紫州事変
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
真っ青な空の広がる昼下がり―――――
今日は休日。
私は秀麗の父親である紅邵可さんの家へやってきていた。
「こんにちは~」
壊れた門を潜り抜けて、いつでも泥棒が侵入できそうな戸を軽く叩いた。
すると、すぐに声が聞こえて邵可さんが扉を開けて出迎えてくれた。
「やぁ、いらっしゃい」
「すみません、お休みの所にお邪魔してしまって」
「そんなことはないよ。丁度、私も君と話したいと思っていたからね」
柔らかい物腰で微笑みながらそう言って、私を部屋へと案内してから、お茶を淹れてくると言って邵可さんは席を外した。
その間に、以前借りていた数冊の本を袋から取り出し、机の上に置いた。
邵可さんは、宮城で府庫の管理をされているため、町では手に入らないような書物をよく持ってきては私に読ませてくれる。
そこで、いつも沢山の本を貸していただいているお礼にと思い、桃をのせた甘いピザを焼いてきた。
点心などに使われている粉を応用して作ったが、我ながら出来栄えには結構満足した。
もちろん、秀麗と静蘭の分も考えて持ってきているのだが、彼らは今日もお仕事があるそうで今はこの家には邵可さんと私しかいない。
「お待たせ。あれ?もうこの間渡した本、全部読んじゃったの?」
「はい、大変勉強になりました。ありがとうございました。それで、あの…少しなんですが私の国の食べ物を作ってきました。よろしければ、後で皆さんで召し上がってください」
「いつもありがとう。君にはもらってばかりだね」
「いえ、いつも沢山の書物を読ませていただいて、こちらこそありがとうございます」
お互いに、向かい合って微笑む。
開いている窓から入ってくる風が心地よくて、自然の匂いがした。
「あ、そういえば…いつも府庫に来られる方がいらっしゃると、前に聞いたことがあったんですが、その方は今日邵可さんがいらっしゃらなくて大丈夫なんでしょうか?」
「そうだね、毎日来られていたからちょっと心配だけど、夕暮れ時に少し出仕するつもりだからその時に様子を見てくるよ」
「そうなんですね。じゃあ、私はもう失礼しますね。お忙しいところ、すみませんでした」
もうお昼はとっくに過ぎている。
夕暮れ時ということは、もうすぐだ。
邵可さんの家でのんびりとしていては迷惑だと、すぐさま席を立つと、彼は微笑みながら言った。
「良かったら、今日だけ府庫の整理を手伝ってくれないかな?なかなか終わらなくてね、できれば君に手伝ってもらえたらと思っていたんだ」
「え?でも私のような一般人は宮城に出入りすることは―――――」
「今日だけ臨時の侍憧ということで、お給金も払うから」
いえ、そんな、お給金は全然いいです!むしろ、それなら無償で働かせていただきます。いつもお世話になっているので、少しでもお返しできるならその方が―――――
「そう、じゃあ行こうか。あ、帰りは遅くなるから今日は家(うち)でご飯を食べて帰りなさい」
こうして、あっという間に宮城内へと足を踏み入れてしまった。
なんだか上手く言い包められた気がしてならないが、入ってしまったものは仕方がない。
なるべく目立たないように、邵可さんのお手伝いをさせてもらうことにしよう。
「ここが、府庫……」
まるで図書館だ、ちょっと狭い感じの。
「じゃあ、早速だけどそこに積み重ねてある書物を、あっちの棚に直してもらっていいかな?」
「はい!わかりました」
それなりに綺麗に整頓されていたため、暫くすればすぐに府庫の整理は終了した。
だが、ふと府庫の窓から外を眺めれば、すっかり夜になっていた。
彩雲国では、星がよくキラキラと輝いていて、月と星の明かりだけでも結構明るい。
「誰か、そこにいるのか?」
見知らぬ人の声が急に聞こえて振り返ると、そこには紫色の服を着た美人な人が立っていた。
(これは……男の人、かな)
「あの、何かご用でしょうか?」
私が訪ねると、一瞬彼はビクッとしたがすぐにずいっと顔を近付けてきた。
「そなたは、邵可ではないな。誰だ」
さっきよりも声が低くなったのを感じて、私は背筋を伸ばして答えた。
「私は「劉輝様?」」
名乗ろうとしたところに、すぐ後ろから邵可さんの声が聞こえてホッと胸を撫で下ろした。
それは、どうやら相手も同じだったようで邵可さんは少し笑ってから、とりあえずお茶にしましょうと机の方に向かったので、私と彼もそうする。
「あの……劉輝様?」
席についたところで、向かいに座る相手に話しかけると彼がじっとこちらを見ていたことに気付いた。
「もしかして、国王陛下…ですか?」
「……そうだ。で、そなたは何者だ?」
「あ、はい!先ほどは大変失礼致しました。お初にお目にかかります。本日のみ、臨時侍憧として紅邵可様より府庫の整理を手伝わせていただいておりました、天月ヒカルと申します」
椅子から立ち上がり片膝をつき、この世界での礼を取ると、彼はそんなに固くならなくてもよいと、柔らかく微笑んだ。
それを見て、ゆっくりと私が椅子に座ると、邵可さんが丁度お茶を運んできてくれた。
「じゃあ、いつも邵可さんがおっしゃられていた、いつも府庫に来られる方というのは主上だったのですね」
「あぁ、だが邵可…余は聞いていないぞ。ヒカルのような者とよく食事をしていたなど」
余も誘ってほしいのだ……
最後の声はとても小さかったけれど、その声を聞いて思わず私は微笑んでしまった。
「な!?何がおかしいのだ!余は真剣なのにっ!」
「す、すみません…つい、可愛くて……」
「か、可愛い!?」
「あ、邵可さん」
微笑んでいた私と陛下を優しく見守っていた邵可さんに、私は声をなるべく潜めて三人だけの秘密事のように言った。
「機会があれば、また府庫の整理を手伝わせていただいてもよろしいですか?その時は、何かお菓子を作ってきます」
私がそういうと、邵可さんはもちろんだよ、と答えてくれた。
「また…余と、会ってくれるのか?」
「主上がよろしければ」
「……ど、どうしてもというのなら、余は会ってやっても構わないぞ!」
ふん、と少し頬を染めてそう言った主上を見て、私も邵可さんも顔を見合わせてまた笑ってしまった。
「はい、どうしてもです」
「では、絶対だぞ。約束したからな!嘘をついたら余は怒るぞ」
「はい、畏まりました。絶対にお菓子は忘れません」
私がそういうと、主上は照れ臭そうに笑った。
それから、今日はもう遅いからということで陛下が部屋に戻られてから、私と邵可さんもゆっくりとした足取りで秀麗と静蘭の待つ家へと帰る。
「すまなかったね、無理やり君を連れてきてしまって」
「いえ、まさか主上にお会いできるとは思ってもみませんでしたが、とても楽しかったです。また、ぜひお手伝いさせてくださいね。主上にも、次に来るときはお菓子を持っていくと約束してしまいましたので」
「ありがとう、ヒカル」
そう言った邵可さんの笑顔は、どこか切なくて―――――
先ほどの主上は、すごく寂しそうだった。
「父様遅い!って、あら?どうしてヒカルも一緒にいるの?」
「さっきそこで会ってね、夕食を一緒に食べないかと私が誘ったんだ」
「ごめんなさい、秀麗。突然お邪魔して」
「ううん、ヒカルが来てくれるなんて大歓迎よっ!もうできるからちょっと待っててね」
邵可さんは、ニコニコと秀麗が走って行く姿を眺めていた。
『今日、君と府庫に行っていたことは娘には内緒にしておいてほしいんだ。娘は、官吏になることをずっと夢見ていたんだけどね、女人は官吏になれないから宮城には入れないんだ』
―――――だから、今日のことは私と君の秘密にしておいてくれないかな?
この時、私はいくつか疑問に思うことがあったが、それを問う前に邵可さんが家の中へ入ってしまったため、聞きそびれてしまった。
(ま、いいか)
この時、後にヒカルを知る者たちにとって、邵可の言っていた言葉にヒカルがきちんと自分のことを話さなかったことが驚くべき事態を引き起こすなど、誰も考えてなどいなかった。
そんなことを今は知るはずもない私は、餃子をぱくっと食べた。
「やっぱり私は、秀麗の作るご飯が好きだな~。すっごく美味しいよ」
「ヒカルってば、そんなこと言ったって何も出ないわよ」
「秀麗の料理は、本当に美味しいからね」
「旦那様、お茶をお注ぎいたしましょうか」
「あぁ、静蘭。ありがとう」
「そうだ!ヒカル、明日って楽虹天の仕事は朝からよね?」
「うん。もしかして、また秀麗来てくれるの?」
「残念でしたー。私は明日針仕事よ。でも、もし早く終わることができたら、お昼ぐらいに行けるかもしれないから。静蘭と食べに行ってもいいかしら?」
「もちろん!あ、でも値段交渉は料理長に言ってね。私じゃどうにもできないし」
「わかってるわよ」
「ですが、お嬢様……」
「任せて静蘭!こういうの、私が得意なの知ってるでしょ?」
「……それは、知っていますが」
「いいじゃないか、静蘭も行っておいで」
「旦那様まで……」
なぜだか、静蘭には負のオーラが漂っているように思えた。
そして、その矛先が何故か自分に向けられていることに驚きつつも、秀麗に「じゃあ明日絶対に行くわよっ、静蘭も一緒にね!」と言われ、静蘭に見られつつも私は秀麗に待ってるねと言ってしまった。
なぜだろう、あの紅家の親子には上手く言い包められてしまう。
今日は休日。
私は秀麗の父親である紅邵可さんの家へやってきていた。
「こんにちは~」
壊れた門を潜り抜けて、いつでも泥棒が侵入できそうな戸を軽く叩いた。
すると、すぐに声が聞こえて邵可さんが扉を開けて出迎えてくれた。
「やぁ、いらっしゃい」
「すみません、お休みの所にお邪魔してしまって」
「そんなことはないよ。丁度、私も君と話したいと思っていたからね」
柔らかい物腰で微笑みながらそう言って、私を部屋へと案内してから、お茶を淹れてくると言って邵可さんは席を外した。
その間に、以前借りていた数冊の本を袋から取り出し、机の上に置いた。
邵可さんは、宮城で府庫の管理をされているため、町では手に入らないような書物をよく持ってきては私に読ませてくれる。
そこで、いつも沢山の本を貸していただいているお礼にと思い、桃をのせた甘いピザを焼いてきた。
点心などに使われている粉を応用して作ったが、我ながら出来栄えには結構満足した。
もちろん、秀麗と静蘭の分も考えて持ってきているのだが、彼らは今日もお仕事があるそうで今はこの家には邵可さんと私しかいない。
「お待たせ。あれ?もうこの間渡した本、全部読んじゃったの?」
「はい、大変勉強になりました。ありがとうございました。それで、あの…少しなんですが私の国の食べ物を作ってきました。よろしければ、後で皆さんで召し上がってください」
「いつもありがとう。君にはもらってばかりだね」
「いえ、いつも沢山の書物を読ませていただいて、こちらこそありがとうございます」
お互いに、向かい合って微笑む。
開いている窓から入ってくる風が心地よくて、自然の匂いがした。
「あ、そういえば…いつも府庫に来られる方がいらっしゃると、前に聞いたことがあったんですが、その方は今日邵可さんがいらっしゃらなくて大丈夫なんでしょうか?」
「そうだね、毎日来られていたからちょっと心配だけど、夕暮れ時に少し出仕するつもりだからその時に様子を見てくるよ」
「そうなんですね。じゃあ、私はもう失礼しますね。お忙しいところ、すみませんでした」
もうお昼はとっくに過ぎている。
夕暮れ時ということは、もうすぐだ。
邵可さんの家でのんびりとしていては迷惑だと、すぐさま席を立つと、彼は微笑みながら言った。
「良かったら、今日だけ府庫の整理を手伝ってくれないかな?なかなか終わらなくてね、できれば君に手伝ってもらえたらと思っていたんだ」
「え?でも私のような一般人は宮城に出入りすることは―――――」
「今日だけ臨時の侍憧ということで、お給金も払うから」
いえ、そんな、お給金は全然いいです!むしろ、それなら無償で働かせていただきます。いつもお世話になっているので、少しでもお返しできるならその方が―――――
「そう、じゃあ行こうか。あ、帰りは遅くなるから今日は家(うち)でご飯を食べて帰りなさい」
こうして、あっという間に宮城内へと足を踏み入れてしまった。
なんだか上手く言い包められた気がしてならないが、入ってしまったものは仕方がない。
なるべく目立たないように、邵可さんのお手伝いをさせてもらうことにしよう。
「ここが、府庫……」
まるで図書館だ、ちょっと狭い感じの。
「じゃあ、早速だけどそこに積み重ねてある書物を、あっちの棚に直してもらっていいかな?」
「はい!わかりました」
それなりに綺麗に整頓されていたため、暫くすればすぐに府庫の整理は終了した。
だが、ふと府庫の窓から外を眺めれば、すっかり夜になっていた。
彩雲国では、星がよくキラキラと輝いていて、月と星の明かりだけでも結構明るい。
「誰か、そこにいるのか?」
見知らぬ人の声が急に聞こえて振り返ると、そこには紫色の服を着た美人な人が立っていた。
(これは……男の人、かな)
「あの、何かご用でしょうか?」
私が訪ねると、一瞬彼はビクッとしたがすぐにずいっと顔を近付けてきた。
「そなたは、邵可ではないな。誰だ」
さっきよりも声が低くなったのを感じて、私は背筋を伸ばして答えた。
「私は「劉輝様?」」
名乗ろうとしたところに、すぐ後ろから邵可さんの声が聞こえてホッと胸を撫で下ろした。
それは、どうやら相手も同じだったようで邵可さんは少し笑ってから、とりあえずお茶にしましょうと机の方に向かったので、私と彼もそうする。
「あの……劉輝様?」
席についたところで、向かいに座る相手に話しかけると彼がじっとこちらを見ていたことに気付いた。
「もしかして、国王陛下…ですか?」
「……そうだ。で、そなたは何者だ?」
「あ、はい!先ほどは大変失礼致しました。お初にお目にかかります。本日のみ、臨時侍憧として紅邵可様より府庫の整理を手伝わせていただいておりました、天月ヒカルと申します」
椅子から立ち上がり片膝をつき、この世界での礼を取ると、彼はそんなに固くならなくてもよいと、柔らかく微笑んだ。
それを見て、ゆっくりと私が椅子に座ると、邵可さんが丁度お茶を運んできてくれた。
「じゃあ、いつも邵可さんがおっしゃられていた、いつも府庫に来られる方というのは主上だったのですね」
「あぁ、だが邵可…余は聞いていないぞ。ヒカルのような者とよく食事をしていたなど」
余も誘ってほしいのだ……
最後の声はとても小さかったけれど、その声を聞いて思わず私は微笑んでしまった。
「な!?何がおかしいのだ!余は真剣なのにっ!」
「す、すみません…つい、可愛くて……」
「か、可愛い!?」
「あ、邵可さん」
微笑んでいた私と陛下を優しく見守っていた邵可さんに、私は声をなるべく潜めて三人だけの秘密事のように言った。
「機会があれば、また府庫の整理を手伝わせていただいてもよろしいですか?その時は、何かお菓子を作ってきます」
私がそういうと、邵可さんはもちろんだよ、と答えてくれた。
「また…余と、会ってくれるのか?」
「主上がよろしければ」
「……ど、どうしてもというのなら、余は会ってやっても構わないぞ!」
ふん、と少し頬を染めてそう言った主上を見て、私も邵可さんも顔を見合わせてまた笑ってしまった。
「はい、どうしてもです」
「では、絶対だぞ。約束したからな!嘘をついたら余は怒るぞ」
「はい、畏まりました。絶対にお菓子は忘れません」
私がそういうと、主上は照れ臭そうに笑った。
それから、今日はもう遅いからということで陛下が部屋に戻られてから、私と邵可さんもゆっくりとした足取りで秀麗と静蘭の待つ家へと帰る。
「すまなかったね、無理やり君を連れてきてしまって」
「いえ、まさか主上にお会いできるとは思ってもみませんでしたが、とても楽しかったです。また、ぜひお手伝いさせてくださいね。主上にも、次に来るときはお菓子を持っていくと約束してしまいましたので」
「ありがとう、ヒカル」
そう言った邵可さんの笑顔は、どこか切なくて―――――
先ほどの主上は、すごく寂しそうだった。
「父様遅い!って、あら?どうしてヒカルも一緒にいるの?」
「さっきそこで会ってね、夕食を一緒に食べないかと私が誘ったんだ」
「ごめんなさい、秀麗。突然お邪魔して」
「ううん、ヒカルが来てくれるなんて大歓迎よっ!もうできるからちょっと待っててね」
邵可さんは、ニコニコと秀麗が走って行く姿を眺めていた。
『今日、君と府庫に行っていたことは娘には内緒にしておいてほしいんだ。娘は、官吏になることをずっと夢見ていたんだけどね、女人は官吏になれないから宮城には入れないんだ』
―――――だから、今日のことは私と君の秘密にしておいてくれないかな?
この時、私はいくつか疑問に思うことがあったが、それを問う前に邵可さんが家の中へ入ってしまったため、聞きそびれてしまった。
(ま、いいか)
この時、後にヒカルを知る者たちにとって、邵可の言っていた言葉にヒカルがきちんと自分のことを話さなかったことが驚くべき事態を引き起こすなど、誰も考えてなどいなかった。
そんなことを今は知るはずもない私は、餃子をぱくっと食べた。
「やっぱり私は、秀麗の作るご飯が好きだな~。すっごく美味しいよ」
「ヒカルってば、そんなこと言ったって何も出ないわよ」
「秀麗の料理は、本当に美味しいからね」
「旦那様、お茶をお注ぎいたしましょうか」
「あぁ、静蘭。ありがとう」
「そうだ!ヒカル、明日って楽虹天の仕事は朝からよね?」
「うん。もしかして、また秀麗来てくれるの?」
「残念でしたー。私は明日針仕事よ。でも、もし早く終わることができたら、お昼ぐらいに行けるかもしれないから。静蘭と食べに行ってもいいかしら?」
「もちろん!あ、でも値段交渉は料理長に言ってね。私じゃどうにもできないし」
「わかってるわよ」
「ですが、お嬢様……」
「任せて静蘭!こういうの、私が得意なの知ってるでしょ?」
「……それは、知っていますが」
「いいじゃないか、静蘭も行っておいで」
「旦那様まで……」
なぜだか、静蘭には負のオーラが漂っているように思えた。
そして、その矛先が何故か自分に向けられていることに驚きつつも、秀麗に「じゃあ明日絶対に行くわよっ、静蘭も一緒にね!」と言われ、静蘭に見られつつも私は秀麗に待ってるねと言ってしまった。
なぜだろう、あの紅家の親子には上手く言い包められてしまう。