。
『まあ、松本くんならどんな子でも惚れちゃうから大丈夫でしょ。』
「まーたそんなこと言う。そうでもないんだけどな~。」
消しゴムをペンケースになおしながら席に着く松本くん。
もうすぐ帰りのホームルームが始まる。
私も席に着いた。
「つうか、このおまじないって同意の上ならいいけど、普通に窃盗だよな?」
小さい声で、隣からこそっと話しかけてくる。
『私もそれ思ってた。勝手に盗るのはまずいよね。』
「俺はいいんだよね?」
『ふふ、だってあげたもん。大丈夫だよ。』
「良かった。笑」
『もしかして狙ってた?』
「いや、神様が味方してくれただけ。」
『なにそれ笑』
もう、普通の事のように話してたけど
これは単純に「松本くんが私を好き」っていうことだった。
私も松本くんもその意図には気づいていたものの
お互い素直になれず、冗談半分にしていたのだ。
私に関しては…
松本くんの好意に揺れ動いてしまう自分がいた。
翔が嫌いになったわけじゃない。
なんなら大好き。
でも、人間の心は不思議なもので。
他の人へも愛情が生まれてしまう。
この欲望のまま進んでしまえば、私は最低な二股女になってしまう。
理性を保つのに必死だったのかもしれない。
それはきっと、松本くんも。
”浮気相手”というカテゴリーに分類されてしまう。
ましてや、相手が翔。
松本くんは翔と気が合いそうなのもあって、翔から私を…なんて考えは到底ないんだと思う。
今思えば、その辺は高校生のくせにお互い大人びていたなと思う。