炎天下に水を打て
主人公のお名前を変えたい方
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水に触れたかった。暑いから。とかじゃなくて。あの大会以降部活にも顔を出して(出せない、の方が正しいのか?)いないのであの手や足で水を弾くあの感覚が恋しくなった。部活に行くのは怖いくせに水には触れたいなんて我儘かななんて思ったけれど。私は親にコンビニに行くとか嘘をついて家から近い川に行った。
外は本当に暑くて、犬を散歩する人もいつもより少ない気がする。人目に付かなそうな橋の下の水辺にしゃがみこんで川に手を入れてみると冷たくって落ち着いた。捻挫をしている足は右だから左足なら大丈夫。水辺に腰を降ろしてサンダルを脱ぐ。小さい頃した水遊びを思い出すなぁなんて思いながら左足だけでぱしゃぱしゃと水を蹴る。気持ちいい。許されるのならこのまま川に飛び込んでしまいたいくらいだ。
ぼーっとしながら暫くの時間、左足だけを泳がせていた。自分だけしかこの場所にいないはずなのに、ぱしゃっと鋭く水を切るような音がする。その音すら心地いい。………………いや、こんな音が自然にするはずない。妙に思ってきょろきょろと辺りを見渡すと少し遠くに川の中に入って何かしてる人がいた。
「……!?か、海堂くん………!?!」
あのバンダナ姿は何日か前お話したあの海堂くんだった。何でこんなところにと思ったけど私がここにいるのもおかしいはずなので気づかれないよう退散しようとした。サンダルを掴んで立ち上がろうとした。が、川の苔だか草だかはわからないがぬめった石で足を滑らせてしまい、派手に転んだ。
ばっしゃーん。と大きな音を立てて尻もちを着くようにして転んだ。尻もちどころか勢い余って背中も全部びしょ濡れになってしまったけれど。
「いったぁ…………」
「……鳴坂?なんでお前がこんなところにいるんだ」
「え、えと……」
「……ほら、怪我はねぇか。」
海堂くんは片手を差し出して起こしてくれた。私そんな小さくもないし軽くもないはずなのに腕1本で起こせるだなんてすごい力だと思った。
「……その、私いま部活出られないんだ。怪我しちゃってて」
「それなら安静にしとかねぇと駄目だろ」
「わかってるよ。だから怪我してないほうの足だけしか水に入れてない」
「でも転んでたじゃねぇか。それでまた怪我したらどうすんだ」
ぐ、と言葉に詰まる。幸い打撲したり怪我をしたような痛みはないけど海堂くんの言う通りだった。
「………水に触れないの、寂しかったんだもん」
「………。」
俯くと髪の毛からぽたぽたと水が垂れる。海堂くんも黙っちゃうし自分の言ってることが子供の駄々みたいで恥ずかしかった。すると頭に柔らかい感触がして、海堂くんがタオルを貸してくれたみたい。
「とりあえず拭け。風邪ひくような季節でもねぇがびしょ濡れなのもよくねぇだろ」
「……うん」
これ本当に男の子のタオルなの?ってくらいふわふわしているしいい匂いがする。転んだ私を助けてくれたのも、ちょっと強い言い方をするのも。こうしてタオルを貸してくれるのも海堂くんの優しさなんだと思うと何だか、心の底のほうが温かくなる。最初は怖いかもとか色々思っていたけど実はすごい優しい人なんだな。
「海堂くんって優しいね」
「んなことねぇ」
「そんなことあるよ。心配してくれてタオルまで貸してくれて」
なのに私ったらわかってるよ。だなんて突っ撥ねた言い方して。ほんとに子供みたいだ。情けなくって涙が出る。顔を拭くふりをして涙を拭った。私が言ったありがとう。って言葉は涙声なのがバレないように堪えて言ったせいで自分しか聞こえないんじゃないかってくらい小さい声になってしまった。だけど海堂くんにはちゃんと聞こえたみたいで、気にすんな。と海堂くんは言った。泣いてるのバレてるかな。それを気づかないようにしてくれるのも、海堂くんの優しさ?
「タオル、洗って返すね」
「別にいい。対して汚れてもいねぇし」
「ううん。悪いよ。明日持ってくからさ」
夏でも時間がたてば日は落ちようとする。コンビニに行ったにしては帰りが遅すぎるし親に心配されそうだった。私は海堂くんにもう一度お礼を行ってから家に帰った。
外は本当に暑くて、犬を散歩する人もいつもより少ない気がする。人目に付かなそうな橋の下の水辺にしゃがみこんで川に手を入れてみると冷たくって落ち着いた。捻挫をしている足は右だから左足なら大丈夫。水辺に腰を降ろしてサンダルを脱ぐ。小さい頃した水遊びを思い出すなぁなんて思いながら左足だけでぱしゃぱしゃと水を蹴る。気持ちいい。許されるのならこのまま川に飛び込んでしまいたいくらいだ。
ぼーっとしながら暫くの時間、左足だけを泳がせていた。自分だけしかこの場所にいないはずなのに、ぱしゃっと鋭く水を切るような音がする。その音すら心地いい。………………いや、こんな音が自然にするはずない。妙に思ってきょろきょろと辺りを見渡すと少し遠くに川の中に入って何かしてる人がいた。
「……!?か、海堂くん………!?!」
あのバンダナ姿は何日か前お話したあの海堂くんだった。何でこんなところにと思ったけど私がここにいるのもおかしいはずなので気づかれないよう退散しようとした。サンダルを掴んで立ち上がろうとした。が、川の苔だか草だかはわからないがぬめった石で足を滑らせてしまい、派手に転んだ。
ばっしゃーん。と大きな音を立てて尻もちを着くようにして転んだ。尻もちどころか勢い余って背中も全部びしょ濡れになってしまったけれど。
「いったぁ…………」
「……鳴坂?なんでお前がこんなところにいるんだ」
「え、えと……」
「……ほら、怪我はねぇか。」
海堂くんは片手を差し出して起こしてくれた。私そんな小さくもないし軽くもないはずなのに腕1本で起こせるだなんてすごい力だと思った。
「……その、私いま部活出られないんだ。怪我しちゃってて」
「それなら安静にしとかねぇと駄目だろ」
「わかってるよ。だから怪我してないほうの足だけしか水に入れてない」
「でも転んでたじゃねぇか。それでまた怪我したらどうすんだ」
ぐ、と言葉に詰まる。幸い打撲したり怪我をしたような痛みはないけど海堂くんの言う通りだった。
「………水に触れないの、寂しかったんだもん」
「………。」
俯くと髪の毛からぽたぽたと水が垂れる。海堂くんも黙っちゃうし自分の言ってることが子供の駄々みたいで恥ずかしかった。すると頭に柔らかい感触がして、海堂くんがタオルを貸してくれたみたい。
「とりあえず拭け。風邪ひくような季節でもねぇがびしょ濡れなのもよくねぇだろ」
「……うん」
これ本当に男の子のタオルなの?ってくらいふわふわしているしいい匂いがする。転んだ私を助けてくれたのも、ちょっと強い言い方をするのも。こうしてタオルを貸してくれるのも海堂くんの優しさなんだと思うと何だか、心の底のほうが温かくなる。最初は怖いかもとか色々思っていたけど実はすごい優しい人なんだな。
「海堂くんって優しいね」
「んなことねぇ」
「そんなことあるよ。心配してくれてタオルまで貸してくれて」
なのに私ったらわかってるよ。だなんて突っ撥ねた言い方して。ほんとに子供みたいだ。情けなくって涙が出る。顔を拭くふりをして涙を拭った。私が言ったありがとう。って言葉は涙声なのがバレないように堪えて言ったせいで自分しか聞こえないんじゃないかってくらい小さい声になってしまった。だけど海堂くんにはちゃんと聞こえたみたいで、気にすんな。と海堂くんは言った。泣いてるのバレてるかな。それを気づかないようにしてくれるのも、海堂くんの優しさ?
「タオル、洗って返すね」
「別にいい。対して汚れてもいねぇし」
「ううん。悪いよ。明日持ってくからさ」
夏でも時間がたてば日は落ちようとする。コンビニに行ったにしては帰りが遅すぎるし親に心配されそうだった。私は海堂くんにもう一度お礼を行ってから家に帰った。