『んーぅ……』

目を開かなくてもわかる。
頭が痛い。体が重たい。
昨日は久しぶりのお酒で調子こいて飲み過ぎたみたいだ。
今日は休みだしこのまま寝ようと寝返りを打つ。

『…………ん？』


寝返りを打とうと動かしたはずなのに身体がびくとも動かない
というか…動けない…？

二日酔いでガンガン頭が痛いが我慢してやっと目を開く私。


「よぉ。やっと起きたか」

『…………誰？』

ベットで一緒に横になっていて…
しかもお互い全裸。そして知らない男が私に抱きつてじっと見ていた。
これは…やってしまった気する…

「誰とは傷つくなぁ？昨日あんな事したのに」

ニヤニヤと笑う男を見て冷や汗が止まらない
昨日の記憶を辿っても仕事が終わって居酒屋に着いたくらいしか覚えていない。

『本当にすみません…本当に覚えが………』

「…………おいおい、まじで覚えてないのかよ」

動揺し始めた私を見て
今まで冗談で言っていたと思っていたらしい…
ごめんなさい。本当に誰なのかわからないんです…

「………尾形だ。」

『えと……キョーコです』

「知ってる。散々アピールしてたからなぁ」

『あ、アピール！？』

「……本当記憶ないんだな」

相当酒臭かったもんな…と呆れた顔で見る尾形さん。

申し訳ない気持ちでいっぱいだが…
2人きりでずっといる訳にはいかない解散しようかと思い部屋中に落ちてる自分の服を探し始める

「………帰るのか？」

『え？はい。さすがにそろそろ……』

布団で身体を隠し近くに落ちてる服に手を伸ばすと
その手を尾形さんに掴まれた。

帰るのかって…
尾形さんだってお酒で記憶のない女といつまでも一緒にいたくはないだろう…

「なぁ………俺にあんな事言っておいて記憶がないだなんて…随分ワガママなんじゃねーか？」

『あ、あんな事って…？』

掴まれたままじっと見てくる尾形さん…コワイ。
そして私はそんな怖い顔の尾形さんになんて言ったのだろうか…
あんな事…きっと失礼な事を言ってしまったんだろう。
もしそうなら土下座で許してくれる事を祈るしかない


「……お前が自力で思い出せ。じゃないと許さん」

『え、、えぇ？た、たぶん無理なので教えてください…！』

「……ヤダ」


尾形さんはプイと顔を反らし私に絶対教えてくれないみたいだ…
二日酔いで未だに動いてない頭をフル回転させ
必死に思い出そうと頑張るしかないらしい…

頑張れ私の記憶…！







『彼女を試すためにってめちゃくちゃかまってちゃんじゃないですかー』

「うるせぇ…」

『これでもかっていうくらい愛情注いだら…不安なくなるんじゃないですか？』

「……めんどくせぇ女は嫌いなんだよ。てかそんな女いらない」

『うわぁ…ワガママァ……』

「だから怒らない女がいいな」

『そんな女性いないですって…』

「あ？」

『でも、きっと尾形さんなら試すために最低な事もしそうですが、尾形さんが別れたいって思ったらなにも言わず姿を消そうなので…それだけでもわかってくれる人がいいですよねぇ…ま！尾形さんの事ちゃんと見てくれる人が現れるといいですね！』

「……お前わかってるじゃん」

『わかってないですよー初対面！』