【M】会えない距離じゃないのに
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私は…ただ、落ちたお姉さんを見ていた。
信じられなかった、信じたくなかった。
…お姉さんを、助けられなかった。
下から沢山の生徒がこちらを見上げている。
私が、突き落としたように見えるんだろう。
その中に、松本くんと翔の姿もあった。
2人も、私を、疑っているように見えた。
痛むお腹とお姉さんの手の感覚に、過呼吸が始まった。
私は屋上から除く顔を戻し、うずくまる。
うっすらと見える視界には、急いで逃げる先輩と
カメラを持ったその友人がいた。
私はすぐに察しがついた。
そう、1人で戻ってきたんじゃない。
”私がいじめている”という証拠を撮りにきていたんだと。
そして、だれの予想もつかない結果になり
その場面も、写真に…。
冴えない頭でそんなことを考えていると、警察の人たちが駆け寄ってくるのが見えた。
その後、事情聴取を受け、精一杯話せる内容を話した。
家に戻ると、家の前には松本くんがいた。
『…松本くん。』
「……姉貴、死んじゃった。」
『……ッ』
泣いた跡はないけど、完全に生気を失っているようだった。
私も、お姉さんの死を実感した。
「なにが…あったんだよ…。」
松本くんは単刀直入に聞いたきた。
私は、屋上で起こったことやお姉さんと話したことを話した。
「…それって、ほんとの話?」
『本当…ごめんなさい…私のせいでお姉さんは…』
「……。」
松本くんは、言葉も出ないといった感じだった。
誰かを恨み、怒り、悲しむといった感情がすべて度を越えてしまったような。
「…桜庭が、突き落としたんじゃないの…?」
『…。』
私も、言葉を失った。
事実を話して、信じてくれると、思ってた。
それでも松本くんは、私を…。
自分でも、そこで強く否定すればよかった。
信じてと伝えればよかったのに。
大きな喪失感に見舞われた私は、あふれ出る涙と一緒に家に駆けこんだ。
松本くんが追いかけてくることはなかった。
それから数週間、私は学校に行けなかった。
またこれが、最悪の選択だった。
家に引きこもっているとき、警察が来たのだ。
…一枚の写真を持って。
その写真は、お姉さんがふらついて足を踏み外したときに私がお姉さんの手を掴もうと自分の手を伸ばしているときの写真。
それはまるで、私がお姉さんを、突き飛ばしているような瞬間だった。
「これね、学校のある生徒が警察に匿名で送ってきたんだけど、君の聴取の話と違うよね?それに、亡くなった松本さんの頭にあるモップの傷…モップから君の指紋も出てきたんだけど…また詳しく聞かせてもらっていいかな?」
『………。』
あの時、カメラを持っていた先輩の友人だ。
そんなの、すぐにわかった。
それにモップ。
あの先輩は私がかけた水でモップに指紋がつかなくなっていた。
私が投げられたモップをキャッチしたのが、ここになって悪い影響を与えたのだ。
私が自分は悪くないんだと、ちゃんとみんなに伝えていれば。
学校に行ってちゃんと先生に伝えていれば。
そして、誰も…松本くんや、あれから連絡のない翔にも信じてもらえていない状況と、あの先輩の周りに私が突き落としたように仕向けようとしている人がいる事実に、私は完全に希望を失った。
『…ごめんなさい。』
「ん?」
『嘘、ついてました…ごめんなさい…私が、私が…』
「うん、署で聞くから、今は…ね。」
後ろでお母さんが泣いている声が聞こえた。
警察に連れられる私は、頭の中が真っ暗だった。
そして、警察官が”ある生徒”の証言に対して事実かと聞いてくるとき
私は全て”事実”だと答えた。
それによって私は、少年法で裁判を受けることとなった。
一定期間、留置所にいることになった当時の私は、鬱病予備軍と診断されていた。
なんの希望もない私の元へ、1人の面会者が現れた。
「…ランカ。」
『………しょ、う?』
少しやつれた顔の翔が、力なく笑っていた。
『なんで…ここに…』
「ランカが馬鹿な事してっからじゃん…。」
『…翔、ごめん。…松本先輩は、私がッ…』
「もう、いいんだよ。嘘つかなくて。」
そういうと翔は私を優しく抱きしめてくれた。
「全然連絡取れなくてごめんな。俺が、あいつに全部吐かせたから…。」
『……信じて、くれてたの…?』
「当たり前じゃん…俺ら2人で…みんなのこれからのこと話しただろ。
ランカがあんなことするはずねえんだから…」
『…あり、ありがとう…!』
初めて、希望を取り戻した気がした。
私を信じていてくれた翔は、私が引きこもっている間にあの先輩の挙動に異変を感じ、一人で色々調べてくれていたようだった。
それを察したあの友人が、自分も共犯になることを恐れて、隠し持っていた写真を警察に提出していた。
それを知った翔は、私が裁判にかけられる前に先輩に真実を話させたらしい。
そのおかげで私は留置所から出ることができ、裁判になることもなかった。
あの先輩は、お姉さんや私への暴力で退学、保護観察の対象となった。
お姉さんが転落してしまったのは、誰も突き落としてはいないという理由で、不慮の事故として処理された。
翔のおかげで学校や生徒からの疑いの目は晴れ登校できるようになり、逆にいじめから助けようとしていた存在として見られていた。
その時、松本くんの姿はなかった。
信じられなかった、信じたくなかった。
…お姉さんを、助けられなかった。
下から沢山の生徒がこちらを見上げている。
私が、突き落としたように見えるんだろう。
その中に、松本くんと翔の姿もあった。
2人も、私を、疑っているように見えた。
痛むお腹とお姉さんの手の感覚に、過呼吸が始まった。
私は屋上から除く顔を戻し、うずくまる。
うっすらと見える視界には、急いで逃げる先輩と
カメラを持ったその友人がいた。
私はすぐに察しがついた。
そう、1人で戻ってきたんじゃない。
”私がいじめている”という証拠を撮りにきていたんだと。
そして、だれの予想もつかない結果になり
その場面も、写真に…。
冴えない頭でそんなことを考えていると、警察の人たちが駆け寄ってくるのが見えた。
その後、事情聴取を受け、精一杯話せる内容を話した。
家に戻ると、家の前には松本くんがいた。
『…松本くん。』
「……姉貴、死んじゃった。」
『……ッ』
泣いた跡はないけど、完全に生気を失っているようだった。
私も、お姉さんの死を実感した。
「なにが…あったんだよ…。」
松本くんは単刀直入に聞いたきた。
私は、屋上で起こったことやお姉さんと話したことを話した。
「…それって、ほんとの話?」
『本当…ごめんなさい…私のせいでお姉さんは…』
「……。」
松本くんは、言葉も出ないといった感じだった。
誰かを恨み、怒り、悲しむといった感情がすべて度を越えてしまったような。
「…桜庭が、突き落としたんじゃないの…?」
『…。』
私も、言葉を失った。
事実を話して、信じてくれると、思ってた。
それでも松本くんは、私を…。
自分でも、そこで強く否定すればよかった。
信じてと伝えればよかったのに。
大きな喪失感に見舞われた私は、あふれ出る涙と一緒に家に駆けこんだ。
松本くんが追いかけてくることはなかった。
それから数週間、私は学校に行けなかった。
またこれが、最悪の選択だった。
家に引きこもっているとき、警察が来たのだ。
…一枚の写真を持って。
その写真は、お姉さんがふらついて足を踏み外したときに私がお姉さんの手を掴もうと自分の手を伸ばしているときの写真。
それはまるで、私がお姉さんを、突き飛ばしているような瞬間だった。
「これね、学校のある生徒が警察に匿名で送ってきたんだけど、君の聴取の話と違うよね?それに、亡くなった松本さんの頭にあるモップの傷…モップから君の指紋も出てきたんだけど…また詳しく聞かせてもらっていいかな?」
『………。』
あの時、カメラを持っていた先輩の友人だ。
そんなの、すぐにわかった。
それにモップ。
あの先輩は私がかけた水でモップに指紋がつかなくなっていた。
私が投げられたモップをキャッチしたのが、ここになって悪い影響を与えたのだ。
私が自分は悪くないんだと、ちゃんとみんなに伝えていれば。
学校に行ってちゃんと先生に伝えていれば。
そして、誰も…松本くんや、あれから連絡のない翔にも信じてもらえていない状況と、あの先輩の周りに私が突き落としたように仕向けようとしている人がいる事実に、私は完全に希望を失った。
『…ごめんなさい。』
「ん?」
『嘘、ついてました…ごめんなさい…私が、私が…』
「うん、署で聞くから、今は…ね。」
後ろでお母さんが泣いている声が聞こえた。
警察に連れられる私は、頭の中が真っ暗だった。
そして、警察官が”ある生徒”の証言に対して事実かと聞いてくるとき
私は全て”事実”だと答えた。
それによって私は、少年法で裁判を受けることとなった。
一定期間、留置所にいることになった当時の私は、鬱病予備軍と診断されていた。
なんの希望もない私の元へ、1人の面会者が現れた。
「…ランカ。」
『………しょ、う?』
少しやつれた顔の翔が、力なく笑っていた。
『なんで…ここに…』
「ランカが馬鹿な事してっからじゃん…。」
『…翔、ごめん。…松本先輩は、私がッ…』
「もう、いいんだよ。嘘つかなくて。」
そういうと翔は私を優しく抱きしめてくれた。
「全然連絡取れなくてごめんな。俺が、あいつに全部吐かせたから…。」
『……信じて、くれてたの…?』
「当たり前じゃん…俺ら2人で…みんなのこれからのこと話しただろ。
ランカがあんなことするはずねえんだから…」
『…あり、ありがとう…!』
初めて、希望を取り戻した気がした。
私を信じていてくれた翔は、私が引きこもっている間にあの先輩の挙動に異変を感じ、一人で色々調べてくれていたようだった。
それを察したあの友人が、自分も共犯になることを恐れて、隠し持っていた写真を警察に提出していた。
それを知った翔は、私が裁判にかけられる前に先輩に真実を話させたらしい。
そのおかげで私は留置所から出ることができ、裁判になることもなかった。
あの先輩は、お姉さんや私への暴力で退学、保護観察の対象となった。
お姉さんが転落してしまったのは、誰も突き落としてはいないという理由で、不慮の事故として処理された。
翔のおかげで学校や生徒からの疑いの目は晴れ登校できるようになり、逆にいじめから助けようとしていた存在として見られていた。
その時、松本くんの姿はなかった。