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スタンドバイミー

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放課後になり、跡部はカバンを取り生徒会室に向かう。

「跡部さん、クラブに行かないんですか?」
「俺様は生徒会長だからな。生徒会の仕事を終わらせたらクラブに行く」
「へ~、多忙な生活送ってますね」
「朝に言っただろうが。俺様は生徒会長兼テニス部部長だ」
「そーでしたっけ?あ、ここですか生徒会室」

「無視してんじゃねぇ」と言いながら、彼はフカフカの椅子に腰かけた。

「そういえば、私ずっとご飯食べてないんですけど?」
「当たり前だ。お前が普通に食ったらどうなると思ってんだ?」
「お腹が膨れます」
「周りから見たらご飯が消えるだろーが」
「へ~、そうなんですか」
「お前は、俺様にしか見えねぇんだからな。普通の奴にはそう見える」

きっぱり断言した跡部に、天月は興味なさそうに相槌をうってから、笑顔になった。

「じゃ、今なら何か食べてもいいんじゃないですか?ほら、誰もいない」
「アーン?てめぇ、買いに行く気かよ」
「まさか。見えないんじゃ買えませんよ」
「・・・・・・・で?」
「買ってきてください」
「この俺様がお前如きのために動くと思ってんのか?!」
「思いますとも!」

激しく脱力した跡部は、カバンから何かを取り出し、それを天月に投げた。

「これでも食って我慢しろ。家に帰ったら好きなもんを食わしてやる」
「まじですか!?やった!これ、アンパンじゃないですか。いつの間に買ったんですか?」
「カバンに入ってたんだよ」
「え、賞味期限切れ?」
「女子共が勝手に貢いでくんだよ」
「へー、いいじゃないですか。食費が浮きますね」
「金持ちはんなこと気にしねぇ。馬鹿にしてんのか」
「褒めてるのに・・・いただきまーす」

アンパンを頬張りながら、その辺の椅子に腰掛けた天月

(美味そうに食いやがって・・・・・)

跡部は、静かに微笑んだ。



「侑士―――――っ!!」

複数の足音が、止まり教室の扉が雑に開かれた。

「なんや、揃いも揃って・・・」
「あのねぇ、今日のアトベって様子変なんだけど、その変な様子っていうのが今学校中に出回ってるんだけど、その変っていう理由を忍足なら知ってるんじゃないかと思って、俺ら来たんだよ~」
「ジローも珍しく起きとるし・・・って、跡部がなんやて?」
「跡部が、変なんだよ」
「は?」
「突然叫んだり、独り言言ったり、無意味に名前呼んだり。とにかくいつものアイツじゃねぇんだって!」
「へー、そら初耳やったわ。そないにオモロイこと知らんかったとはな」
「忍足が知らねぇのか・・・」
「なんや、それやったら俺が跡部の様子見てくるわ」
「見てどうするんだよ」
「変なんやろ?これは是非とも拝んどかなアカンやろ」
「「・・・・・・・」」
「頼んだよ忍足~」
「任しときジロー」

無駄に爽やかな笑顔に、少し跡部を哀れに思った宍戸と向日だった。



生徒会室は、天月がアンパンを食べ終えてから静かな空気が流れていた。
そこへ、扉がノックされた。

「跡部、俺や。おるか?」
「あ、あぁ・・・ちょっと待て」

何故か跡部は急に焦りだした。

「おい天月、どこかに隠れろっ!」
「え、え?!なんで?」
「いいから急げっ!」

跡部の焦りにつられるように天月も焦りだす。

「う、うわわわっ!」

ドタッと大きな音を立てて、天月は椅子からこけた。

「ばかっ!」
「なんや?跡部、大丈夫か?」

ガチャリと音を立てて入ってきた忍足は、辺りを見回した。

「なんや、椅子が独りでに倒れたんか?」
「あ、あぁ・・・・・すごく驚いたんだ」
「お前がか?」

少し笑いを堪えて言った忍足に、跡部はげんなりとした。

(そうか、天月は忍足にはやっぱり見えないのか・・・)

「ていうか跡部さん。私別に見えないんだから隠れる必要なんてなかったんじゃ・・・」
「何か用か、忍足」
「あ、この人がオシタリさんですね!確かに眼鏡ですねー」
「跡部、岳人たちから聞いたで?今日変なんやって」

眉毛をぴくりと動かしながらも、跡部は平静を装って返答した。

「そうなのか。俺様を変人扱いしやがって・・・」
「いや、変人とはゆーてへんかったで」
「とにかく、俺様はいつも通りだ。文句あんのか、アーン?」
「いや、ないで?ただ、あいつらが様子見て来てくれって言うからちょっと様子見に来たっちゅーわけや」

な?とウインクする忍足を、ウザそうに跡部は空気を払い除けた。

「そーかよ。様子見たならお前クラブ行け。レギュラーから落としてやってもいいんだぜ?」
「変っちゅーか、機嫌悪いだけやん。ほな、部活行くわ。何時ごろお前は来るんや?」
「五時半までには行く。今日は試合形式をやるつもりだしな」
「そうか。ほな、待ってんで?」

忍足は扉を閉め、足音は段々と遠ざかっていった。

「忍足さんって、関西人ですか?」
「あぁ・・・・・・・・・疲れた」
「なんでですか?」
「アイツは要注意人物だからだ」
「ふーん、そんなに危ない人なんだ」
「あぁ、色んな意味で危ない」
「跡部さんも危ない人ですよね。色んな意味で」
「どういう意味だてめっ・・・・・!?」
「・・・どうかしたんですか、跡部さん?」

跡部は、天月の横を通り過ぎそっと扉に手をかけた。
そして、一気に扉を開ける。

「・・・・・・・・・・忍足・・・」
「あ、跡部・・・・・・」

跡部は、硬直した。

「お、俺・・・な、なんも聞いてへんから。なんも・・・・・・・・・・ほな、部活・・・行く、から・・・ブフッ」

噴出してから、忍足は硬直した跡部を放って廊下を走っていく。

「大変やで―――っ!跡部が、あの俺様気取りの跡部が独り言いいながら椅子の周りウロウロしてんで~!!跡部がとうとうおかしくなってしもたでーっ!!!大、大大ニュースやでー!」

走るというより、スキップで忍足は廊下を行く。
その際、きちんと通りすがりの生徒に跡部のことを言いながら。

(忍足・・・忍足なんて、ぶっコロス!!!)
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