フェアリィ・ダンス編
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SAOの世界は、ヒースクリフを倒したことで終わった。
案外呆気なく終わってしまった世界で、最後を見届けた私とヒースクリフは、ひとまず別れを告げて光に包まれた。
そして、目を開くとそこは見たことのない歪んだ空間だった。
「どこ、ここ………………?」
辺りには、グニャグニャと歪んだ光景しかなく、地面もない状態だ。
どうやって浮かんでいるのか、私はフワフワと宙を漂っている。
すると、突然空から声が聞こえてきた。
『妖精の世界へようこそ。まずは、貴方の種族を決めましょう』
「は? ていうか、ここどこ?」
『ここは、アルヴヘイム・オンラインのゲームの世界です。さぁ、種族を決めましょう』
なんとしても種族を決めて欲しい空の声は、それしか言ってくれない。
「とにかく、選んでみますか…………じゃあ、なんか強そうなサラマンダーで」
ずらずらと出てくる数多の種族。
例として出されている姿や色から、なんとなく目についた種族を選んだ。
『サラマンダー、炎の種族ですね。容姿は、ゲームスタート時にランダムで生成されます』
「はいはい」
空の声が、私の言葉に返事をしてくれているわけではないけれど、適当に返答を返して、とにかくゲームが始まるのを待った。
そして、気が付くとどこかの街に転送されていた。
賑やかで、活気あふれる赤の街。
赤いレンガが多く立ち並ぶ、まさに炎の種族が住む街のようだった。
プレイヤーも、それなりに多くいるようで、何だか騒がしい。
「ていうかなに……? 私、まだゲームから解放されないわけ? ヒースクリフの陰謀?!」
『いや、違うな』
突然、近くから見知った声が聞こえて、背後に振り向くとそこには怪しげなフードを被った男が立っていた。
「…………だれ?」
「久しぶり、でもないな」
フードを取った彼の姿を見て、私は驚いた。
「え? ゲームオーバーになったんじゃ…………ないの?」
そこに立っていたのは、ベンヌだった。
「あぁ、ベンヌの姿をしてはいるが、彼ではないぞ」
「あー、ヒースクリフか。死んでなかったんだね」
「いや、死んでいる」
「どういうこと?」
私にもわかるように説明してほしいと言うと、彼は簡潔に話してくれた。
「私は死んでいる。ゲーム内に残ったデータから、お前のサポートをするためにやってきた」
「サポートいらないから、現実に帰りたいんだけど」
「それが、できないようなんだ。どうも、このゲーム内にスーのデータが取り込まれてしまっているようで、現実に返したくても出来ない状況にある」
「だから、サポート?」
「そうだ。公に私の名を明かすことも、立場を知られることもできないので、あくまでも内密にではあるがな」
「とりあえず、そのこのゲーム内にある私のデータを取ってくれば、現実に帰れるんだ?」
「その通りだ」
思わず、深いため息がでた。
「またデスゲームとかは言わないよね?」
「もちろんだ」
「でも、私はログアウトできないわけでしょ?」
「その通りだ」
「ログアウトボタンも、今調べたところないわけで……これは、どういうこと?」
「わからん」
サポートしてくれるとは言ったが、どうやら万能に何でも知っているわけではないようだった。
「とりあえず、死ななければ問題ない。SAOの時と同様の心づもりで挑んでくれ」
「なにそれ!? まだ続くわけこのふざけたゲームは!?」
私の嘆きも空しく、彼はただ黙って頷いた。
「で? 今回のゲームって、どうやってそのデータを探せばいいの?」
「それがわからん。どうやら、私もプレイヤーとして認識されているようだ。なんの情報も得ることが出来ない状態だ。地道に探していくしかないな」
「そりゃまた、途方もない話ね」
そんなことを話していると、ベンヌの姿をした茅場が欠伸をした。
「なに? データなのに、眠くなったりするの?」
「長時間の稼働には、システムの負荷がかかって起動しなくなる恐れがあるのでな。人間らしいシステムで休息を取るべき時の信号として、この体のシステムに組み込んである」
「手の込んだ、面倒くさいことをしたってことね」
「そういうわけで、私は一旦消える。データを転送したといっても、何故かスーのデータは全て消去されている。とにかく、次に私が来るまでの間は、とりあえずスキルを覚えることを優先していってくれ」
そういって、私の返事を待つことなく茅場は姿を消した。
「怒涛ね…………」
メニュー画面を出してステータスを見ると、スキルも装備も何もかもが初期設定値となっていた。
(そっか……SAOの時の始まりが、異常だっただけ……か)
本来、ゲームの最初はこういうものだろう。
私は、とりあえず初期装備のままで町からフィールドへと飛び出した。
しばらく、町の付近で雑魚の敵と戦っていると、このゲームシステムを把握できてきた。
今回のゲームでは、レベルの概念がない。
SAOと同じようにスキルが存在していて、レベルを上げるのではなく、敵を倒して溜まったものでスキルを覚えて強くなっていく感覚だ。
「一旦戻って、装備新しくできるものは新調して、もっと奥のフィールドまで行ってみるか」
同じ場所でずっと戦っているのは、効率として良くない。
これは、シリカを含め前のゲームの時に皆が言っていたことだ。
「どんな世界にいたって、死ぬまで勉強しなきゃいけないっていうのは、変わらないのね〜。学んでるわー、私」
ぼんやり独り言を言いながら、一旦町に戻った。
それから、新しい武器を買うことにして、一番安くて攻撃力のある武器を買った。
それは、レイピアだった。
アスナが使っているのを見たことはあったが、使ったことのない武器だった。
「しまった……斬り攻撃じゃなくて、これだと突き攻撃になるのかな?」
よくわからない。
とにかく、戦闘してみればわかるだろうと、私は回復薬を買い込んでからフィールドへと再び向かった。
そして、何度か敵を倒してわかった。
別に、レイピアであっても、斬り攻撃をしても問題がないということに。
多少は攻撃力が落ちたり、扱いにくかったりするのかもしれないが、違和感はなかった。
「よし、次行くか」
ガンガン一人で狩りを続けて数時間。
辺りはどっぷり夜になっていた。
敵の種類も、朝や昼とは違った種類をいくつか見かけた。
「もう、慣れたかな……」
剣を軽く振って、鞘に納める。
腰に収まってしまうほど、細くて小さい剣が何だか心許なかった。
その時だった、ガサッと草をかき分ける音が聞こえて、慌てて柄に手をかける。
(モンスター!?)
しかし、現れたのは同じように剣を持ったプレイヤーのようだった。
「なんだ、プレイヤーか……」
「あなた、サラマンダー?」
「種族のこと? うん、そうだけど?」
「…………あなた、他の種族を見かけても襲わないの?」
訳の分からないことを聞かれた。
このゲームでも、プレイヤー同士の戦いはあまり見られないものだと思っていた。
「サラマンダーっていう種族は、そういう奴等なの?」
「あぁ、新入りなんだ?」
「まー、そんなとこ。あなたの種族は?」
「シルフよ」
「シルフだけが、そんな羽が生えてるの?」
彼女の背中に生える緑のキラキラとした羽を指差すと、彼女は目を丸くして私を見た。
「……本当に、初心者なのね」
「あの町の人たち、人は良さそうなんだけど何も教えてくれなくて……良かったら、色々と教えてくれない?」
手を合わせて頭を下げると、彼女が小さく笑った。
「貴女がサラマンダーなんて、信じられないわね」
彼女の言った意味がわからず、首を傾げていると、彼女は片手を差し出した。
「私、リーファ! よろしく!」
「私はスー。こちらこそ、よろしく!」
お互いに笑い合って、手を握った。
案外呆気なく終わってしまった世界で、最後を見届けた私とヒースクリフは、ひとまず別れを告げて光に包まれた。
そして、目を開くとそこは見たことのない歪んだ空間だった。
「どこ、ここ………………?」
辺りには、グニャグニャと歪んだ光景しかなく、地面もない状態だ。
どうやって浮かんでいるのか、私はフワフワと宙を漂っている。
すると、突然空から声が聞こえてきた。
『妖精の世界へようこそ。まずは、貴方の種族を決めましょう』
「は? ていうか、ここどこ?」
『ここは、アルヴヘイム・オンラインのゲームの世界です。さぁ、種族を決めましょう』
なんとしても種族を決めて欲しい空の声は、それしか言ってくれない。
「とにかく、選んでみますか…………じゃあ、なんか強そうなサラマンダーで」
ずらずらと出てくる数多の種族。
例として出されている姿や色から、なんとなく目についた種族を選んだ。
『サラマンダー、炎の種族ですね。容姿は、ゲームスタート時にランダムで生成されます』
「はいはい」
空の声が、私の言葉に返事をしてくれているわけではないけれど、適当に返答を返して、とにかくゲームが始まるのを待った。
そして、気が付くとどこかの街に転送されていた。
賑やかで、活気あふれる赤の街。
赤いレンガが多く立ち並ぶ、まさに炎の種族が住む街のようだった。
プレイヤーも、それなりに多くいるようで、何だか騒がしい。
「ていうかなに……? 私、まだゲームから解放されないわけ? ヒースクリフの陰謀?!」
『いや、違うな』
突然、近くから見知った声が聞こえて、背後に振り向くとそこには怪しげなフードを被った男が立っていた。
「…………だれ?」
「久しぶり、でもないな」
フードを取った彼の姿を見て、私は驚いた。
「え? ゲームオーバーになったんじゃ…………ないの?」
そこに立っていたのは、ベンヌだった。
「あぁ、ベンヌの姿をしてはいるが、彼ではないぞ」
「あー、ヒースクリフか。死んでなかったんだね」
「いや、死んでいる」
「どういうこと?」
私にもわかるように説明してほしいと言うと、彼は簡潔に話してくれた。
「私は死んでいる。ゲーム内に残ったデータから、お前のサポートをするためにやってきた」
「サポートいらないから、現実に帰りたいんだけど」
「それが、できないようなんだ。どうも、このゲーム内にスーのデータが取り込まれてしまっているようで、現実に返したくても出来ない状況にある」
「だから、サポート?」
「そうだ。公に私の名を明かすことも、立場を知られることもできないので、あくまでも内密にではあるがな」
「とりあえず、そのこのゲーム内にある私のデータを取ってくれば、現実に帰れるんだ?」
「その通りだ」
思わず、深いため息がでた。
「またデスゲームとかは言わないよね?」
「もちろんだ」
「でも、私はログアウトできないわけでしょ?」
「その通りだ」
「ログアウトボタンも、今調べたところないわけで……これは、どういうこと?」
「わからん」
サポートしてくれるとは言ったが、どうやら万能に何でも知っているわけではないようだった。
「とりあえず、死ななければ問題ない。SAOの時と同様の心づもりで挑んでくれ」
「なにそれ!? まだ続くわけこのふざけたゲームは!?」
私の嘆きも空しく、彼はただ黙って頷いた。
「で? 今回のゲームって、どうやってそのデータを探せばいいの?」
「それがわからん。どうやら、私もプレイヤーとして認識されているようだ。なんの情報も得ることが出来ない状態だ。地道に探していくしかないな」
「そりゃまた、途方もない話ね」
そんなことを話していると、ベンヌの姿をした茅場が欠伸をした。
「なに? データなのに、眠くなったりするの?」
「長時間の稼働には、システムの負荷がかかって起動しなくなる恐れがあるのでな。人間らしいシステムで休息を取るべき時の信号として、この体のシステムに組み込んである」
「手の込んだ、面倒くさいことをしたってことね」
「そういうわけで、私は一旦消える。データを転送したといっても、何故かスーのデータは全て消去されている。とにかく、次に私が来るまでの間は、とりあえずスキルを覚えることを優先していってくれ」
そういって、私の返事を待つことなく茅場は姿を消した。
「怒涛ね…………」
メニュー画面を出してステータスを見ると、スキルも装備も何もかもが初期設定値となっていた。
(そっか……SAOの時の始まりが、異常だっただけ……か)
本来、ゲームの最初はこういうものだろう。
私は、とりあえず初期装備のままで町からフィールドへと飛び出した。
しばらく、町の付近で雑魚の敵と戦っていると、このゲームシステムを把握できてきた。
今回のゲームでは、レベルの概念がない。
SAOと同じようにスキルが存在していて、レベルを上げるのではなく、敵を倒して溜まったものでスキルを覚えて強くなっていく感覚だ。
「一旦戻って、装備新しくできるものは新調して、もっと奥のフィールドまで行ってみるか」
同じ場所でずっと戦っているのは、効率として良くない。
これは、シリカを含め前のゲームの時に皆が言っていたことだ。
「どんな世界にいたって、死ぬまで勉強しなきゃいけないっていうのは、変わらないのね〜。学んでるわー、私」
ぼんやり独り言を言いながら、一旦町に戻った。
それから、新しい武器を買うことにして、一番安くて攻撃力のある武器を買った。
それは、レイピアだった。
アスナが使っているのを見たことはあったが、使ったことのない武器だった。
「しまった……斬り攻撃じゃなくて、これだと突き攻撃になるのかな?」
よくわからない。
とにかく、戦闘してみればわかるだろうと、私は回復薬を買い込んでからフィールドへと再び向かった。
そして、何度か敵を倒してわかった。
別に、レイピアであっても、斬り攻撃をしても問題がないということに。
多少は攻撃力が落ちたり、扱いにくかったりするのかもしれないが、違和感はなかった。
「よし、次行くか」
ガンガン一人で狩りを続けて数時間。
辺りはどっぷり夜になっていた。
敵の種類も、朝や昼とは違った種類をいくつか見かけた。
「もう、慣れたかな……」
剣を軽く振って、鞘に納める。
腰に収まってしまうほど、細くて小さい剣が何だか心許なかった。
その時だった、ガサッと草をかき分ける音が聞こえて、慌てて柄に手をかける。
(モンスター!?)
しかし、現れたのは同じように剣を持ったプレイヤーのようだった。
「なんだ、プレイヤーか……」
「あなた、サラマンダー?」
「種族のこと? うん、そうだけど?」
「…………あなた、他の種族を見かけても襲わないの?」
訳の分からないことを聞かれた。
このゲームでも、プレイヤー同士の戦いはあまり見られないものだと思っていた。
「サラマンダーっていう種族は、そういう奴等なの?」
「あぁ、新入りなんだ?」
「まー、そんなとこ。あなたの種族は?」
「シルフよ」
「シルフだけが、そんな羽が生えてるの?」
彼女の背中に生える緑のキラキラとした羽を指差すと、彼女は目を丸くして私を見た。
「……本当に、初心者なのね」
「あの町の人たち、人は良さそうなんだけど何も教えてくれなくて……良かったら、色々と教えてくれない?」
手を合わせて頭を下げると、彼女が小さく笑った。
「貴女がサラマンダーなんて、信じられないわね」
彼女の言った意味がわからず、首を傾げていると、彼女は片手を差し出した。
「私、リーファ! よろしく!」
「私はスー。こちらこそ、よろしく!」
お互いに笑い合って、手を握った。
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