フェアリィ・ダンス編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それにしても、茅場が長槍とか違和感あるね」
「スーがレイピアを使っている方が、私的には違和感だらけなんだが?」
「金銭的に、仕方なくこれにした」
「そうだろうな。あそこの店では、一番安くて攻撃力が高かったのは、レイピアだった」
「次の街でも、武器屋覗いていい? レイピアより使いやすそうな武器あったら、そっちにするつもりだからさ」
「なら、モンスター退治もやっておこう。金は、あるに越したことはないからな」
「もちろん」
森の中で、丁度良い切株に二人して腰かけながら、のんびりとそんな会話をする。
私たちは、世界樹を目指してシルフ領を出てから数時間、ずっと空を飛んで進んできた。
しかし、滞空時間の限界が来てしまったこともあり、一度休憩してから徒歩で次の街へ向かうこととなっていた。
その休憩中も、特に彼と話していて気まずく思うこともなく、それが何だか不思議だった。
「……それより、何でベンヌなわけ? このゲームって、顔とか体型とかって、ランダムで生成されるんじゃないの?」
「これでも、一応ゲームシステムだからな。私の力を用いて、この容姿で侵入させてもらった。その方が、スーだけ見分けられて、他の人には気付かれない姿になれるだろう?」
ベンヌ、彼はSAOのゲーム内で茅場によって作られたシステムであり、そしてキリトと私によっていなくなってしまった存在だ。
彼は、消えるときに茅場、キリト、そして私以外から自分が存在していた記憶全てを抹消している。
だから、私たち以外には決して彼が茅場、ヒースクリフであることなどわからないし、ましてやベンヌという人を知る人などはいない。
「頭が良いのか悪いのか、微妙なところね」
「システムに向かってそんな口を聞くのは、精々お前ぐらいだ」
「そりゃどーも」
浮遊城アインクラッドを攻略して、まだ24時間経っていないせいか、彼とゲームが終わる直前まで話していたせいか。
彼が死んでしまっていて、今私が話しているのが茅場でないということを、つい忘れてしまう。
実は生きていて、今私の目の前にいるんじゃないだろうか。
それとも、彼はまたどこかから高みの見物をしているんじゃないだろうか。
このゲームすら、実は偽物で……私はまだ、あのゲームをクリアできていないのではないか。
そんなことすら、考えてしまいそうになる。
「システム、か…………」
「いまだに、私のことが信じられないようだな」
「そりゃそうでしょ? ついさっきまで、私がラスボスだー! みたいな会話をして戦ってたばかりなんだし……」
「そうだったな」
クスクスと笑いながら、茅場は答えた。
その笑い方は、ベンヌそっくりだった。
「茅場って、そんな笑い方してたっけ?」
「どうかしたか?」
「いや、なんか……ベンヌに似てるなと思っただけ」
「…………そうか」
「そういえば、ベンヌを作ったのは茅場だもんね。似てて当然か」
「…………そうだろうな」
彼の返事が、どこか濁されたような気がした。
だが、彼を見ても茅場はいつもと変わらない表情をしていた。
「それよりさ、疑問だったんだけど……」
「なんだ?」
「私って、皆と違ってナーヴギア? だっけ? そういう、このゲームを起動するための装置とかつけた覚えがないんだけど、なんでゲームに参加できてるの?」
「そのことか。簡単なことだ。私が開発していた特殊な麻酔効果のある紫外線のような光を、ランダムに送ったメールの中に一つだけ忍ばせた。メールを開いたら、数秒でその光が起動して、光を浴びた脳をそのまま支配できるという代物だ」
「信じられない物を発明してたんだ。それ、実用化されれば人間操り放題じゃないの?」
「そうだったかもな。だが、これは研究者の誰にも教えていない、私が独自開発していた代物だ」
「世界制覇でも出来そうなものね。で、見事にそれが成功して私がここにいるってこと?」
「そうなるな。信じるのか?」
「それ信じないなら、今まで起きたことも、今こうしてここにいることも、全部夢ってことになるわね」
そういって、私は笑う。
「……長すぎる夢じゃん?」
信じられないのは確か。
そんな光が開発されているのなら、現実ではそれを欲しがる人たちが大勢いるだろうことは、未成年の私にもわかる。
この人は、私が思っている以上に色々と頭が良い人なのかもしれない。
「とにかく、支配したその脳をデータ化して、こちらのゲームに入れるようプログラムを施していたのだが、そのデータがこのALOに奪われたことはほぼ確かだな。SAOのデータごと取られている」
「あの眩しい光によって、私の脳は洗脳されてるんだね」
「ある意味、夢と言っても過言ではないのかもしれないな」
「それはそれで、複雑だよ」
色々と————。
そういって、私は立ち上がる。
「そろそろ次の街に向けて動こう。もうちょっとで、また空も飛べるようになりそうだし。その間にちゃちゃっとモンスターも退治して、お金儲けしないと」
「あぁ」
すまない。
小さく、そう聞こえた気がした。
「スーがレイピアを使っている方が、私的には違和感だらけなんだが?」
「金銭的に、仕方なくこれにした」
「そうだろうな。あそこの店では、一番安くて攻撃力が高かったのは、レイピアだった」
「次の街でも、武器屋覗いていい? レイピアより使いやすそうな武器あったら、そっちにするつもりだからさ」
「なら、モンスター退治もやっておこう。金は、あるに越したことはないからな」
「もちろん」
森の中で、丁度良い切株に二人して腰かけながら、のんびりとそんな会話をする。
私たちは、世界樹を目指してシルフ領を出てから数時間、ずっと空を飛んで進んできた。
しかし、滞空時間の限界が来てしまったこともあり、一度休憩してから徒歩で次の街へ向かうこととなっていた。
その休憩中も、特に彼と話していて気まずく思うこともなく、それが何だか不思議だった。
「……それより、何でベンヌなわけ? このゲームって、顔とか体型とかって、ランダムで生成されるんじゃないの?」
「これでも、一応ゲームシステムだからな。私の力を用いて、この容姿で侵入させてもらった。その方が、スーだけ見分けられて、他の人には気付かれない姿になれるだろう?」
ベンヌ、彼はSAOのゲーム内で茅場によって作られたシステムであり、そしてキリトと私によっていなくなってしまった存在だ。
彼は、消えるときに茅場、キリト、そして私以外から自分が存在していた記憶全てを抹消している。
だから、私たち以外には決して彼が茅場、ヒースクリフであることなどわからないし、ましてやベンヌという人を知る人などはいない。
「頭が良いのか悪いのか、微妙なところね」
「システムに向かってそんな口を聞くのは、精々お前ぐらいだ」
「そりゃどーも」
浮遊城アインクラッドを攻略して、まだ24時間経っていないせいか、彼とゲームが終わる直前まで話していたせいか。
彼が死んでしまっていて、今私が話しているのが茅場でないということを、つい忘れてしまう。
実は生きていて、今私の目の前にいるんじゃないだろうか。
それとも、彼はまたどこかから高みの見物をしているんじゃないだろうか。
このゲームすら、実は偽物で……私はまだ、あのゲームをクリアできていないのではないか。
そんなことすら、考えてしまいそうになる。
「システム、か…………」
「いまだに、私のことが信じられないようだな」
「そりゃそうでしょ? ついさっきまで、私がラスボスだー! みたいな会話をして戦ってたばかりなんだし……」
「そうだったな」
クスクスと笑いながら、茅場は答えた。
その笑い方は、ベンヌそっくりだった。
「茅場って、そんな笑い方してたっけ?」
「どうかしたか?」
「いや、なんか……ベンヌに似てるなと思っただけ」
「…………そうか」
「そういえば、ベンヌを作ったのは茅場だもんね。似てて当然か」
「…………そうだろうな」
彼の返事が、どこか濁されたような気がした。
だが、彼を見ても茅場はいつもと変わらない表情をしていた。
「それよりさ、疑問だったんだけど……」
「なんだ?」
「私って、皆と違ってナーヴギア? だっけ? そういう、このゲームを起動するための装置とかつけた覚えがないんだけど、なんでゲームに参加できてるの?」
「そのことか。簡単なことだ。私が開発していた特殊な麻酔効果のある紫外線のような光を、ランダムに送ったメールの中に一つだけ忍ばせた。メールを開いたら、数秒でその光が起動して、光を浴びた脳をそのまま支配できるという代物だ」
「信じられない物を発明してたんだ。それ、実用化されれば人間操り放題じゃないの?」
「そうだったかもな。だが、これは研究者の誰にも教えていない、私が独自開発していた代物だ」
「世界制覇でも出来そうなものね。で、見事にそれが成功して私がここにいるってこと?」
「そうなるな。信じるのか?」
「それ信じないなら、今まで起きたことも、今こうしてここにいることも、全部夢ってことになるわね」
そういって、私は笑う。
「……長すぎる夢じゃん?」
信じられないのは確か。
そんな光が開発されているのなら、現実ではそれを欲しがる人たちが大勢いるだろうことは、未成年の私にもわかる。
この人は、私が思っている以上に色々と頭が良い人なのかもしれない。
「とにかく、支配したその脳をデータ化して、こちらのゲームに入れるようプログラムを施していたのだが、そのデータがこのALOに奪われたことはほぼ確かだな。SAOのデータごと取られている」
「あの眩しい光によって、私の脳は洗脳されてるんだね」
「ある意味、夢と言っても過言ではないのかもしれないな」
「それはそれで、複雑だよ」
色々と————。
そういって、私は立ち上がる。
「そろそろ次の街に向けて動こう。もうちょっとで、また空も飛べるようになりそうだし。その間にちゃちゃっとモンスターも退治して、お金儲けしないと」
「あぁ」
すまない。
小さく、そう聞こえた気がした。