櫻井さん
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それから数日、私は櫻井さんと一言も話していない。
というか、以前から櫻井さんと話すことなんて少なかったのに。
こんな風に感じてしまうようになってしまった。
最近は鴨川さんがいつも隣にいる。
…デスクが隣になってるんだもん、当たり前なんだけどね。
周りはみんな、鴨川さんと櫻井さんが付き合ってるんじゃないかって噂になっている。
逆にそうならないほうが怖いくらい。
その時、鴨川さんがトイレに立った途端、櫻井さんが小走りで私の元へ来る。
「桜庭!今いい?」
『びっ…くりした…どうかしました?あ、データなら今部長に…』
「違うよ、仕事の事じゃない…ちょっと来て!」
『あ、えっ?』
櫻井さんは私の手を引っ張って、休憩所へ向かった。
『ちょ…櫻井さん?』
「あ…ごめん、痛かった?」
『いや、手は大丈夫ですけど…どうしたんですか?』
「いやあの…今日、おふくろに会う日なんだけど…」
『…?……あ~』
もうそんな経ったんだ。
っていうか、忘れてた。
「え、忘れてたの?」
『え、むしろあれってまだ継続してたんですか?私はもうてっきり…』
「はあ?なんでだよ、勝手にやめんなよ…来てくんねえの…?」
久しぶりに、私に向けるこの櫻井さんを見た気がする。
最近は、仕事モードの優しい櫻井さんを見たくないほど見てたから…。
『だって櫻井さん、鴨川さんにメロメロ~って。』
「意味わかんねえ、そんなんなってねえわ」
『ふうん…じゃあ私はまだ彼女(仮)だったんですね。
お迎えにも来てくれないしお昼も一緒に食べなかったですけど、演技は大丈夫なんですかね。』
「悪かったって…鴨川さんにつきっきりで出来なかったんだよ。
俺だって桜庭と話したかったんだけど…。」
そういって口をとがらせる櫻井さん。
こんな櫻井さん、誰にも見せたくない。
…けど、それを見るのはきっと私じゃいけないはず。
あの時のように、鴨川さんに…
そんな葛藤が生まれてしまった。
でも、勝ったのは素直な気持ちだった。
『櫻井さん、って呼んじゃ彼女っぽくないですかね。』
「え…ああ、そう…かも。」
『なんて呼んでほしいですか?』
「まじか…じゃあ、翔、とか…」
『…翔?』
「あ~…うん。やべえ。それがいい。…じゃあ俺は何て呼べばいい?」
『なら私も同じでいいです。』
「えっと…ランカ…?」
『ふふっ…なんか変な感じですけど』
こんな学生みたいなことで、自分がきゅんとしてしまうなんて。
大人げないけど、楽しくて、嬉しくて。
本当の、カップルみたいで。
「なんか俺、今めちゃくちゃ楽しい。
最近…ランカ、と…話せてなかったからさ」
『…それは、私もですけどね。』
私は、また大人げもなく…。
櫻井さんに抱き着いてしまった。
「え…桜庭…?」
『…演技です。演技ですから…』
「…いや、そんなんずるいから。」
『ずるいって…』
ふと顔を上げると…
『…鴨川…さん…』
「え…?」
「櫻井さん…?こんなとこで…その…」
私は勢いよく櫻井さんから離れた。
『あの、これは…』
「…鴨川さん、お見合いの件なんですけど」
「あ…はい…」
「俺、この人と…」
『あ~~~~!いたたた…』
「…ランカ?」
『いった~…櫻井さんすみません、私がこけちゃったせいで…』
私は足をさすりながら、こけたときに櫻井さんに掴まった体を装った。
素直な気持ちをさらけ出して幸せな気分になれたけど、所詮”カップルごっこ”なんだから。
冷静になった途端、急に恥ずかしくなってしまった。
…と、同時に鴨川さんを見ると
この人もきっと、親に言われたからってだけじゃない。
櫻井さんの事、本当に好きになってるんだってわかっちゃったから。
そうわかってしまったら、私と鴨川さん、どっちが身を引くべきかなんて一目瞭然でしょ。
『あ~、鴨川さん…すみません…。』
「え?」
『櫻井さんからお見合いのお話聞きました。
相談されたんです、早速お母様に紹介したいんだけど、って。』
「おい、ランカ…?」
『だから、まだ日が浅いけど、呼び捨て同士ならそれっぽく見えるし、お母様も安心しますよねって。』
「ランカっ…」
『もう櫻井さん~、私で練習するのはいいですけど、目の前に鴨川さんいるんですから、早速実践したらいいじゃないですか。
ほら、鴨川さんも!』
私は鴨川さんを櫻井さんの前まで連れていった。
「えっ…と…翔?」
『…ふふっ、なんか初々しくてかわいいですね!』
「お前…」
『あ~、櫻井さんもさすがに部下の前じゃ恥ずかしいですよね。
私は仕事も残ってるし戻りますね!
ああ、あと櫻井さんの分もやっておくんで、じっくりお母様への紹介文考えておいてくださいね!じゃ!』
人生で一番じゃないかってくらいの言葉の量を早口で喋った気がする。
2人を残して、ひとり中へ戻る。
これでいいんだよね。
一週間、楽しかったような辛かったような。
濃い一週間だったけど、充実してたな…。
涙はこの前使い果たしたから、もう出ないけど。
私は部署に戻り、櫻井さんのデスクから作りかけの資料を取って自分のデスクに戻った。
その日もあの日と同じように、私だけが部署に残った。
櫻井さんは現れなかったけど。
というか、以前から櫻井さんと話すことなんて少なかったのに。
こんな風に感じてしまうようになってしまった。
最近は鴨川さんがいつも隣にいる。
…デスクが隣になってるんだもん、当たり前なんだけどね。
周りはみんな、鴨川さんと櫻井さんが付き合ってるんじゃないかって噂になっている。
逆にそうならないほうが怖いくらい。
その時、鴨川さんがトイレに立った途端、櫻井さんが小走りで私の元へ来る。
「桜庭!今いい?」
『びっ…くりした…どうかしました?あ、データなら今部長に…』
「違うよ、仕事の事じゃない…ちょっと来て!」
『あ、えっ?』
櫻井さんは私の手を引っ張って、休憩所へ向かった。
『ちょ…櫻井さん?』
「あ…ごめん、痛かった?」
『いや、手は大丈夫ですけど…どうしたんですか?』
「いやあの…今日、おふくろに会う日なんだけど…」
『…?……あ~』
もうそんな経ったんだ。
っていうか、忘れてた。
「え、忘れてたの?」
『え、むしろあれってまだ継続してたんですか?私はもうてっきり…』
「はあ?なんでだよ、勝手にやめんなよ…来てくんねえの…?」
久しぶりに、私に向けるこの櫻井さんを見た気がする。
最近は、仕事モードの優しい櫻井さんを見たくないほど見てたから…。
『だって櫻井さん、鴨川さんにメロメロ~って。』
「意味わかんねえ、そんなんなってねえわ」
『ふうん…じゃあ私はまだ彼女(仮)だったんですね。
お迎えにも来てくれないしお昼も一緒に食べなかったですけど、演技は大丈夫なんですかね。』
「悪かったって…鴨川さんにつきっきりで出来なかったんだよ。
俺だって桜庭と話したかったんだけど…。」
そういって口をとがらせる櫻井さん。
こんな櫻井さん、誰にも見せたくない。
…けど、それを見るのはきっと私じゃいけないはず。
あの時のように、鴨川さんに…
そんな葛藤が生まれてしまった。
でも、勝ったのは素直な気持ちだった。
『櫻井さん、って呼んじゃ彼女っぽくないですかね。』
「え…ああ、そう…かも。」
『なんて呼んでほしいですか?』
「まじか…じゃあ、翔、とか…」
『…翔?』
「あ~…うん。やべえ。それがいい。…じゃあ俺は何て呼べばいい?」
『なら私も同じでいいです。』
「えっと…ランカ…?」
『ふふっ…なんか変な感じですけど』
こんな学生みたいなことで、自分がきゅんとしてしまうなんて。
大人げないけど、楽しくて、嬉しくて。
本当の、カップルみたいで。
「なんか俺、今めちゃくちゃ楽しい。
最近…ランカ、と…話せてなかったからさ」
『…それは、私もですけどね。』
私は、また大人げもなく…。
櫻井さんに抱き着いてしまった。
「え…桜庭…?」
『…演技です。演技ですから…』
「…いや、そんなんずるいから。」
『ずるいって…』
ふと顔を上げると…
『…鴨川…さん…』
「え…?」
「櫻井さん…?こんなとこで…その…」
私は勢いよく櫻井さんから離れた。
『あの、これは…』
「…鴨川さん、お見合いの件なんですけど」
「あ…はい…」
「俺、この人と…」
『あ~~~~!いたたた…』
「…ランカ?」
『いった~…櫻井さんすみません、私がこけちゃったせいで…』
私は足をさすりながら、こけたときに櫻井さんに掴まった体を装った。
素直な気持ちをさらけ出して幸せな気分になれたけど、所詮”カップルごっこ”なんだから。
冷静になった途端、急に恥ずかしくなってしまった。
…と、同時に鴨川さんを見ると
この人もきっと、親に言われたからってだけじゃない。
櫻井さんの事、本当に好きになってるんだってわかっちゃったから。
そうわかってしまったら、私と鴨川さん、どっちが身を引くべきかなんて一目瞭然でしょ。
『あ~、鴨川さん…すみません…。』
「え?」
『櫻井さんからお見合いのお話聞きました。
相談されたんです、早速お母様に紹介したいんだけど、って。』
「おい、ランカ…?」
『だから、まだ日が浅いけど、呼び捨て同士ならそれっぽく見えるし、お母様も安心しますよねって。』
「ランカっ…」
『もう櫻井さん~、私で練習するのはいいですけど、目の前に鴨川さんいるんですから、早速実践したらいいじゃないですか。
ほら、鴨川さんも!』
私は鴨川さんを櫻井さんの前まで連れていった。
「えっ…と…翔?」
『…ふふっ、なんか初々しくてかわいいですね!』
「お前…」
『あ~、櫻井さんもさすがに部下の前じゃ恥ずかしいですよね。
私は仕事も残ってるし戻りますね!
ああ、あと櫻井さんの分もやっておくんで、じっくりお母様への紹介文考えておいてくださいね!じゃ!』
人生で一番じゃないかってくらいの言葉の量を早口で喋った気がする。
2人を残して、ひとり中へ戻る。
これでいいんだよね。
一週間、楽しかったような辛かったような。
濃い一週間だったけど、充実してたな…。
涙はこの前使い果たしたから、もう出ないけど。
私は部署に戻り、櫻井さんのデスクから作りかけの資料を取って自分のデスクに戻った。
その日もあの日と同じように、私だけが部署に残った。
櫻井さんは現れなかったけど。