1日目
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『ちなみに、それは具体的にはどんな人が······』
「ああ、その·········ナイフを持ってる奴とか」
『な、ナイフ!?』
突然とんでもないワードが耳に入り、思わず聞き返してしまう。
ないふ? ナイフ·········それはつまり、私が刺されるかもしれないということだろうか。
マズい! それはマズすぎる!!
それじゃあ不登校になるどころか、不生存になってしまうじゃないか。ああ、驚きすぎて変なワードを生み出してしまった······。その、ナイフを所持しているとかいう彼(彼女かもしれないが)には責任を取って欲しい。
『え、じゅ、銃刀法違反では······??』
「確かにそうだな······もしかして、訴えればいけるか······?」
『早く訴えた方がいいよそれ······。
てか、それならワンチャン退学とかにはならないの?
先生たちには、バレてない感じ?』
私が素直に疑問をぶつけると、クロス君は少し気まずそうな顔をした。
「いや······そういう感じじゃないんだ。この学校、その······」
『荒れてる、ってこと?』
転校生である私を気遣い、あえて言わないでおいてくれたであろう事を言葉にしてみる。
正直そういうことは早く知ってしまいたかった。
「ああ、うん。まあ、そうだな」
『そう······』
なんとも気まずい空気になってしまったところで、私は慌てて他の話題を探した。
ふと校舎の方を見れば、壁に立てかけるようにして置かれている、カラフルな ⎯⎯ ダンボール? らしき物が目に入った。
『ねえ、あれは何?』
「ああ、あれは文化祭で使うやつだな。校門の近くに飾り付けるんだ」
『あー! 文化祭、近いんだっけ』
「確か3週間後くらいだな」
『そうなんだ······』
文化祭······。この学校に来るにあたって、期待していたことのひとつだ。
なぜなら、去年の文化祭には、あまり ⎯⎯ いやかなり、良い思い出が無いからだ。
思い出したくも無いから、これ以上はやめておくけど。
仲の良い友達と······できれば2人で、好きなものを食べて、いっぱい写真を撮って、疲れたらベンチに座ってずっとお喋り ⎯⎯ みんながしていたことを、私もやりたかった。
「確か3組は、カフェをやるとか言ってたな」
『えー!! 楽しそう!』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『わ〜!! 昇降口だ! パンフレットで見た!』
「やっと着いたな······」
やっとお目にかかることのできた昇降口に、思わず感嘆の声を上げてしまう。
最近校舎を改装したとは聞いていたが、まさにその通りだった。
傷のほとんど付いていない壁や廊下には、この間観た青春ドラマの舞台を思わせるものがあった。
『遅刻させることになってごめんね。本当に置いて行ったって構わなかったのに』
「だからそれは色々と困るだろ······」
『でも親に怒られたりしない? 大丈夫?』
彼は、私の問いかけを受けて何かを思い出したのか、ハッとしたような表情をした。
そしてほんの少しだけ目を逸らすと、良くないものが見えたのか、またすぐに私の方へと向き直った。
「·········バレなきゃ大丈夫だ」
良くなかった、と思った。
反射的に、謝りたくなった。でもそれはもっとおかしいと思ったから、私は気づかない振りをした。
ほんの少しだけ、見えちゃいけないものが見えた気がして、そしてそれと同時に、いつか見なくてはならないもののような気がした。でも、それはきっと今じゃない。
見たくないものは、さっさと忘れた方が良い。
他の話題を考えてるうちに、何となく目を合わせられなくなって、視線を逸らした先の背に空を仰げば、一面美しい青が広がっていた。
それなのに、この場所だけは夜みたいに涼しくて静かだった。
「ああ、その·········ナイフを持ってる奴とか」
『な、ナイフ!?』
突然とんでもないワードが耳に入り、思わず聞き返してしまう。
ないふ? ナイフ·········それはつまり、私が刺されるかもしれないということだろうか。
マズい! それはマズすぎる!!
それじゃあ不登校になるどころか、不生存になってしまうじゃないか。ああ、驚きすぎて変なワードを生み出してしまった······。その、ナイフを所持しているとかいう彼(彼女かもしれないが)には責任を取って欲しい。
『え、じゅ、銃刀法違反では······??』
「確かにそうだな······もしかして、訴えればいけるか······?」
『早く訴えた方がいいよそれ······。
てか、それならワンチャン退学とかにはならないの?
先生たちには、バレてない感じ?』
私が素直に疑問をぶつけると、クロス君は少し気まずそうな顔をした。
「いや······そういう感じじゃないんだ。この学校、その······」
『荒れてる、ってこと?』
転校生である私を気遣い、あえて言わないでおいてくれたであろう事を言葉にしてみる。
正直そういうことは早く知ってしまいたかった。
「ああ、うん。まあ、そうだな」
『そう······』
なんとも気まずい空気になってしまったところで、私は慌てて他の話題を探した。
ふと校舎の方を見れば、壁に立てかけるようにして置かれている、カラフルな ⎯⎯ ダンボール? らしき物が目に入った。
『ねえ、あれは何?』
「ああ、あれは文化祭で使うやつだな。校門の近くに飾り付けるんだ」
『あー! 文化祭、近いんだっけ』
「確か3週間後くらいだな」
『そうなんだ······』
文化祭······。この学校に来るにあたって、期待していたことのひとつだ。
なぜなら、去年の文化祭には、あまり ⎯⎯ いやかなり、良い思い出が無いからだ。
思い出したくも無いから、これ以上はやめておくけど。
仲の良い友達と······できれば2人で、好きなものを食べて、いっぱい写真を撮って、疲れたらベンチに座ってずっとお喋り ⎯⎯ みんながしていたことを、私もやりたかった。
「確か3組は、カフェをやるとか言ってたな」
『えー!! 楽しそう!』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『わ〜!! 昇降口だ! パンフレットで見た!』
「やっと着いたな······」
やっとお目にかかることのできた昇降口に、思わず感嘆の声を上げてしまう。
最近校舎を改装したとは聞いていたが、まさにその通りだった。
傷のほとんど付いていない壁や廊下には、この間観た青春ドラマの舞台を思わせるものがあった。
『遅刻させることになってごめんね。本当に置いて行ったって構わなかったのに』
「だからそれは色々と困るだろ······」
『でも親に怒られたりしない? 大丈夫?』
彼は、私の問いかけを受けて何かを思い出したのか、ハッとしたような表情をした。
そしてほんの少しだけ目を逸らすと、良くないものが見えたのか、またすぐに私の方へと向き直った。
「·········バレなきゃ大丈夫だ」
良くなかった、と思った。
反射的に、謝りたくなった。でもそれはもっとおかしいと思ったから、私は気づかない振りをした。
ほんの少しだけ、見えちゃいけないものが見えた気がして、そしてそれと同時に、いつか見なくてはならないもののような気がした。でも、それはきっと今じゃない。
見たくないものは、さっさと忘れた方が良い。
他の話題を考えてるうちに、何となく目を合わせられなくなって、視線を逸らした先の背に空を仰げば、一面美しい青が広がっていた。
それなのに、この場所だけは夜みたいに涼しくて静かだった。
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