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「跡部さん」
「なんだ、天月」
「これからどこ行くんですか?」
「生徒会の仕事が終わったからな、部活に行く」
「私、喋らないように努力しますね!」
「あぁ、期待しないでおく」
静かな廊下を歩き、彼はクラブへと向かう。
「ふぅ~!」
「なんでお前が疲れてんだ」
「だって、跡部さん人気あるから人混み出来ちゃって、見えないってわかっててもアレは嫌ですよ」
今は部室に跡部と天月の二人っきりだ。
部室に辿り着くまでの間、二人は部員達の熱い挨拶や、ファン達の熱すぎる声援など。
彼の人気は絶大のため、出来る人だかりの他のレギュラーメンバーとは比べ物にもならないのである。
「毎日こんな感じなんですか?」
「あぁ、そうだな」
ふーん、と気のない返事を返して天月は部室の窓から練習風景を見る。
「人数、多いんですね」
「あぁ・・・」
「跡部さん」
「なんだ」
「元気、ないですよ」
「もう部員達にも忍足が情報を流してるだろうからな」
「元気、出してください」
ね、といつの間にやら着替えた跡部に天月は微笑んだ。
その笑顔に、跡部も小さく笑った。
(誰のせいでこんなことになったと思ってんだか・・・)
そんな部室でのやりとりが行われている一方で、テニスコートでは、やはり跡部の言うとおり、忍足が騒いでいた。
「それでな、――」
意気揚々と話す忍足の話に、部員達は困惑の色を隠せなかった。
「それ、本当なのかよ・・・」
「信じられないっつーか」
「あの部長が・・・・・・」
「ほんまやって。なぁ、岳人」
「あぁ、ほんとだぜ!オレも目撃者だ」
忍足、向日に加えて宍戸、芥川までもが目撃したと口を揃えて言う。
忍足は、眼鏡をくいっとあげて笑みを崩さない。
「あ、鳳やん!日吉と樺地もおるな!!」
忍足は見つけた三人の元へスキップで向かう。
「三人に、ちょっと部室に行って来て欲しいんや」
「は?なんでですか?」
「お前ら三人が行って、跡部の様子を皆に伝えるんや。それで、部員全員が・・・いや、全校生徒がこのコトを信じるやろ」
「「「??」」」
三人が首を傾げたまま、忍足を見る。
忍足の目は、眼鏡が光に反射していてよく見えない。
「ほな、ちょっと今日の練習メニューを聞きに行ってもらおか」
忍足は、声を押し殺してずっと笑い続けていた。
コンコン、と丁寧にノックした鳳とその仲間達は、部室へと足を踏み入れ、跡部と向き合った。
「あ、部長。今日の練習メニューはなんですか?」
「あ、跡部さん。そんなことより今日の晩御飯のメニューはなんですか?」
鳳たちのノックがあるまで、天月と跡部はそれなりに普通の会話をしていた。
そのため、鳳と天月の言葉がピッタリと重なった。
跡部は、もちろん二人の会話が聞こえるわけもなく。
「・・・・お前、敬語で話すな。ややこしい。なんて言ったか理解できねぇじゃねぇか」
「(俺と・・・・・・・・誰?)いえ、しかしそういうわけには――」
「うるせぇ。いいから敬語は止めろ。いいな」
「は、はぁ・・・・」
鳳の顔を見て、跡部は満足そうに笑った。
「では・・・・・跡部。今日の練習メニューはなんだ?」
「てめぇ、日吉ィィィ!!俺様を呼び捨てとはいい度胸だなぁ、あぁん?」
今の今まで樺地と共に静かに黙っていた日吉。
跡部の話を聞いて、言いつけを守り話しかけたのにこの仕打ちである。
「は?いえ、さっき貴方が敬語は止めろと――」
「誰がてめぇに言うかよ。言ったのはコイツだ。ハモるんでな」
そう言って、跡部は鳳を指す。
その指に日吉はキョトンとする。
「(?)いえ、さっき『お前、敬語で話すな』と・・・」
「それはお前じゃねぇ」
「・・・・・・??」
「部長、俺・・・本当に敬語で話さなくてもいいんですか?」
「跡部さん、アタシ・・・敬語で話すんですか?」
「てめぇは敬語使え!!お前は敬語を使うなっ!これならハモらねぇだろ」
「ハモる・・・・?あ、あの・・・部長」
「アーン?」
「大丈夫、ですか?その、色々と・・・・・・・」
(そうかコイツらには聞こえねぇんだったな・・・・ちっ、俺様にしか声が被って聞こえねぇのは腹が立つな・・・)
「なんでもねぇ、鳳」
「な、なんでしょうか・・・」
「お前は今まで通りでいい」
「え、え!?」
「お前が敬語を使わなくて良い」
「え、アタシは敬語じゃなくていいんですか?!え、まじですか!!?普通に話しますよ?」
「おい、今までにないぐらいの勢いで顔がニヤけてるぞ」
「嬉しさが滲み出ちゃうんですよ」
「なんか腹立つな、お前」
「では、ゴホンッ・・・・・跡部、今日の晩御飯はなんだ?」
「てめええええええ!!!いちいち言い方が何か腹立つんだよっ!!さっきの日吉の台詞パクッてんじゃねぇよあーん!!!」
「敬語じゃなくていいって言ったのは跡部さんでしょ」
「うっせ!やっぱお前も敬語使え!!腹立つ!」
「もー、自分の言葉に責任もってくださいよ」
「お前がそれを言うか!」
「・・・・・あの、部長・・・どうか、しましたか?」
本日何度目だろうか。こんなに背筋が凍るような思いをしたのは。
俺は、今度こそ本当に終わったと確信した。
そして――
(・・・・転校しよう)
「あれ、跡部さん?跡部さーん!!私、敬語使ってますよー?」
「部長!?部長しっかりしてください!!」
「鳳、俺は忍足さんたち呼んでくる!行くぞ、樺地」
「ウス」
天月と後輩たちの声が遠くに聞こえる。
(止めろ・・・・・・・・せめて、忍足だけは・・・呼ぶな)
跡部は、切にそれだけを願った。
その後、暫く跡部は忍足の声にうなされ続けた。
「なんだ、天月」
「これからどこ行くんですか?」
「生徒会の仕事が終わったからな、部活に行く」
「私、喋らないように努力しますね!」
「あぁ、期待しないでおく」
静かな廊下を歩き、彼はクラブへと向かう。
「ふぅ~!」
「なんでお前が疲れてんだ」
「だって、跡部さん人気あるから人混み出来ちゃって、見えないってわかっててもアレは嫌ですよ」
今は部室に跡部と天月の二人っきりだ。
部室に辿り着くまでの間、二人は部員達の熱い挨拶や、ファン達の熱すぎる声援など。
彼の人気は絶大のため、出来る人だかりの他のレギュラーメンバーとは比べ物にもならないのである。
「毎日こんな感じなんですか?」
「あぁ、そうだな」
ふーん、と気のない返事を返して天月は部室の窓から練習風景を見る。
「人数、多いんですね」
「あぁ・・・」
「跡部さん」
「なんだ」
「元気、ないですよ」
「もう部員達にも忍足が情報を流してるだろうからな」
「元気、出してください」
ね、といつの間にやら着替えた跡部に天月は微笑んだ。
その笑顔に、跡部も小さく笑った。
(誰のせいでこんなことになったと思ってんだか・・・)
そんな部室でのやりとりが行われている一方で、テニスコートでは、やはり跡部の言うとおり、忍足が騒いでいた。
「それでな、――」
意気揚々と話す忍足の話に、部員達は困惑の色を隠せなかった。
「それ、本当なのかよ・・・」
「信じられないっつーか」
「あの部長が・・・・・・」
「ほんまやって。なぁ、岳人」
「あぁ、ほんとだぜ!オレも目撃者だ」
忍足、向日に加えて宍戸、芥川までもが目撃したと口を揃えて言う。
忍足は、眼鏡をくいっとあげて笑みを崩さない。
「あ、鳳やん!日吉と樺地もおるな!!」
忍足は見つけた三人の元へスキップで向かう。
「三人に、ちょっと部室に行って来て欲しいんや」
「は?なんでですか?」
「お前ら三人が行って、跡部の様子を皆に伝えるんや。それで、部員全員が・・・いや、全校生徒がこのコトを信じるやろ」
「「「??」」」
三人が首を傾げたまま、忍足を見る。
忍足の目は、眼鏡が光に反射していてよく見えない。
「ほな、ちょっと今日の練習メニューを聞きに行ってもらおか」
忍足は、声を押し殺してずっと笑い続けていた。
コンコン、と丁寧にノックした鳳とその仲間達は、部室へと足を踏み入れ、跡部と向き合った。
「あ、部長。今日の練習メニューはなんですか?」
「あ、跡部さん。そんなことより今日の晩御飯のメニューはなんですか?」
鳳たちのノックがあるまで、天月と跡部はそれなりに普通の会話をしていた。
そのため、鳳と天月の言葉がピッタリと重なった。
跡部は、もちろん二人の会話が聞こえるわけもなく。
「・・・・お前、敬語で話すな。ややこしい。なんて言ったか理解できねぇじゃねぇか」
「(俺と・・・・・・・・誰?)いえ、しかしそういうわけには――」
「うるせぇ。いいから敬語は止めろ。いいな」
「は、はぁ・・・・」
鳳の顔を見て、跡部は満足そうに笑った。
「では・・・・・跡部。今日の練習メニューはなんだ?」
「てめぇ、日吉ィィィ!!俺様を呼び捨てとはいい度胸だなぁ、あぁん?」
今の今まで樺地と共に静かに黙っていた日吉。
跡部の話を聞いて、言いつけを守り話しかけたのにこの仕打ちである。
「は?いえ、さっき貴方が敬語は止めろと――」
「誰がてめぇに言うかよ。言ったのはコイツだ。ハモるんでな」
そう言って、跡部は鳳を指す。
その指に日吉はキョトンとする。
「(?)いえ、さっき『お前、敬語で話すな』と・・・」
「それはお前じゃねぇ」
「・・・・・・??」
「部長、俺・・・本当に敬語で話さなくてもいいんですか?」
「跡部さん、アタシ・・・敬語で話すんですか?」
「てめぇは敬語使え!!お前は敬語を使うなっ!これならハモらねぇだろ」
「ハモる・・・・?あ、あの・・・部長」
「アーン?」
「大丈夫、ですか?その、色々と・・・・・・・」
(そうかコイツらには聞こえねぇんだったな・・・・ちっ、俺様にしか声が被って聞こえねぇのは腹が立つな・・・)
「なんでもねぇ、鳳」
「な、なんでしょうか・・・」
「お前は今まで通りでいい」
「え、え!?」
「お前が敬語を使わなくて良い」
「え、アタシは敬語じゃなくていいんですか?!え、まじですか!!?普通に話しますよ?」
「おい、今までにないぐらいの勢いで顔がニヤけてるぞ」
「嬉しさが滲み出ちゃうんですよ」
「なんか腹立つな、お前」
「では、ゴホンッ・・・・・跡部、今日の晩御飯はなんだ?」
「てめええええええ!!!いちいち言い方が何か腹立つんだよっ!!さっきの日吉の台詞パクッてんじゃねぇよあーん!!!」
「敬語じゃなくていいって言ったのは跡部さんでしょ」
「うっせ!やっぱお前も敬語使え!!腹立つ!」
「もー、自分の言葉に責任もってくださいよ」
「お前がそれを言うか!」
「・・・・・あの、部長・・・どうか、しましたか?」
本日何度目だろうか。こんなに背筋が凍るような思いをしたのは。
俺は、今度こそ本当に終わったと確信した。
そして――
(・・・・転校しよう)
「あれ、跡部さん?跡部さーん!!私、敬語使ってますよー?」
「部長!?部長しっかりしてください!!」
「鳳、俺は忍足さんたち呼んでくる!行くぞ、樺地」
「ウス」
天月と後輩たちの声が遠くに聞こえる。
(止めろ・・・・・・・・せめて、忍足だけは・・・呼ぶな)
跡部は、切にそれだけを願った。
その後、暫く跡部は忍足の声にうなされ続けた。