フェアリィ・ダンス編
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キリト達と、同種族のサラマンダー達を置いて次の街へ辿り着いた私と茅場は、カフェで休憩していた。
「次の街は、意外と遠かったね」
「あぁ、さすがに疲れたな」
空を全速力で飛んでいても、とてもじゃないが一回の飛行では辿り着けなかった。
それに、飛ぶ行為はとても楽しいのだが、難しい。
背骨から架空の骨が生えているような感覚のためか、使ったことのない骨を使うせいか、肩から腰にかけて物凄いだるさが襲ってくる。
「あ〜、しんどい」
「今日はこの上の宿を取ったんだろう? 少し休んで来たらどうだ?」
「うーん、でも武器屋とか見ておきたい」
「……すっかり慣れたものだな」
「誰のせいよ、誰の」
慣れたくて慣れたわけではないという意味を込めて、茅場を睨みつけると、彼は苦笑して肩をすくめた。
(なにそのリアクションの仕方!? アメリカ人!?)
そうツッコミを入れたくなるのを我慢して、私は目の前のジュースを一気に飲み干した。
その後、茅場は欠伸をしながら一旦ログアウトしたため、一人で市場をうろつくことにした。
ここの街は、どうやら市場が賑やかなところらしく、色々なアイテムを売っていた。
掘り出し物があるかもしれないと、意気揚々と私は市場へと足を踏み入れた。
「あ」
「…………あ……しまった」
「しまったってなんだよ」
あ、と私に気が付いたのは、目の前から歩いてくる二人のうちの一人。
ツンツン頭になってしまったキリトである。
「あれから無事だったんだね」
「おかげさまでな」
「そうツンツンしないでよ。そんなの頭だけで十分だよ……ブフッ!」
どうにも面白くて吹き出してしまった私を見て、キリトはじとっとした目で私を睨んだ。
「ごめんごめん。とにかく、無事で良かったよ。リーファも」
「スーは、大丈夫だったの? あの場で、自分の種族を見捨てるようなことしてたけど……」
「さぁ? 大丈夫なんじゃない?」
「リーファ、気にするな。こいつはバカだからな」
「それより、二人とも進むの早くない? 何か急いでるの?」
「まぁな。アス……世界樹に、助けたい人がいるんだ」
(アスナか……)
相変わらずわかりやすすぎる奴だと思いながら、私は世界樹の方へ視線を向ける。
(あそこには、私のデータもあるはず……アスナもいるって、どういうこと?)
「そういうお前は、一人で何してたんだ? ていうかお前、今までどこで何してたんだよ? 現実でいくら探しても、お前のこと見つからなくて、エギルなんかは俺がお前を見つけるまで、ずっと探してくれてたんだぞ」
「あー、ごめんね」
「さらっと流すな」
「それより、リーファも世界樹に行くの?」
「うん、まぁね。キリト君に恩があるから、道がわからないっていうし、連れて行ってあげることにしたの」
「さすがリーファ。面倒見がいいね」
「そんなことないわよっ!」
なぜ赤くなる。
(まさか…………)
キリトを押しのけて、リーファの手を掴んで路地裏まで走ってきて、私は彼女の耳元へこっそりと尋ねた。
すると、驚いていた彼女の顔から耳までが一瞬で真っ赤に染まった。
(ぎ、犠牲者がまた一人増えてる……!)
私は、もじもじと「ち、違うわよっ!」と頑張って言っているリーファが、何だかとても可愛らしく見えてしまった。
「も、もしかして!? スーもなの!?」
「それはない」
即答で断言して、リーファの背中を押す。
「いやー、まさかリーファがそうだとは思わなくてさ。あんまり長居すると、キリトが不審がるから戻ってあげよう?」
「スーは、キリトと仲良いみたいだったけど、本当に好きじゃないの?」
「男友達みたいなもん? キリトは、私のこと途中まで男だと思ってたぐらいだし」
男装してたんだから、当然なんだけど……。
(そういえば、あの変身マントが消えちゃってるんだよね。ショック…………)
「おーい、二人とも何コソコソしてるんだよー!」
キリトの姿が見えて、スーが「ほらね? 寂しかったんだよ、多分」と言うと、リーファは口元を抑えて笑った。
「ほんとだ」
三人で立ち話をするのも何なので、適当なカフェを見つけて私たちはそこの奥の席を陣取った。
少し窪みがある部屋の隅のその席は、周りから盗聴スキルなどを使われない限りは、言葉を聞きとられることのないような、安全な場所だった。
「————で?」
「で? って、聞きたいのは俺だよ」
「キリトの助けたい人は、なんで世界樹にいるってわかったの?」
「知り合い……エギルから、写真を見せてもらったからだ。世界樹の天辺に、いるんだ…………」
ずーんと、沈み込んだような表情で言う彼に、心配そうな目を向けるリーファ。
(ありゃりゃ、何かショック受けてる……)
「で? スーは、なんでこんなところまで一人旅してるんだ? ていうかお前、俺とか誰かに現実に帰ってたなら連絡しろよ」
矛先が、再び私に向いてきた。
「…………」
ここで、私は言葉が出なかった。
なんて彼に言えばいいか、わからなかったからだ。
『いや〜、私帰れてないからさ』
『いやいや、帰ったとしても、私キリト達のいる現実には帰れないんだよね』
どう答えても、その質問に答えてしまうと私のことを全部話さなければならなくなると思った。
そう思うと、キリトにもリーファにも言いたくない。
知られたくないと、漠然と思った。
「仲間はいるんだけどね。今、ログアウト中なだけで」
「これからどこに行くんだ?」
「キリト達と同じ、世界樹」
「なんでお前が!?」
驚くキリトに対して、なるべく冷静に「探し物」とだけ答える。
「まぁいいか……目的地が一緒なら、一緒に行こう」
するりと手を差し伸べるキリトを見て、思わず手を取ってしまった私。
(しまった! つい……)
茅場がこの場にいないことにホッとしつつ、この後一体どうしようかと、私はこの後頭を悩ませることになる。
「とりあえず、何か飲もうぜ。せっかくカフェにいるんだし。俺コーラ」
「カフェなのに、ファミレスにあるような飲み物頼まないでよね。私、カプチーノ」
「それもファミレスにあるだろ」
「二人とも! 喧嘩しないでよね! あ、私アイスティーで」
ギャーギャーと子どもみたいに言い合いながら、とりあえず先のことは後で考えることにする。
(カプチーノの絵柄、どんなのかな〜?)
こうして私は、カプチーノの絵柄のことで頭がいっぱいになり、その後のことを考えていなかったせいで、危険な目に合うことになる。
だが、この時の私は、そんなこと一ミリも気にしていなかったのだった。
「あ、葉っぱ柄!」
「次の街は、意外と遠かったね」
「あぁ、さすがに疲れたな」
空を全速力で飛んでいても、とてもじゃないが一回の飛行では辿り着けなかった。
それに、飛ぶ行為はとても楽しいのだが、難しい。
背骨から架空の骨が生えているような感覚のためか、使ったことのない骨を使うせいか、肩から腰にかけて物凄いだるさが襲ってくる。
「あ〜、しんどい」
「今日はこの上の宿を取ったんだろう? 少し休んで来たらどうだ?」
「うーん、でも武器屋とか見ておきたい」
「……すっかり慣れたものだな」
「誰のせいよ、誰の」
慣れたくて慣れたわけではないという意味を込めて、茅場を睨みつけると、彼は苦笑して肩をすくめた。
(なにそのリアクションの仕方!? アメリカ人!?)
そうツッコミを入れたくなるのを我慢して、私は目の前のジュースを一気に飲み干した。
その後、茅場は欠伸をしながら一旦ログアウトしたため、一人で市場をうろつくことにした。
ここの街は、どうやら市場が賑やかなところらしく、色々なアイテムを売っていた。
掘り出し物があるかもしれないと、意気揚々と私は市場へと足を踏み入れた。
「あ」
「…………あ……しまった」
「しまったってなんだよ」
あ、と私に気が付いたのは、目の前から歩いてくる二人のうちの一人。
ツンツン頭になってしまったキリトである。
「あれから無事だったんだね」
「おかげさまでな」
「そうツンツンしないでよ。そんなの頭だけで十分だよ……ブフッ!」
どうにも面白くて吹き出してしまった私を見て、キリトはじとっとした目で私を睨んだ。
「ごめんごめん。とにかく、無事で良かったよ。リーファも」
「スーは、大丈夫だったの? あの場で、自分の種族を見捨てるようなことしてたけど……」
「さぁ? 大丈夫なんじゃない?」
「リーファ、気にするな。こいつはバカだからな」
「それより、二人とも進むの早くない? 何か急いでるの?」
「まぁな。アス……世界樹に、助けたい人がいるんだ」
(アスナか……)
相変わらずわかりやすすぎる奴だと思いながら、私は世界樹の方へ視線を向ける。
(あそこには、私のデータもあるはず……アスナもいるって、どういうこと?)
「そういうお前は、一人で何してたんだ? ていうかお前、今までどこで何してたんだよ? 現実でいくら探しても、お前のこと見つからなくて、エギルなんかは俺がお前を見つけるまで、ずっと探してくれてたんだぞ」
「あー、ごめんね」
「さらっと流すな」
「それより、リーファも世界樹に行くの?」
「うん、まぁね。キリト君に恩があるから、道がわからないっていうし、連れて行ってあげることにしたの」
「さすがリーファ。面倒見がいいね」
「そんなことないわよっ!」
なぜ赤くなる。
(まさか…………)
キリトを押しのけて、リーファの手を掴んで路地裏まで走ってきて、私は彼女の耳元へこっそりと尋ねた。
すると、驚いていた彼女の顔から耳までが一瞬で真っ赤に染まった。
(ぎ、犠牲者がまた一人増えてる……!)
私は、もじもじと「ち、違うわよっ!」と頑張って言っているリーファが、何だかとても可愛らしく見えてしまった。
「も、もしかして!? スーもなの!?」
「それはない」
即答で断言して、リーファの背中を押す。
「いやー、まさかリーファがそうだとは思わなくてさ。あんまり長居すると、キリトが不審がるから戻ってあげよう?」
「スーは、キリトと仲良いみたいだったけど、本当に好きじゃないの?」
「男友達みたいなもん? キリトは、私のこと途中まで男だと思ってたぐらいだし」
男装してたんだから、当然なんだけど……。
(そういえば、あの変身マントが消えちゃってるんだよね。ショック…………)
「おーい、二人とも何コソコソしてるんだよー!」
キリトの姿が見えて、スーが「ほらね? 寂しかったんだよ、多分」と言うと、リーファは口元を抑えて笑った。
「ほんとだ」
三人で立ち話をするのも何なので、適当なカフェを見つけて私たちはそこの奥の席を陣取った。
少し窪みがある部屋の隅のその席は、周りから盗聴スキルなどを使われない限りは、言葉を聞きとられることのないような、安全な場所だった。
「————で?」
「で? って、聞きたいのは俺だよ」
「キリトの助けたい人は、なんで世界樹にいるってわかったの?」
「知り合い……エギルから、写真を見せてもらったからだ。世界樹の天辺に、いるんだ…………」
ずーんと、沈み込んだような表情で言う彼に、心配そうな目を向けるリーファ。
(ありゃりゃ、何かショック受けてる……)
「で? スーは、なんでこんなところまで一人旅してるんだ? ていうかお前、俺とか誰かに現実に帰ってたなら連絡しろよ」
矛先が、再び私に向いてきた。
「…………」
ここで、私は言葉が出なかった。
なんて彼に言えばいいか、わからなかったからだ。
『いや〜、私帰れてないからさ』
『いやいや、帰ったとしても、私キリト達のいる現実には帰れないんだよね』
どう答えても、その質問に答えてしまうと私のことを全部話さなければならなくなると思った。
そう思うと、キリトにもリーファにも言いたくない。
知られたくないと、漠然と思った。
「仲間はいるんだけどね。今、ログアウト中なだけで」
「これからどこに行くんだ?」
「キリト達と同じ、世界樹」
「なんでお前が!?」
驚くキリトに対して、なるべく冷静に「探し物」とだけ答える。
「まぁいいか……目的地が一緒なら、一緒に行こう」
するりと手を差し伸べるキリトを見て、思わず手を取ってしまった私。
(しまった! つい……)
茅場がこの場にいないことにホッとしつつ、この後一体どうしようかと、私はこの後頭を悩ませることになる。
「とりあえず、何か飲もうぜ。せっかくカフェにいるんだし。俺コーラ」
「カフェなのに、ファミレスにあるような飲み物頼まないでよね。私、カプチーノ」
「それもファミレスにあるだろ」
「二人とも! 喧嘩しないでよね! あ、私アイスティーで」
ギャーギャーと子どもみたいに言い合いながら、とりあえず先のことは後で考えることにする。
(カプチーノの絵柄、どんなのかな〜?)
こうして私は、カプチーノの絵柄のことで頭がいっぱいになり、その後のことを考えていなかったせいで、危険な目に合うことになる。
だが、この時の私は、そんなこと一ミリも気にしていなかったのだった。
「あ、葉っぱ柄!」