第一章 混沌普遍
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ベリアスが部屋から出なくなってもう7ヶ月ほど経つ。
ー悪魔には人間を陥れ、神へ復讐するという根底的存在意義があるー
ベリアスだって本当に自分の子供ではない。
前の悪魔の子を造ってからもう既に600年ほど経っていた。その間私は天使に勘付かれないように完璧に人間に近い悪魔の子を作るため試行錯誤していた。天使は神の指示に則り悪魔の子を殺す。だから悪魔の子を簡単に死なせないようにした。その結果、彼が生まれた。しかし彼の人間的な優しさは悪魔を復讐から遠ざけた。私も彼の優しさに当てられて、わざわざ彼に似た理想の父を目指した。結果、本当は人間の元に生まれる筈が悪魔達の寵愛を受け4歳の頃まで魔界で育ち運命に任せられて心優しい人間に拾われた。
そこから騒動を起こしたのは一年後のことであった。その時の私は、それをただの成長の一つでこれからもっと人間を苦しめてくれるとよく捉えていた。
しかし彼はそれにまだ小さかったが大いに苦しみ悪魔としての自分を人格や記憶もろとも封印した。私はその時驚いた。まさかそこまで人間としての倫理観、感情、心を持っていたとは思っていなかったからだ。元々天使であった私達は人間の心など知らなかったからだ。そのまま彼はその街を去り様々な所を転々と巡りやがて彼の心の支えとなる友と出会った。
そこから彼は人間としての幸せをたくさん得た。しかし幸せにもいつか終わりはある。私は彼らにそれを教えた。いつから言わなければならない事だ、私はその時完全なる善意でそれをした。今考えるなら私はとても悪いことをしたと思う。人間の気持ちがわからなくてもわざわざ彼らに直接見せるのは自分でもタチが悪すぎる。
反省はいくらでもできる。しかし許してもらうと反省は似ているが全く異なるものだ。許してもらうなどおごかましいことではあるが自分でも止められない。
ちょくちょく彼の部屋に行くが彼はこちらに顔を向けない。口も聞かないただただどこかを眺めている、手を伸ばしても拒絶の意を示す。父でもある自分もこれには流石にひどく傷つくがこれも自らの罰なのだろう。受け止めひどく悔い改めなくてはいけないのだ。神に懺悔するつもりは到底ないが、彼のために謝らなければいけないのだ。
時々自分も人間に少し近づいているのかと思う時がある。彼には沢山の物をもらった。私も少なからず何か返したいのだ。私はいつか彼が私を許すまで、いつまでも構い続けるさ。