フェアリィ・ダンス編
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「————で、お前は結局どうするんだ?」
後日、アスナと私を無事救出したキリトに呼び出されて、私たちはカフェでお茶をしながら、話をした。
最早、このゲームの世界ともおさらばする予定の私は、アスナに言ったように、全てをキリトに話した。
すると、冒頭の言葉である。
「もちろん、帰るよ」
そう答えると、彼は少し難しい顔をした。
「なに? もしかして、寂しいとか思ってくれてるの?」
からかうようにそう言うと、彼はコクリと縦に頷いた。
「え、なに? ちょっと、冗談だったのに真面目な顔して頷かないでよ……」
「いや、寂しいだろ。お前との付き合いだって、短いわけじゃないんだ」
しょんぼりとした様子で語られて、何だか私が彼を苛めたみたいだ。
「それに、お前そっちに戻ったら、もうココには来れないんだろ?」
キリトのいうココとは、もちろんこのALOの世界のことだ。
「そりゃあ、ね……」
「ま、嘘だけど」
ケロリと、彼は両手を広げてそう言った。
「は? 何が嘘!? ちょっと、からかったの!?」
からかわれたとわかり、私が怒ると彼は嬉しそうに笑った。
「だってお前、俺でからかおうとしただろ? 仕返しだよ、仕返し」
「性格わるっ」
「お互い様だろ?」
互いに睨み合う。
しかし、先に折れたのは私だった。
「まぁ、いいや。キリトと話せるのも、これで最後かもしれないし。仕方ないから、この勝負は譲っておく」
「なんでそんな偉そうなんだよ……」
ツッコミを入れるキリトのことは、無視しておいた。
そもそも、半日で帰ることが出来ると思っていたが、思ったよりも茅場が準備に手間取ったせいで、今日まで期限が延びた。
だから、茅場が私の目の前に現れたら、それは私が帰れるようになったということになる。
彼が来るのを待っている間に、タイミング良くキリトが現れてしまった為、全て話すことになったけれど、現れなければ言わずに去ろうと思っていた。
(思えば、最初の出会いからしてタイミングが良いな、キリトは……)
そんなことを思っていると、キリトがぼそりと呟いた。
「……最後、か」
やっぱり、少ししょんぼりした風に言うキリト。
本心はどうかわからないけれど、少しぐらいは寂しがっていてくれるなら、ちょっと嬉しい。
私だって、それなりにキリトと過ごした期間は長い方だ。
シリカ達のように、キリトを好きになる事はなかったけれど、やっぱり過ごした分ぐらいには、離れがたいと思うところもあるのだ。
「皆と一生会えなくなるのは、寂しいけどね」
でも、帰らないわけには行かないでしょう、やっぱり。
そう告げると、彼も頷いてくれた。
「あぁ、それはそう思うよ」
「うん、ありがとう。皆に挨拶してる暇はないから、代わりによろしくね」
「嫌な役を俺に押し付けるなよ」
「しょうがないじゃん。アスナも今日はここに来れないんでしょ? 本当なら、キリトとも挨拶できなかったんだし」
そういうと、彼は口を噤んだ。
アスナと私を救出した次の日、彼はここへ来なかった。
おそらく、現実でアスナとイチャイチャしていたのだと、私は思っている。
そんなこと知れたら、リズベットとシリカはきっと渋い顔をするだろうから、憶測でもそんなことは言わないけれど。
「そういえば、シリカとリズベットは元気?」
「あぁ、お前もここにいるって聞いて、近いうちに始めるって言ってたんだけどな」
だから、ALO始めた時にお前いなくなってるって知ったら、怒るだろうな。
そう言われて、苦笑した。
「それは、悪い事しちゃうなぁ」
「あいつ等がいたら、お前きっと帰るなって引き止められてたんじゃないか?」
「あはは、そうかも」
でも、キリトは私を引き止めないでいてくれた。
助かる。
「…………なぁ、一個聞いてもいいか?」
机に置かれた紅茶をようやく飲み始めると、キリトに問われて頷く。
「茅場は、今ベンヌの姿をしてるんだよな」
さっき説明した通りだと言うと、彼は渋い顔をした。
「さっきも言ったけど、現実にいた茅場じゃないよ。あれは、電子データで茅場が作った茅場だから」
「お前、二人でALOにいたんだよな」
「そりゃ、元の世界に戻る手伝いしてもらってたし」
私がそういうと、キリトはますます眉を顰めた。
「SAOの時も言ったけど、お前、そういう大事なことは俺にも言えって、呼べって言っただろ」
唐突に優しい事を言われて、私は目を丸くした。
てっきり、茅場のことで彼は憤慨している部分がまだあると思っていたからだ。
だけど、帰ってきた言葉は、私の予想とは違っていた。
「……茅場のこと、ベンヌのこと、もっと悪く言うのかと思った」
「そりゃ、色々と言いたいことはあるけどな。ていうか、お前話そらすなよ」
「そらしてないよ。気になってたから、仲良く出来るならそうしてほしいと思って言っただけ」
「…………」
「それと、キリトに言えなかったこと、悪いと思ってる。ごめん。でも、心配かけたくなかったから」
正直にそういうと、彼は私の頬を軽く引っ張って、ジトーっとした目で見ながら言った。
「心配ぐらいさせろ」
すぐに彼は手を離して、席に座りなおす。
ムスッとした顔でいる彼は、何だか可愛らしい。
「なにそれ、笑える」
プッと噴出すように笑った私を見て、彼はさらに怒る。
それでも、私は笑いを止められなかった。
(こんな思いをするのも、もう最後。楽しいと思うのも、これで最後)
後日、アスナと私を無事救出したキリトに呼び出されて、私たちはカフェでお茶をしながら、話をした。
最早、このゲームの世界ともおさらばする予定の私は、アスナに言ったように、全てをキリトに話した。
すると、冒頭の言葉である。
「もちろん、帰るよ」
そう答えると、彼は少し難しい顔をした。
「なに? もしかして、寂しいとか思ってくれてるの?」
からかうようにそう言うと、彼はコクリと縦に頷いた。
「え、なに? ちょっと、冗談だったのに真面目な顔して頷かないでよ……」
「いや、寂しいだろ。お前との付き合いだって、短いわけじゃないんだ」
しょんぼりとした様子で語られて、何だか私が彼を苛めたみたいだ。
「それに、お前そっちに戻ったら、もうココには来れないんだろ?」
キリトのいうココとは、もちろんこのALOの世界のことだ。
「そりゃあ、ね……」
「ま、嘘だけど」
ケロリと、彼は両手を広げてそう言った。
「は? 何が嘘!? ちょっと、からかったの!?」
からかわれたとわかり、私が怒ると彼は嬉しそうに笑った。
「だってお前、俺でからかおうとしただろ? 仕返しだよ、仕返し」
「性格わるっ」
「お互い様だろ?」
互いに睨み合う。
しかし、先に折れたのは私だった。
「まぁ、いいや。キリトと話せるのも、これで最後かもしれないし。仕方ないから、この勝負は譲っておく」
「なんでそんな偉そうなんだよ……」
ツッコミを入れるキリトのことは、無視しておいた。
そもそも、半日で帰ることが出来ると思っていたが、思ったよりも茅場が準備に手間取ったせいで、今日まで期限が延びた。
だから、茅場が私の目の前に現れたら、それは私が帰れるようになったということになる。
彼が来るのを待っている間に、タイミング良くキリトが現れてしまった為、全て話すことになったけれど、現れなければ言わずに去ろうと思っていた。
(思えば、最初の出会いからしてタイミングが良いな、キリトは……)
そんなことを思っていると、キリトがぼそりと呟いた。
「……最後、か」
やっぱり、少ししょんぼりした風に言うキリト。
本心はどうかわからないけれど、少しぐらいは寂しがっていてくれるなら、ちょっと嬉しい。
私だって、それなりにキリトと過ごした期間は長い方だ。
シリカ達のように、キリトを好きになる事はなかったけれど、やっぱり過ごした分ぐらいには、離れがたいと思うところもあるのだ。
「皆と一生会えなくなるのは、寂しいけどね」
でも、帰らないわけには行かないでしょう、やっぱり。
そう告げると、彼も頷いてくれた。
「あぁ、それはそう思うよ」
「うん、ありがとう。皆に挨拶してる暇はないから、代わりによろしくね」
「嫌な役を俺に押し付けるなよ」
「しょうがないじゃん。アスナも今日はここに来れないんでしょ? 本当なら、キリトとも挨拶できなかったんだし」
そういうと、彼は口を噤んだ。
アスナと私を救出した次の日、彼はここへ来なかった。
おそらく、現実でアスナとイチャイチャしていたのだと、私は思っている。
そんなこと知れたら、リズベットとシリカはきっと渋い顔をするだろうから、憶測でもそんなことは言わないけれど。
「そういえば、シリカとリズベットは元気?」
「あぁ、お前もここにいるって聞いて、近いうちに始めるって言ってたんだけどな」
だから、ALO始めた時にお前いなくなってるって知ったら、怒るだろうな。
そう言われて、苦笑した。
「それは、悪い事しちゃうなぁ」
「あいつ等がいたら、お前きっと帰るなって引き止められてたんじゃないか?」
「あはは、そうかも」
でも、キリトは私を引き止めないでいてくれた。
助かる。
「…………なぁ、一個聞いてもいいか?」
机に置かれた紅茶をようやく飲み始めると、キリトに問われて頷く。
「茅場は、今ベンヌの姿をしてるんだよな」
さっき説明した通りだと言うと、彼は渋い顔をした。
「さっきも言ったけど、現実にいた茅場じゃないよ。あれは、電子データで茅場が作った茅場だから」
「お前、二人でALOにいたんだよな」
「そりゃ、元の世界に戻る手伝いしてもらってたし」
私がそういうと、キリトはますます眉を顰めた。
「SAOの時も言ったけど、お前、そういう大事なことは俺にも言えって、呼べって言っただろ」
唐突に優しい事を言われて、私は目を丸くした。
てっきり、茅場のことで彼は憤慨している部分がまだあると思っていたからだ。
だけど、帰ってきた言葉は、私の予想とは違っていた。
「……茅場のこと、ベンヌのこと、もっと悪く言うのかと思った」
「そりゃ、色々と言いたいことはあるけどな。ていうか、お前話そらすなよ」
「そらしてないよ。気になってたから、仲良く出来るならそうしてほしいと思って言っただけ」
「…………」
「それと、キリトに言えなかったこと、悪いと思ってる。ごめん。でも、心配かけたくなかったから」
正直にそういうと、彼は私の頬を軽く引っ張って、ジトーっとした目で見ながら言った。
「心配ぐらいさせろ」
すぐに彼は手を離して、席に座りなおす。
ムスッとした顔でいる彼は、何だか可愛らしい。
「なにそれ、笑える」
プッと噴出すように笑った私を見て、彼はさらに怒る。
それでも、私は笑いを止められなかった。
(こんな思いをするのも、もう最後。楽しいと思うのも、これで最後)