櫻井さん
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「お疲れ様でーす」
「おつかれ~」
定時を迎えて続々とみんな帰っていく。
私は他の社員の仕事を請け負ってしまったがために、午後に回そうと思っていた仕事に集中力が持たず、思いのほか時間がかかってしまっている。
「ランカ?手伝うよ!」
『サクラ…ありがとう、でも大丈夫だよ。あとちょっとだし。』
「いつも手伝って貰ってるし、こんな時くらい頼って?」
『ふふ、なんか頼もしいね笑
でも、今日相葉くんとデートでしょ?』
「え!?なんで知ってるの?!」
『もう忘れたの?朝自分で言ってたよ笑』
「あ~~私の馬鹿~」
『はい残念、知らなかったら手伝って貰ってたかも。笑』
「も~~…こうなったらランカ、絶対手伝わせてくんないもんね…」
『わかったらさっさと帰る!相葉くん待たせちゃうよ!』
「…ごめんね、また今度手伝うから!」
『は~い、ありがとね~』
最後にサクラの背中を見送って、もう一度パソコンに目を移す。
…さてと、せめて2時間で終わらせたい…。
いざ気合を入れてキーボードに手を置いた瞬間。
私しか残っていない部署に、誰かが入ってきた。
…あの二人だ。
「櫻井さんって、説明お上手なんですね、わかりやすいです!」
「こういうのだけは得意なんですよ。」
ほんと、絵になるんだよな~。
適当に髪をくくって腕まくりをして、落ちた化粧も直さず残業してる私ったら…
馬鹿みたいに比べて、また一人で萎える。
「…あれ、桜庭?まだ残ってんの?」
『ああ、はい。ちょっと終わらなくて。』
「あの…こちらは…」
鴨川さんが私を見る。
「えっと、こちらは桜庭ランカさん。俺の…」
『…。』
「部下、です。この部署での。」
「じゃあ、先輩ですね!桜庭さん、よろしくお願い致します!」
『あ、はい。よろしくお願いします。』
お母様を騙す必要がなくなった今、私を”彼女”として説明する意味もなくなったんだろうな。
鴨川さんとお見合いする気が無かったら、彼女だって言っても良かったと思う場面だし。
…彼女じゃないけど。
所詮数日間の(仮)をさせて頂いただけだけど。
「これ、俺がやるはずだった資料…」
『みんなで手分けしてやったんで納期は大丈夫ですよ。』
「でも、ほとんど桜庭がやってるじゃん。」
『そんなこと…』
「悪い、手伝うわ」
『いや…』
櫻井さんが途中の資料を手に取る。
私はとっさにその資料を奪い返す。
その勢いで、少し櫻井さんの手をはたくようになってしまった。
『大丈夫ですから!』
「って…」
『あ…ごめんなさ…』
「櫻井さん!…桜庭さんはきっと自分のペースでお仕事されたいんです。ここは変に当たらないほうが…」
「あ~…そうか…ごめんな?」
『いや、私が悪いんです、すみません…』
…え?
櫻井さんがお見合いしたくないからって彼女(仮)をして
いざお見合い相手が目の前に来たら、その存在がなかったことになって
櫻井さんがその鴨川さんといるために私たちが仕事をして
挙句の果てに二人の笑顔を見せつけられて
私が、悪いんだ…?
疲れているのか、考えがどんどんネガティブになる。
情けない…。
「櫻井さん、今日はもう帰りましょう?夜は父が用意してくれたイタリアンのお店を予約してあるので、行きましょうか。」
「え、ああ…わかりました。」
「桜庭さん、すみません、お先に失礼いたします。」
『いえいえ、なんかすみません…お疲れ様です。』
「…桜庭、お疲れ。無理はしないようにな?」
『はい、お疲れ様です。』
イタリアン、か。
やっぱいいとこのお嬢様だなありゃ。
…我慢していた涙が、二人が出ていった瞬間にあふれ出した。
『いやいや、なんの涙よ…』
よっぽど疲れてたのかな。
自分がみじめすぎて、悲しいを通り越してむなしくなってくる。
手鏡を眺めると、落ちた化粧でやつれた自分が泣き顔でさらに情けない。
櫻井さんにこんな顔見られなくて良かった…。
化粧落ちた顔は見られたけど。
…あ~そっか。
やっぱり私櫻井さんの事、好きなんだ。
社会人になって以来、まともに恋愛をしなかった私には、気づくのが遅かった。
ただのあこがれだと思っていたのに。
私は、私史上最悪の顔で櫻井さんへの感情に気づき、
その感情とむなしい感情を抱きながら残りの仕事を片付けた。
夜、いつも以上に寂しく感じた帰路。
その道中にも涙が流れていたことは、私自身でも気づいていなかった。
「おつかれ~」
定時を迎えて続々とみんな帰っていく。
私は他の社員の仕事を請け負ってしまったがために、午後に回そうと思っていた仕事に集中力が持たず、思いのほか時間がかかってしまっている。
「ランカ?手伝うよ!」
『サクラ…ありがとう、でも大丈夫だよ。あとちょっとだし。』
「いつも手伝って貰ってるし、こんな時くらい頼って?」
『ふふ、なんか頼もしいね笑
でも、今日相葉くんとデートでしょ?』
「え!?なんで知ってるの?!」
『もう忘れたの?朝自分で言ってたよ笑』
「あ~~私の馬鹿~」
『はい残念、知らなかったら手伝って貰ってたかも。笑』
「も~~…こうなったらランカ、絶対手伝わせてくんないもんね…」
『わかったらさっさと帰る!相葉くん待たせちゃうよ!』
「…ごめんね、また今度手伝うから!」
『は~い、ありがとね~』
最後にサクラの背中を見送って、もう一度パソコンに目を移す。
…さてと、せめて2時間で終わらせたい…。
いざ気合を入れてキーボードに手を置いた瞬間。
私しか残っていない部署に、誰かが入ってきた。
…あの二人だ。
「櫻井さんって、説明お上手なんですね、わかりやすいです!」
「こういうのだけは得意なんですよ。」
ほんと、絵になるんだよな~。
適当に髪をくくって腕まくりをして、落ちた化粧も直さず残業してる私ったら…
馬鹿みたいに比べて、また一人で萎える。
「…あれ、桜庭?まだ残ってんの?」
『ああ、はい。ちょっと終わらなくて。』
「あの…こちらは…」
鴨川さんが私を見る。
「えっと、こちらは桜庭ランカさん。俺の…」
『…。』
「部下、です。この部署での。」
「じゃあ、先輩ですね!桜庭さん、よろしくお願い致します!」
『あ、はい。よろしくお願いします。』
お母様を騙す必要がなくなった今、私を”彼女”として説明する意味もなくなったんだろうな。
鴨川さんとお見合いする気が無かったら、彼女だって言っても良かったと思う場面だし。
…彼女じゃないけど。
所詮数日間の(仮)をさせて頂いただけだけど。
「これ、俺がやるはずだった資料…」
『みんなで手分けしてやったんで納期は大丈夫ですよ。』
「でも、ほとんど桜庭がやってるじゃん。」
『そんなこと…』
「悪い、手伝うわ」
『いや…』
櫻井さんが途中の資料を手に取る。
私はとっさにその資料を奪い返す。
その勢いで、少し櫻井さんの手をはたくようになってしまった。
『大丈夫ですから!』
「って…」
『あ…ごめんなさ…』
「櫻井さん!…桜庭さんはきっと自分のペースでお仕事されたいんです。ここは変に当たらないほうが…」
「あ~…そうか…ごめんな?」
『いや、私が悪いんです、すみません…』
…え?
櫻井さんがお見合いしたくないからって彼女(仮)をして
いざお見合い相手が目の前に来たら、その存在がなかったことになって
櫻井さんがその鴨川さんといるために私たちが仕事をして
挙句の果てに二人の笑顔を見せつけられて
私が、悪いんだ…?
疲れているのか、考えがどんどんネガティブになる。
情けない…。
「櫻井さん、今日はもう帰りましょう?夜は父が用意してくれたイタリアンのお店を予約してあるので、行きましょうか。」
「え、ああ…わかりました。」
「桜庭さん、すみません、お先に失礼いたします。」
『いえいえ、なんかすみません…お疲れ様です。』
「…桜庭、お疲れ。無理はしないようにな?」
『はい、お疲れ様です。』
イタリアン、か。
やっぱいいとこのお嬢様だなありゃ。
…我慢していた涙が、二人が出ていった瞬間にあふれ出した。
『いやいや、なんの涙よ…』
よっぽど疲れてたのかな。
自分がみじめすぎて、悲しいを通り越してむなしくなってくる。
手鏡を眺めると、落ちた化粧でやつれた自分が泣き顔でさらに情けない。
櫻井さんにこんな顔見られなくて良かった…。
化粧落ちた顔は見られたけど。
…あ~そっか。
やっぱり私櫻井さんの事、好きなんだ。
社会人になって以来、まともに恋愛をしなかった私には、気づくのが遅かった。
ただのあこがれだと思っていたのに。
私は、私史上最悪の顔で櫻井さんへの感情に気づき、
その感情とむなしい感情を抱きながら残りの仕事を片付けた。
夜、いつも以上に寂しく感じた帰路。
その道中にも涙が流れていたことは、私自身でも気づいていなかった。