幽霊部員の同級生
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「櫻井くーん。」
「はーい。」
「今日の模試も満点、さすがね」
「ありがとうございます。」
高校受験のために通っていた塾。
そろそろこの塾で習うこともなくなってきたし、独学に切り替えようと思っていた。
「えっと、二宮くん。」
「…はい。」
「二宮くんは体験コースよね…?凄いわよ、98点!」
二宮…今この塾で無料体験している俺のふたつ年下の子。
俺が早生まれだから学年的にはひとつ下。
二宮は頭が良く、親に半強制でこの塾を体験させられているらしい。
「…あざっす。」
「どう?体験じゃなくて本当にここで勉強してみない?」
「あー、考えときます。」
多分、こいつ自身は塾とか通いたくないんだろう。
毎回講師の誘いをうまくかわしている。
そして、いつものように塾が終わり帰る途中、俺はある光景を見た。
「あれ二宮じゃん、なにお前塾とか通ってんの?」
「くそうけんだけど笑」
「俺はなんでもできま~すみたいな顔して必死こいて勉強してんのかよ」
二宮が、同じ制服の学生に絡まれていた。
俺はすぐに察した。
二宮の誰にも興味のなさそうな目が、きっとああいう連中には気に食わないんだろう。
…いわゆる、いじめ。
「お~い、無視ですかあ?」
「…いって…」
「頭しか発達してねえの?くっそよえー笑」
そいつらは相手にしない二宮に背中から蹴りを入れる。
俺はその場へ歩み寄る。
「なあ、それじゃ蹴ったうちに入んねえよー。」
「…あ?誰だお前」
「二宮と同じ塾の櫻井でーす。」
「何か用かよ、あ、お前もこいつムカつくんだろ?一緒にやろうぜ」
そういってそいつらは俺を二宮の前へ引っ張る。
二宮はどうでもよさそうに俺を見る。
「櫻井くーん、どんな蹴りか見せてくれよ笑」
「…おう、今見せるわ」
俺は思いっきり…
その男を蹴り上げた。
「いってえええ!!…なにすんだよお前!!」
「俺もお前に同じこと思ったんだよ。何してんのお前。」
「はあ?」
「二宮、俺の友達なんだよね、何してくれてんの?」
「…!?」
俺はそんなつもりなかったんだけど、昔よく馬鹿してたから
こういう時の目、こういうやつらにはよく効くんだよな。
「…てめえ…!」
『翔く~ん…って、なに?!大丈夫?!け、警察…』
「くっそ…おい行くぞ!」
幼馴染もとい妹的な存在のランカが走ってくると同時に
その学生たちは逃げていった。
『翔くん!大丈夫?!…と、そこの君も!』
「俺は大丈夫だよ。こいつも大丈夫。ランカさ、今日は先に帰っててくれる?」
『…え…うん、わかった。じゃあ…そこの君!』
ランカは二宮に絆創膏を渡す。
『手、すりむいてるよ。これ使って!』
「…ああ」
『ったく翔くんは~…』
ぶつぶつ言いながらランカは俺に手を振って帰っていく。
「二宮…大丈夫か?」
「…はい。」
「送るよ。」
「…初対面ですよね、友達って…」
ちょっと嫌そうに俺を見る二宮に、なぜか俺は嬉しくなった。
どうでもいいっていう無関心から、ちょっと感情を出してくれたことに。
「ははっ、そういやそうだよな笑
…友達、なんねえ?」
「…別に、なんでもいいですけど…」
「じゃ、俺らは友達っつーことで。」
そうして、俺たちは”友達”になった。
塾でも話すようになり、俺はニノと呼び、ニノは翔ちゃんと呼ぶようになった。
その間もニノに対するいじめはあったらしいが、別の中学だったからあまり介入せずいた。
ニノは、そんなこと見せもしないんだ。
そして、ニノは塾の体験期間ギリギリまでいてくれたが
その期間後は塾に来なくなった。
それから高校入学後、同じ高校に入学したことを知る。
俺が話しかけると、変わらずあの時のような空間が流れる。
これが、本当は人懐っこいニノが作り出す空間だ。
そして、ランカはきっと忘れているが
ニノはきっとランカを覚えている。
だって、見えてんだもん。
ズボンのポケットから少しのぞく、ランカがあげていた絆創膏。
ニノは案の定、そんな素振りを見せもしないけど。
こうして、ニノと俺とランカの3人でよく一緒にいるようになった。
俺は…二人のお兄さんっつーことで笑
ちょっと見守っていこうと思います。
…いざ。
END.
「はーい。」
「今日の模試も満点、さすがね」
「ありがとうございます。」
高校受験のために通っていた塾。
そろそろこの塾で習うこともなくなってきたし、独学に切り替えようと思っていた。
「えっと、二宮くん。」
「…はい。」
「二宮くんは体験コースよね…?凄いわよ、98点!」
二宮…今この塾で無料体験している俺のふたつ年下の子。
俺が早生まれだから学年的にはひとつ下。
二宮は頭が良く、親に半強制でこの塾を体験させられているらしい。
「…あざっす。」
「どう?体験じゃなくて本当にここで勉強してみない?」
「あー、考えときます。」
多分、こいつ自身は塾とか通いたくないんだろう。
毎回講師の誘いをうまくかわしている。
そして、いつものように塾が終わり帰る途中、俺はある光景を見た。
「あれ二宮じゃん、なにお前塾とか通ってんの?」
「くそうけんだけど笑」
「俺はなんでもできま~すみたいな顔して必死こいて勉強してんのかよ」
二宮が、同じ制服の学生に絡まれていた。
俺はすぐに察した。
二宮の誰にも興味のなさそうな目が、きっとああいう連中には気に食わないんだろう。
…いわゆる、いじめ。
「お~い、無視ですかあ?」
「…いって…」
「頭しか発達してねえの?くっそよえー笑」
そいつらは相手にしない二宮に背中から蹴りを入れる。
俺はその場へ歩み寄る。
「なあ、それじゃ蹴ったうちに入んねえよー。」
「…あ?誰だお前」
「二宮と同じ塾の櫻井でーす。」
「何か用かよ、あ、お前もこいつムカつくんだろ?一緒にやろうぜ」
そういってそいつらは俺を二宮の前へ引っ張る。
二宮はどうでもよさそうに俺を見る。
「櫻井くーん、どんな蹴りか見せてくれよ笑」
「…おう、今見せるわ」
俺は思いっきり…
その男を蹴り上げた。
「いってえええ!!…なにすんだよお前!!」
「俺もお前に同じこと思ったんだよ。何してんのお前。」
「はあ?」
「二宮、俺の友達なんだよね、何してくれてんの?」
「…!?」
俺はそんなつもりなかったんだけど、昔よく馬鹿してたから
こういう時の目、こういうやつらにはよく効くんだよな。
「…てめえ…!」
『翔く~ん…って、なに?!大丈夫?!け、警察…』
「くっそ…おい行くぞ!」
幼馴染もとい妹的な存在のランカが走ってくると同時に
その学生たちは逃げていった。
『翔くん!大丈夫?!…と、そこの君も!』
「俺は大丈夫だよ。こいつも大丈夫。ランカさ、今日は先に帰っててくれる?」
『…え…うん、わかった。じゃあ…そこの君!』
ランカは二宮に絆創膏を渡す。
『手、すりむいてるよ。これ使って!』
「…ああ」
『ったく翔くんは~…』
ぶつぶつ言いながらランカは俺に手を振って帰っていく。
「二宮…大丈夫か?」
「…はい。」
「送るよ。」
「…初対面ですよね、友達って…」
ちょっと嫌そうに俺を見る二宮に、なぜか俺は嬉しくなった。
どうでもいいっていう無関心から、ちょっと感情を出してくれたことに。
「ははっ、そういやそうだよな笑
…友達、なんねえ?」
「…別に、なんでもいいですけど…」
「じゃ、俺らは友達っつーことで。」
そうして、俺たちは”友達”になった。
塾でも話すようになり、俺はニノと呼び、ニノは翔ちゃんと呼ぶようになった。
その間もニノに対するいじめはあったらしいが、別の中学だったからあまり介入せずいた。
ニノは、そんなこと見せもしないんだ。
そして、ニノは塾の体験期間ギリギリまでいてくれたが
その期間後は塾に来なくなった。
それから高校入学後、同じ高校に入学したことを知る。
俺が話しかけると、変わらずあの時のような空間が流れる。
これが、本当は人懐っこいニノが作り出す空間だ。
そして、ランカはきっと忘れているが
ニノはきっとランカを覚えている。
だって、見えてんだもん。
ズボンのポケットから少しのぞく、ランカがあげていた絆創膏。
ニノは案の定、そんな素振りを見せもしないけど。
こうして、ニノと俺とランカの3人でよく一緒にいるようになった。
俺は…二人のお兄さんっつーことで笑
ちょっと見守っていこうと思います。
…いざ。
END.